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    月まるこ

    ポイピクはじめたてのおたく。
    2021.9〜新人賢者。

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    月まるこ

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    ツイッターにあげていたもの

    #ミスチレ
    mystique

    ミスチレ短文 言葉は信用ならない。
     強い魔法使いと結婚して、強い魔法使いを産むといった女は結局、弱い人間の男と結婚した。子供も産んだ。
     そしてもうとっくに死んだらしい。
     ミスラも知らないうちに。

    「チレッタが亡くなったそうじゃ」
    「……はあ」
     なぜ俺に言ってくるのか、わからなかった。そのまま疑問を口にすれば、よくわからない表情をしていた。
     何と言えばよかったのか、何を期待されていたのかわからなかったが、どうでもよさそうだと忘れることにした。

     年中、吹雪いているような土地だ。
     湖も凍って仕方ない気がするのに、なぜか水のままでいる。
     ミスラは舟を出すでもなく、渡し場でぼんやりしていた。
     時おり、女の声がする気がして振り返り、雪だけが目に入って息を吐いた。
     死んだということは、もういないということだ。それくらいは知っているが、あの女が死ぬとは到底考えられなかった。

    「……オズとやりに行きますか」
     何しろ、ミスラは強い。オズくらい、倒せてもいいと思っている。
     オズは最近、子供を拾ったらしい。連れ歩いているのを見た。子供は弱いので興味がないが、あの女も子供を産んだとは聞いていたから、この前少し眺めはした。
     オズに、いつもより強い電撃を食らって、まじか、と思った。

     吹雪いているだけのこの国で、もうどのくらい生きているのか、ミスラは考えたこともあまりなかったし、さして重要とも思わなかった。
     ただ、このまま渡し場にいても、もうあの女には会えないらしい。死に際を知らないし、実感もない女の死は、ミスラのなかで宙ぶらりんのままだった。
     ミスラは今日も渡し場に立ちすくんでいる。
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