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    #二一

    twoOne

    nimame_vzr

    DONE太極パロ二一です。CP要素薄め。
    モブ視点なので苦手な方はご注意ください。
    以前Twitterにあげたものになります。
    契りにいたる道の先「兄ちゃんみたいに顔も良くて強い獄族サマはよォ、契約したいってヤツも多いんだろ?」
     酔った勢いで口走った言葉に、視線の先の男は鼻を鳴らした。
     二年間毎日顔を出している料理屋に、毎日のようにいる獄族の男。小綺麗な顔、色気のある流し目、誰もが一度は見惚れる佇まい。初めて店に来た女たちは口を揃えて素敵だなんだと熱烈な視線を向ける。……だが、まあ。容姿も中身も非の打ち所がないなんて、そんなやつはそうそう存在しないものだ。しばらくすると、誰もが男から視線を逸らす。どことなく人を寄せ付けない雰囲気、人族を小馬鹿にするような目付き、見え隠れする粗暴な所作。綺麗な花の数だけ鋭利な棘がある。まさしく薔薇みたいな男だった。話しかけるのは分別がつかなくなった酔っぱらいか相当な阿呆か。一度、男に絡んだ阿呆が吹っ飛んだのを見たことがある。あれは阿呆に非があったのだが、それにしても人を吹っ飛ばすという行為に身震いしたものだ。だから、俺は極力舐めた口をきかないよう心がけていた。にも関わらず、俺は、俺は。
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