kanagana1030
PROGRESSすでに春趙の世界にいる春趙と、8の世界線にいる春←趙のそれぞれの春日くんが入れ替わって出会う話の3そこにあった世界3A
「じゃあ、春日くんの記憶では、俺たちが付き合ってて、一緒に暮らしていたってこと?」
「そうだよ」
「それも最近じゃなくて、ずっと前から?」
「だから、さっきからそう言ってんだろ。俺はここから引っ越してもう長いし、この家も久しぶりだ。まさか、またここに戻ってきちまうとはな」
ソファにぐったりと座り込み、背もたれに頭をもたげると懐かしい心持が戻ってくる。今思えば、ここに住んでいる時の自分は深く孤独を抱えていたのだなと思う。その孤独を埋めてくれたのが他でもない趙だったと今ならばはっきりと分かる。でも……。
「一体、どういうことなんだろうね。記憶喪失……とはまた違うみたいだし……」
「だからぁ、さっきから言ってんだろ。俺はお前が言っていることの方が信じられねぇよ」
3319「じゃあ、春日くんの記憶では、俺たちが付き合ってて、一緒に暮らしていたってこと?」
「そうだよ」
「それも最近じゃなくて、ずっと前から?」
「だから、さっきからそう言ってんだろ。俺はここから引っ越してもう長いし、この家も久しぶりだ。まさか、またここに戻ってきちまうとはな」
ソファにぐったりと座り込み、背もたれに頭をもたげると懐かしい心持が戻ってくる。今思えば、ここに住んでいる時の自分は深く孤独を抱えていたのだなと思う。その孤独を埋めてくれたのが他でもない趙だったと今ならばはっきりと分かる。でも……。
「一体、どういうことなんだろうね。記憶喪失……とはまた違うみたいだし……」
「だからぁ、さっきから言ってんだろ。俺はお前が言っていることの方が信じられねぇよ」
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PROGRESSすでに春趙の世界にいる春趙と、8の世界線の春←趙が何故かそれぞれの春日くんが入れ替わってしまって出会う話。ちょこちょこと書いています。そこにあった世界2B
眠りが足りた。そんな目覚め方だった。久しぶりにこんなに眠っていたなと春日が目を覚ますと、そこはいつもの自宅ではなく見知らぬ大きなベッドの上だった。
ここはどこだと視線を巡らす。ベッドの自分のすぐ横、隣に寝ている人がいて小さく驚いた。昨夜は誰かの家で飲んでいただろうかと記憶を辿るが、春日の頭には自宅で晩酌を煽って眠った記憶しかない。
そっと身を起こして、隣に眠る人の顔を覗き込むとそこにはよく見知った顔がいた。
なんだ、良かった。趙か……
隣に寝ているのが見知らぬ女性などでなくて良かったと心底ホッとする。女性絡みのやらかしはもう沢山だ。
ここは趙の家だろうか? 記憶にはないが酔っ払って訪ねてきたのかもしれない。家を訪ねた挙句、ベッドにまで潜り込んだのかと申し訳なく思いながら、身体を起こして横で眠る趙の寝顔を見るとなしに見ていると視線に気がついたのか、趙が眠たげにゆっくりと目を開けた。
1549眠りが足りた。そんな目覚め方だった。久しぶりにこんなに眠っていたなと春日が目を覚ますと、そこはいつもの自宅ではなく見知らぬ大きなベッドの上だった。
ここはどこだと視線を巡らす。ベッドの自分のすぐ横、隣に寝ている人がいて小さく驚いた。昨夜は誰かの家で飲んでいただろうかと記憶を辿るが、春日の頭には自宅で晩酌を煽って眠った記憶しかない。
そっと身を起こして、隣に眠る人の顔を覗き込むとそこにはよく見知った顔がいた。
なんだ、良かった。趙か……
隣に寝ているのが見知らぬ女性などでなくて良かったと心底ホッとする。女性絡みのやらかしはもう沢山だ。
ここは趙の家だろうか? 記憶にはないが酔っ払って訪ねてきたのかもしれない。家を訪ねた挙句、ベッドにまで潜り込んだのかと申し訳なく思いながら、身体を起こして横で眠る趙の寝顔を見るとなしに見ていると視線に気がついたのか、趙が眠たげにゆっくりと目を開けた。
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PROGRESSすでに春趙の世界にいる春趙と、8の世界線の春←趙が何故かそれぞれの春日くんが入れ替わってしまって出会う話。そこにあった世界A
淡い照明の中、静かに流れる音楽が耳に触れて、ふと目を覚ますとそこはいつものサバイバーのカウンターで、顔を少し上げると隣には趙の姿があった。
「おっ、起きたね。春日くん、もう限界なんじゃない? そろそろ帰る?」
そう自分に小さく笑いかけてくれるのが嬉しくて、春日は身を起こして趙に向き合った。カウンターの奥にマスターの姿はない。ふと見上げた時計はすでに深夜帯にさしかかろうとしているので、いつものように自分たちに鍵を預けて先に帰ったのだろうと思う。
「……なぁ、趙」
「ん?」
趙も少し酔っているのだろう、サングラスの奥の濡れた目が綺麗で、その目の奥を覗き込むように顔を近づける。
趙とは付き合い始めてから、もう何年にもなる。それでもこんな風に二人っきりで向き合い、顔を寄せると心の奥の方に灯るものがある。
1845淡い照明の中、静かに流れる音楽が耳に触れて、ふと目を覚ますとそこはいつものサバイバーのカウンターで、顔を少し上げると隣には趙の姿があった。
「おっ、起きたね。春日くん、もう限界なんじゃない? そろそろ帰る?」
そう自分に小さく笑いかけてくれるのが嬉しくて、春日は身を起こして趙に向き合った。カウンターの奥にマスターの姿はない。ふと見上げた時計はすでに深夜帯にさしかかろうとしているので、いつものように自分たちに鍵を預けて先に帰ったのだろうと思う。
「……なぁ、趙」
「ん?」
趙も少し酔っているのだろう、サングラスの奥の濡れた目が綺麗で、その目の奥を覗き込むように顔を近づける。
趙とは付き合い始めてから、もう何年にもなる。それでもこんな風に二人っきりで向き合い、顔を寄せると心の奥の方に灯るものがある。
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DONE春趙ワンドロワンライ お題「アクティビティ」🐉8の謎次元で、ドンドコ島に遊びにくる春趙の趙さんの話。多分、本編のネタバレなどはないはずですが、気づかずにポロリしてたら……迂闊な人間ですみません……。 3280
kanagana1030
DONE春趙ワンドロワンライお題「映画」のSSです。
久しぶりの参加でなんだかとっ散らかってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします。
あの頃の二人と「俺、これ観たかったんだよなぁ」
たまの休日。二人で買い物に出た途中、春日が映画館の前で発した一言で、その日は買い物の前に映画を観ようということになった。映画館の暗い階段を二人並んで下りて、春日がチケットを二人分購入する。そんな春日の背中を見ながら、趙は付き合い始めてから二人で映画に来るのは初めてだな、と気がついた。
付き合う前には、春日に誘われて何度も映画館に足を運んだ。あの時は二人で映画なんてまるでデートみたいだなと浮かれながら、それでも浮かれているのは自分だけだろうと思っていた。
「これ、趙の分」
「ありがと」
買ったチケットを受け取ると春日が趙の思考を読んだように、少しはにかんだように笑った。
1619たまの休日。二人で買い物に出た途中、春日が映画館の前で発した一言で、その日は買い物の前に映画を観ようということになった。映画館の暗い階段を二人並んで下りて、春日がチケットを二人分購入する。そんな春日の背中を見ながら、趙は付き合い始めてから二人で映画に来るのは初めてだな、と気がついた。
付き合う前には、春日に誘われて何度も映画館に足を運んだ。あの時は二人で映画なんてまるでデートみたいだなと浮かれながら、それでも浮かれているのは自分だけだろうと思っていた。
「これ、趙の分」
「ありがと」
買ったチケットを受け取ると春日が趙の思考を読んだように、少しはにかんだように笑った。
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DONEずっと書いていた春趙の期待外れの温泉旅行の最後です。支部にまとめたのをあげてあるので、最初から読んでくださる方は支部からよろしくお願いします。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20397686
期待外れの温泉旅行⑥「何がだよ」
「なんかこのまましたら、すごい思い知らされそう」
「いいじゃねぇか。俺の思いを思い知ってくれよ」
言葉で伝わらないなら行動で、と思う。趙の首筋から喉元に唇を当て、さきほど趙がしてくれたみたいに強く吸い付く。腕の中の趙が身体をよじって、何故か、春日の唇から逃れようとする。
「何だよ」
逃げる趙に不満を漏らすと、趙は顔を真っ赤にして春日のことを見上げていた。
「今度は俺がタンマ。ちょっと待って」
「嫌だったのか?」
「い、嫌じゃないんだけど……なんか……ドキドキしてきちゃった」
何をいまさらと思う。さっきから、自分の心臓は高鳴り過ぎて壊れそうなほどだ。
「それなら俺もしてる。お互い様だろ」
「……だって、春日くんのは違うだろ」
8472「なんかこのまましたら、すごい思い知らされそう」
「いいじゃねぇか。俺の思いを思い知ってくれよ」
言葉で伝わらないなら行動で、と思う。趙の首筋から喉元に唇を当て、さきほど趙がしてくれたみたいに強く吸い付く。腕の中の趙が身体をよじって、何故か、春日の唇から逃れようとする。
「何だよ」
逃げる趙に不満を漏らすと、趙は顔を真っ赤にして春日のことを見上げていた。
「今度は俺がタンマ。ちょっと待って」
「嫌だったのか?」
「い、嫌じゃないんだけど……なんか……ドキドキしてきちゃった」
何をいまさらと思う。さっきから、自分の心臓は高鳴り過ぎて壊れそうなほどだ。
「それなら俺もしてる。お互い様だろ」
「……だって、春日くんのは違うだろ」
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DONE春趙ワンドロワンライのお題「汗」をお借りしました。濡れる肌 汗をかかないやつだと思っていた。もちろん、趙も人であるし、そんなことある訳はないのだが、いつも涼しげな顔をして器用にさまざまなことをこなしている姿を見てて、何故だが春日はずっとそんな気がしていた。
「今日はまた特別に暑いね」
趙がそう言って、少し開けたシャツの襟元を掴んではためかせる。
先日、やっと梅雨が明けて気温がぐっと上がり、最近は晴れた日の日中は外を歩くのもままならないぐらい暑い。そんな中で、春日と趙は二人で食材の買い出しに来ていた。とは言っても、買い物の主体はサバイバー二階の日常的な調理者である趙で、春日はただの荷物係と言う状態だったのだが……食材を選定していく趙の後ろでカートを押しながら、投げ込まれる食材が将来何になるものなのか想像していくのは楽しかった。
1854「今日はまた特別に暑いね」
趙がそう言って、少し開けたシャツの襟元を掴んではためかせる。
先日、やっと梅雨が明けて気温がぐっと上がり、最近は晴れた日の日中は外を歩くのもままならないぐらい暑い。そんな中で、春日と趙は二人で食材の買い出しに来ていた。とは言っても、買い物の主体はサバイバー二階の日常的な調理者である趙で、春日はただの荷物係と言う状態だったのだが……食材を選定していく趙の後ろでカートを押しながら、投げ込まれる食材が将来何になるものなのか想像していくのは楽しかった。
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PROGRESS春趙になっていない二人のグループ温泉旅行。全然終わらなくて、文字数が原稿レベルになってきてしまった。
①
https://poipiku.com/4207395/8117860.html
②
https://poipiku.com/4207395/8200589.html
③
https://poipiku.com/4207395/8317545.html
期待はずれの温泉旅行 5口にしておいて、仲間を飲みに誘う文句としてあまりにも不自然だったかとドキドキする。こんな言い方では、きっと自分の下心が趙に伝わってしまう。
趙が立ち止った春日をゆっくりと振り返った。
「いいけど、どこで飲む?」
春日に向けられた趙の顔がいつも通りで少しほっとする。
「俺たちの部屋はどうだ? どうせ、このままあっちで寝る奴もいんだろ」
「まぁ、ジュンギはともかく、ナンバは確実にそうだろうね」
趙が共犯者めいた笑みを浮かべて「じゃあ、そうしようか」と春日に腕を伸ばして、春日が手に持ったビニール袋を手にとった。
「春日くん、先にお部屋行ってて。俺、これだけ置いてくるよ」
「お、おう」
宴会部屋の方に行く趙を見送って、カードキーで自室の扉を開ける。案の定、こちらに帰ってきている人間はおらず、皆はまだあちらで宴会の真っ最中のようだった。
7530趙が立ち止った春日をゆっくりと振り返った。
「いいけど、どこで飲む?」
春日に向けられた趙の顔がいつも通りで少しほっとする。
「俺たちの部屋はどうだ? どうせ、このままあっちで寝る奴もいんだろ」
「まぁ、ジュンギはともかく、ナンバは確実にそうだろうね」
趙が共犯者めいた笑みを浮かべて「じゃあ、そうしようか」と春日に腕を伸ばして、春日が手に持ったビニール袋を手にとった。
「春日くん、先にお部屋行ってて。俺、これだけ置いてくるよ」
「お、おう」
宴会部屋の方に行く趙を見送って、カードキーで自室の扉を開ける。案の定、こちらに帰ってきている人間はおらず、皆はまだあちらで宴会の真っ最中のようだった。