12月23日ウェブオンリー新作!幼い頃の感情というものは未分化の状態で、成長とともに細分化されていく。
愛情は快から生まれたように、好ましい感情はすべて快から枝分かれしたものだ。
禰豆子の、善逸への感情は好ましいだった。そこには禰豆子も薄らとしか思い出せない、産まれる前の記憶が関係していた。たぶんにそれは前世と呼ばれるものだろう。それは善逸も同じようにあった。しかし、前世の記憶は濃厚なリアルにより上書きされる。
結果として、前世がふたりに及ぼした影響は人格形成と互いの感情だけに留まった。
禰豆子は家族思いの心優しい穏やかな少女に。善逸は気弱でも気骨ある少年になった。
この世でかけがえの無い存在はお互いだった。ずっと離れない、と死の床で指切りした約束通りにふたりは生まれてすぐに出会った。
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