それぞれの思い出青い空に雲が浮かんでいる。見渡してよく見ると遠くには大河が流れているのが見える。
「ノール、ここにいたのか」
振り返るとこの空と同じ系統の水色の髪を靡かせて駆け寄るエフラム王子が立っていた。
「エイリーク側についている友軍にも聞いたが闇魔道を扱えるものがいないそうだ。お前に案内されて手にしたものだが、お前に渡しておくのが良さそうだ」
そういってエフラムはノールにグラド帝国の聖石を安置していた場所の下に隠されていた魔典グレイプニルを差し出した。
「そうですか」
断る理由はなかった。しかしグラド帝国を建国したというグラドが使っていたという武具のひとつを一介の魔道士が手にしていいものかという思いがある。
今は有事である。使えるものは使わなければこの大陸ごと魔王に人々が滅ぼされてしまう。
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