キラ受けワンライ様・お題『お酒』一ミリ前進?君といつまでもこのままでいられない。
朝、目が覚めてしばらくボーっとしていた。ついでズキズキと頭が痛い。ソファで眠っていたようで、起き上がったら身体にかかっていた隊服が落ちる。自分の裸体が目に入って来てビックリして声が出なかった。
「・・・・??!」
パニックに陥るキラを救ったのは、扉を開けて入って来た黒髪の青年シンだった。
「キラさん、起きたんですか!!ちょっとだけついててやってくれってアスランが・・・大丈夫ですか?」
「し・・・シン?僕なんで裸なの?何が起こったの??!」
あまりのことにオロオロしているキラに、シンは「あー・・・さすが幼馴染・・・」と呟いて頭を抱えた。アスランもすっぽり忘れてボケーっとしてたそうだった。
「昨日のことは覚えてますか?」
「えーっと・・・確かカガリが珍しいお酒を手に入れたからって送ってくれて、アスランとシンと一緒に飲んだ・・・・」
じょじょにだが思い出して来た。カガリからオーブ産の甘い酒だからと樽いっぱいの酒を送ってもらい、ちょうど来ていたアスランとシンを誘ってキラの自宅で飲み会をしたのだ。
・・・楽しくお酒を飲んだ、所までは覚えているが途中で記憶がぷっつりしている。
シンが、こほんと咳払いをして、キラ(とアスラン)のその後を解説してくれた。
「俺は途中で酒止めてお茶飲んで二人を見てたんですけど・・・」
酔いに酔っぱらった二人がとある合戦を始めたそうだった。
アスランがポツリと「俺はこのグラス一杯に、キラの事が好きだ・・・」と言って飲み干し。
それにムキになったキラが「僕は三杯はアスランの事好きだよ!」と対抗し出し、
「俺はこの瓶一本分は好きだぞ!!!」
「じゃあ僕は瓶五本分!!」
「俺はこの樽全部飲めるくらいお前が好きだ!!」
と張りあいが続き、恐ろしい事にカガリから送られた樽を二人で飲み合い全部空けてしまったというのだ。
その後、突然二人揃って脱ぎだすは叫びだすは泣きだすは阿鼻叫喚だったとのことである。
それを聞いてキラは縮こまってしまった。シンに迷惑をかけた。
「ご・・ゴメンねシン。僕たち・・・」
「いえ、いいんです。それよりちゃんとくっついて下さいね」
室内を片付けながら言うシンにキラは顔を赤くしてしまった。
アスランは今はシャワーを浴びているとのことだが、どんな顔をして会えと言うのだろうか?!
ドキドキと始まった鼓動に呼吸が狭まってしまう。
「無効・・・だよね」
「はい?」
「僕は覚えてない!アスランも覚えてない!!なら告白は無効ってことで・・・」
「俺の証言は無視ですか?」
「だって・・・その・・・そんなのって」
目の端に涙を浮かべてキラは思う。酒の席で言い合っただなんてちょっと悲し過ぎる。
しゃがみ込んでいたらポンポンっと頭をたたかれて、キラが見上げるとアスランが軽く笑って立っていた。
「シャワー空いたぞ。早く入って来い」
「う・・・うん!!」
先ほどの言葉が聞かれていなかったのかと安堵したキラだったが、アスランの耳が聞き逃しているわけもなく。
「シャワーから上がったら、ちゃんとする・・・」
「え?」
「お前も覚悟決めてくれ」
「えーーーーー??!」
思わずアーメンと十字を切りたくなったシンだが。シャワーから出て来る前にシンは帰されて結局どうなったのか知ってる者は二人だけだった。