dressedhoney
DOODLEツンケンデヴィンがロジェールに絆されるまでの話。Pixivに投稿済みのものと同一です。
前半がデヴィロジェで後半がダリロジェ。
多分Dロジェの道が違えずゆくゆくはロジェールが双子を同時に覚醒させる方法を解き明かす世界です。
加えてDとロジェールが正反対に描写されているのならロジェールは仲の良くない兄がいたのかもな~という設定の下書かれています。
つまり好き勝手書いています。大丈夫な方のみどうぞ。
瞼裏の憧憬 Dが物言わぬ姿となり、二日が経った。色素の薄い柔らかな髪が、閉じたままの白い目元に掛かっている。傍に腰を下ろすロジェールは、グローブを外した手の甲でそっと血の気の引いた頬を撫でた。
――死んだわけではない。円卓のベッドに横たわる体は小さく上下していたし、触れれば僅かに温かかった。眠っている。彼は丸二日、昏々と、深い眠りに沈んでいる。細く長い溜息と共に、尖り帽に垂れる輝石が揺れた。
切っ掛けは二日前の地下墓での出来事だった。狭い通路でインプとやりあっていたあの日。罠を挟んで牽制しあっていたが、悪鬼の投げたガラス片が近くの石像を倒し、カチリと嫌な音を鳴らした。予想外に発射された数多の槍は敵を殲滅し、残った数本がロジェールに迫る。それをDが咄嗟にかばったのだ。矢程度なら鎧で防げたが、生憎と地下墓の守りは甘くない。
13151――死んだわけではない。円卓のベッドに横たわる体は小さく上下していたし、触れれば僅かに温かかった。眠っている。彼は丸二日、昏々と、深い眠りに沈んでいる。細く長い溜息と共に、尖り帽に垂れる輝石が揺れた。
切っ掛けは二日前の地下墓での出来事だった。狭い通路でインプとやりあっていたあの日。罠を挟んで牽制しあっていたが、悪鬼の投げたガラス片が近くの石像を倒し、カチリと嫌な音を鳴らした。予想外に発射された数多の槍は敵を殲滅し、残った数本がロジェールに迫る。それをDが咄嗟にかばったのだ。矢程度なら鎧で防げたが、生憎と地下墓の守りは甘くない。
dressedhoney
DOODLEDロジェ。ギャグを書きたかった産物。好き勝手しているので大丈夫な方だけどうぞ。ネフェリのことが大好きなギデオンとDの顔が好きすぎるロジェールがいる。
タイトルに反して内容は甘い。
墓には君の名を記そう 円卓とは本来、侃々諤々とした議論の場である。騎士が、戦士が、魔術師が。褪せ人も指巫女も隔てなく、律の修復たる大義を巡って弁を振るう。きっと、かつての王都ではそうあった。
しかし、今の円卓は閑寂である。響き渡るのは鍛冶師ヒューグの鎚の音と焚き火の爆ぜるざわめきくらいのもので、新顔も減り、積極的な交流を試みる者もわずかな居館はいつも粛然としていた。
だから騒ぎがあると、それは一大事である。
「――D」
ロジェールの顔は険しかった。Dもまた、不戦の約定を知りながらも大剣に指を掛けている。
「……あちらの方から聞こえる」
二人は死の根を探す旅の中、数日振りに円卓へ戻ってきたところだった。普段であれば大した音のない空間で、嫌な空気が震えている。
6593しかし、今の円卓は閑寂である。響き渡るのは鍛冶師ヒューグの鎚の音と焚き火の爆ぜるざわめきくらいのもので、新顔も減り、積極的な交流を試みる者もわずかな居館はいつも粛然としていた。
だから騒ぎがあると、それは一大事である。
「――D」
ロジェールの顔は険しかった。Dもまた、不戦の約定を知りながらも大剣に指を掛けている。
「……あちらの方から聞こえる」
二人は死の根を探す旅の中、数日振りに円卓へ戻ってきたところだった。普段であれば大した音のない空間で、嫌な空気が震えている。
dressedhoney
DOODLEPixivへ既に投稿済みのもの。一応こちらにも。円卓の露台で深い眠りに落ちるロジェールを、Dが叩き起こす話。
Dロジェ。2人は付き合っていないけど、甘くて、暗くて、短い。
ロジェールは【冷静】の魔術を息するように己にかけていたと思っているのですが、それでも抗えない眠気とあらば、さぞ恐ろしかったでしょうね。
銀の禅譲、金の簒奪 生きている。
生きているということは、起きているということだ。
「……D、おはよう、ございます」
私が円卓の露台へ根を生やしてから、それなりに経った。まさか比喩表現でもなく、本当に木の根を自分が生やす日が来るなんて、狭間の地を訪れた頃の私は夢にも思わないだろう。
今は一体、いつだろうか。寝ぼけまなこでDを見つめれば、彼はサッとフェイスプレートを下ろし、感情を読ませない鎧の中へと引っ込んでしまった。
「あの、D」
そのまま体も帰ってしまう。すぐ近くの大祝福にとどまっているようだが、私に追いかける術はなかった。
――熱い、唇が。私の体の中で確かな燻りを感じるのは、今やそこだけである。
半屍と称される肉体。下半身は、とうに眠ってしまっていた。上半身もいつ冷めるかといったところで、雪濃い森の冷気に晒されたような古い殻は、常に強い眠気を運んでくる。
2881生きているということは、起きているということだ。
「……D、おはよう、ございます」
私が円卓の露台へ根を生やしてから、それなりに経った。まさか比喩表現でもなく、本当に木の根を自分が生やす日が来るなんて、狭間の地を訪れた頃の私は夢にも思わないだろう。
今は一体、いつだろうか。寝ぼけまなこでDを見つめれば、彼はサッとフェイスプレートを下ろし、感情を読ませない鎧の中へと引っ込んでしまった。
「あの、D」
そのまま体も帰ってしまう。すぐ近くの大祝福にとどまっているようだが、私に追いかける術はなかった。
――熱い、唇が。私の体の中で確かな燻りを感じるのは、今やそこだけである。
半屍と称される肉体。下半身は、とうに眠ってしまっていた。上半身もいつ冷めるかといったところで、雪濃い森の冷気に晒されたような古い殻は、常に強い眠気を運んでくる。
dressedhoney
DOODLEずぶ濡れになったロジェールが風邪を引かないように、心優しいDくんが赤いマントを貸してあげる話。Dロジェ。付き合っていないが、最後だけいかがわしい。
渇きに濡れる「いやあ、水も滴るなんとやらというやつです」
目の前の、全裸の阿呆が言う。せめて替えの下履きくらい身につけろと伝えれば、平然と忘れていました! などとのたまいながら鞄を漁り始めた。
焚き火に照らされる肌は未だしっとりとして、濃い色の髪も腹が立つくらいに艶やかである。傍にいるのが女であれば、ここは閨だった。だがここには、男だけ。それも、端正な顔立ちをした全裸の色男が如何に阿呆かを知っている、男だけ。
こいつは、水に落ちた。というか、舟を探して水辺を歩いていた所を、珍しいスイレンが咲いているのを見つけただの言いながら駆け出して、木の根に躓いて真正面から転けたのである。それで全身濡れ鼠となり、今日の探索を早めに切り上げて祝福の傍らで野営する羽目になっていた。
4863目の前の、全裸の阿呆が言う。せめて替えの下履きくらい身につけろと伝えれば、平然と忘れていました! などとのたまいながら鞄を漁り始めた。
焚き火に照らされる肌は未だしっとりとして、濃い色の髪も腹が立つくらいに艶やかである。傍にいるのが女であれば、ここは閨だった。だがここには、男だけ。それも、端正な顔立ちをした全裸の色男が如何に阿呆かを知っている、男だけ。
こいつは、水に落ちた。というか、舟を探して水辺を歩いていた所を、珍しいスイレンが咲いているのを見つけただの言いながら駆け出して、木の根に躓いて真正面から転けたのである。それで全身濡れ鼠となり、今日の探索を早めに切り上げて祝福の傍らで野営する羽目になっていた。
dressedhoney
DOODLEDロジェ二人旅をしているころのある一夜。
付き合ってはいないけれどお互い心を開いているくらい。
甘くて短い。
笑う、策士 月明かりの強い夜のことだった。
「ねぇ、D」
遺棄された教会を見つけた二人が野営の準備を終え、後は眠るだけといった頃合。ロジェールは、少し離れたところで横になっているDへ声を掛けた。
「……スー…」
淡い寝息が返されるが、ロジェールは気にせず続ける。
「私、なんだか眠れなくて。少しだけ、一緒に暇を潰してくださいませんか?」
もちろん返事はない。それでもロジェールは淡々としていた。
「貴方と私の仲ですよ? 狸寝入りくらいお見通しなんですから」
「……お前とどのような仲なのか、皆目見当がつかないのだが」
背を向け横になったままではあるが、Dからの反応にロジェールは声を弾ませる。
「それは、もう! 一緒にゲームをするような仲です!」
3970「ねぇ、D」
遺棄された教会を見つけた二人が野営の準備を終え、後は眠るだけといった頃合。ロジェールは、少し離れたところで横になっているDへ声を掛けた。
「……スー…」
淡い寝息が返されるが、ロジェールは気にせず続ける。
「私、なんだか眠れなくて。少しだけ、一緒に暇を潰してくださいませんか?」
もちろん返事はない。それでもロジェールは淡々としていた。
「貴方と私の仲ですよ? 狸寝入りくらいお見通しなんですから」
「……お前とどのような仲なのか、皆目見当がつかないのだが」
背を向け横になったままではあるが、Dからの反応にロジェールは声を弾ませる。
「それは、もう! 一緒にゲームをするような仲です!」