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    #ユリアシュ

    ureash

    Satsuki

    GARABATEARユリアシュ。アリルでユーリスにぶん殴られて先生の陣営に来たアッシュくんがアビスで飼われている短い話です。
    僕は悪い子になりたい「おら起きろ、アッシュ」
     コツン、と頭を足先で小突かれて、アッシュはのろのろと目を開いた。
    「起きてるよ、ユーリス……ッ」
    「そんならさっさと支度しとけよ」
     口答えが気に障ったのか、ユーリスは靴の裏でアッシュの頭を軽く踏む。軽く、といっても、アッシュは起こしかけた体をもう一度床に敷かれた薄い毛布に縫い付けられてしまった。やめてよ、と言いたかった口は閉じ、今度こそ体を起こす。まだ回復しきっていない腕が痺れたが、さっさと寝床の始末をする。
    「今日は俺らが朝飯の当番だ、行くぜ」
    「……」
     ユーリスはアッシュの首に付けられた首輪―――かつて灰狼学級の制服に付属していたものだ―――に結んだ縄を掴むと、まるで罪人を引っ立てていく看守か処刑人のように歩き出す。実際、その通りなのだ。一度はローベ家に仕える身となり、ベレト率いる同盟軍に敵対したアッシュは、先の戦場で何人かに弓を射かけ負傷させている。無論、自身の信念に従って行動した結果であり、後悔はない。……はず、だった。
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    Satsuki

    GARABATEARレトユリアシュのようなユリアシュのようなもの。アッシュくんがかわいそう。
    「君とベレト先生が、キスしてるのを見たって人が……それって本当なの?」
     それを聞いて、ユーリスはハハッとアッシュを笑い飛ばした。笑い声を聞いて、アッシュはカッと顔を赤くする。言うべきじゃなかった。彼の気を引きたい一心で口走ってしまったその噂話は、下品だし、本人に確認するようなことではなかった。でも、彼に振り向いてほしかったのだ。青獅子学級に来た時からピンと来ていた。ローベ伯のところにいた子でしょう、と話しかけても、どうやらユーリスはあまりその話をしたくないらしく、疎まし気な視線を寄越しただけだった。僕はロナート様のところにいたんだ、と自分の話をしても、「ふうん」「そうかよ」としか返事してくれない。一緒に草むしりをしても、馬の世話をしても、ユーリスは何故だかアッシュに冷たい。冷たいように、見える。実際彼は、青獅子学級の面々と一線を引いているようだった。アビスというところがどんな場所だか、詳しいことは知らない。だが、アッシュには想像がついた。親を亡くして、行く当てもなく兄弟と彷徨ったあの街。人々の視線。生きるために仕方なく、食べ物や金目のものを狙って盗んだ、あのときの自分。今ではとても恥ずかしい過去だけど、もしかしたらユーリスは今、そんな状況なのかもしれない。先生とキスをしていたという噂だって、ユーリスを貶めるためだけの誰かの作り話かもしれない。陰口を本人に伝えるなんて、してはいけないことだ。アッシュは急に胸がツンと痛んで、ユーリスの顔が見られなくなった。
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