まみや
DOODLEDQ2クリア数年後、ムーンブルクの王女が国を復興して女王になる前夜の話。戴冠式前夜、ムーンブルクにて コツン、とひとつ、音がした。音がした方には、窓。
もう外はすっかり暗い。自然の明かりはほぼまん丸な月と数多の星だけではあるけれど、明日の戴冠式を控え、前夜祭が開催されているお城と町の灯りはいまだ絶えない。
式の挨拶の原稿から目を離し、ふう、と一息ついて、音がした窓の方へと歩く。お城の二階にある、自室の窓から下を覗けば、果たしてそこには。
「ローレ! サマル!」
たいまつを手にし、私に手を振るふたり。歳を重ねてあの頃よりも精悍になったふたりの姿は、あの頃と同じ、懐かしい旅装束で。こっちへ降りてこい、とでも言いたげな仕草と、悪戯めいた表情のふたりに、おもわず笑みが溢れる。
急いで衣裳箪笥を空けて、昔のローブを引っ張り出す。急いで着替えて、杖も持って! 準備を整え、私が窓枠に足をかけて飛び降りようとすると、ふたりは揃ってあんぐりと口を開けた。やがてふたりが慌てた様子で、手に持っていたたいまつを消し、地面に放り投げ、こちらに手を伸ばすのを見て、思いっきり飛び降りる。
1456もう外はすっかり暗い。自然の明かりはほぼまん丸な月と数多の星だけではあるけれど、明日の戴冠式を控え、前夜祭が開催されているお城と町の灯りはいまだ絶えない。
式の挨拶の原稿から目を離し、ふう、と一息ついて、音がした窓の方へと歩く。お城の二階にある、自室の窓から下を覗けば、果たしてそこには。
「ローレ! サマル!」
たいまつを手にし、私に手を振るふたり。歳を重ねてあの頃よりも精悍になったふたりの姿は、あの頃と同じ、懐かしい旅装束で。こっちへ降りてこい、とでも言いたげな仕草と、悪戯めいた表情のふたりに、おもわず笑みが溢れる。
急いで衣裳箪笥を空けて、昔のローブを引っ張り出す。急いで着替えて、杖も持って! 準備を整え、私が窓枠に足をかけて飛び降りようとすると、ふたりは揃ってあんぐりと口を開けた。やがてふたりが慌てた様子で、手に持っていたたいまつを消し、地面に放り投げ、こちらに手を伸ばすのを見て、思いっきり飛び降りる。
まみや
DOODLEDQ2、サマルトリアの王子がハーゴンの呪いにかかって、世界樹の葉を持ってきた時の話。ずいぶん潔く諦めようとしていたので、そんな感じなのか、とびっくりして書いた。昔の話 子供の頃から、僕、病弱だったんですよ。熱を出して寝込むのはしょっちゅうで、大きな病気をして死にかけたこと、何度もあるし。だから体力がなくて、重い鎧は着られないし、剣の腕前なんか、巷で評判のローレシアの王子とは比ぶべくもなく、だからせめて魔法でも覚えようかと、こっそり練習したりして。
あと、運も悪いんです。覚えてますか? サマルトリアのお城にね、宝箱置いてあったでしょう? 金の鍵じゃないと開かない所にあって、池に囲まれてて、そうそう、ロトの鎧が入ってた。あそこに鍵がかかってたの、僕があの池にはまって溺れそうになっちゃったからなんですよ。二度とそんなことないようにって。そうそう、旅に出て、ローレと合流しようと思ったのに散々行き違いになったこともありましたね。しまいにはハーゴンの呪いにかかるなんて、もう…。笑っちゃいますよね。
598あと、運も悪いんです。覚えてますか? サマルトリアのお城にね、宝箱置いてあったでしょう? 金の鍵じゃないと開かない所にあって、池に囲まれてて、そうそう、ロトの鎧が入ってた。あそこに鍵がかかってたの、僕があの池にはまって溺れそうになっちゃったからなんですよ。二度とそんなことないようにって。そうそう、旅に出て、ローレと合流しようと思ったのに散々行き違いになったこともありましたね。しまいにはハーゴンの呪いにかかるなんて、もう…。笑っちゃいますよね。