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TRAININGむざこく30本ノック③29日目
ちょるさんとこの不良な学生パロ二人のむざこく
ちょるさんとこの不良な学生パロ二人のむざこく「おー、随分と派手にやらかしたなぁ……」
この場には不似合いな呑気な声。飄々とした雰囲気で校舎裏に現れた男に巌勝は身構えた。
先に手を出したのは地面に倒れている3年生たちである。1年の途中で転校してきた自分に対し、不愉快な絡み方をしてきたので拳で解らせただけだ、と説明しようかと思ったが、その男はその3年生を踏み、蹴り、軽やかな足取りでこちらにやってきた。
薄暗い校舎裏では顔ははっきりと解らない。しかし、口許に笑みを浮かべていることは解った。
「お前も吸うか?」
懐から煙草を取り出し、こちらに渡してくる。
会釈して受け取り、巌勝は煙草を咥えた。箱の中に入っていた使い捨てライターを拝借し、煙草を付けて、煙を深く吸い込んだ。
4494この場には不似合いな呑気な声。飄々とした雰囲気で校舎裏に現れた男に巌勝は身構えた。
先に手を出したのは地面に倒れている3年生たちである。1年の途中で転校してきた自分に対し、不愉快な絡み方をしてきたので拳で解らせただけだ、と説明しようかと思ったが、その男はその3年生を踏み、蹴り、軽やかな足取りでこちらにやってきた。
薄暗い校舎裏では顔ははっきりと解らない。しかし、口許に笑みを浮かべていることは解った。
「お前も吸うか?」
懐から煙草を取り出し、こちらに渡してくる。
会釈して受け取り、巌勝は煙草を咥えた。箱の中に入っていた使い捨てライターを拝借し、煙草を付けて、煙を深く吸い込んだ。
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TRAININGむざこく30本ノック③28日目
挿入なし、触手とオモチャと前戯だけで黒死牟さんをイかせようとする無惨様。
ねちこいめのtkb攻め必須
※タイトルほどエロくないのでR18つけてないです。
挿入なし、触手とオモチャと前戯だけで黒死牟さんをイかせようとする無惨様。ねちこいめのtkb攻め必須 黒死牟は変則的な間隔で正体を失くす時がある。
敵味方見境なく技を繰り出して、辺り一面を血の海に変えていく。こうなると誰も止められない。厄介だと察した十二鬼月は早々に姿を消し、逃げ遅れた雑魚の鬼たちが次々と肉塊へと変えられる。
逃げ遅れるのも仕方無いだろう。獣が吠えるような低い唸り声を上げながら技を繰り出す姿に総毛立ち、足が竦んで動けないのだ。
「いいかげんにしろ」
すらりとした洋装の美形が血みどろの上に立つ。黒死牟の刃の切っ先は細く尖った鼻先でぴたりと止まった。
それは黒死牟の意思で止めた。どれだけ正体を失くしても、鬼舞辻無惨、そう、主にだけは歯向かってはいけないということは解るのだ。
無惨の登場で雑魚たちは「救われた」と思ったが大きな間違いである。黒死牟は器用にも無惨だけを避け攻撃を繰り出す。そして、無惨も「黒死牟にも勝てない鬼が役に立つはずもない」と止めもせず冷ややかに見ている。
2103敵味方見境なく技を繰り出して、辺り一面を血の海に変えていく。こうなると誰も止められない。厄介だと察した十二鬼月は早々に姿を消し、逃げ遅れた雑魚の鬼たちが次々と肉塊へと変えられる。
逃げ遅れるのも仕方無いだろう。獣が吠えるような低い唸り声を上げながら技を繰り出す姿に総毛立ち、足が竦んで動けないのだ。
「いいかげんにしろ」
すらりとした洋装の美形が血みどろの上に立つ。黒死牟の刃の切っ先は細く尖った鼻先でぴたりと止まった。
それは黒死牟の意思で止めた。どれだけ正体を失くしても、鬼舞辻無惨、そう、主にだけは歯向かってはいけないということは解るのだ。
無惨の登場で雑魚たちは「救われた」と思ったが大きな間違いである。黒死牟は器用にも無惨だけを避け攻撃を繰り出す。そして、無惨も「黒死牟にも勝てない鬼が役に立つはずもない」と止めもせず冷ややかに見ている。
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TRAININGむざこく30本ノック③27日目
超やきもち妬きの黒死牟と素直に「お前が一番」と言えない表せない無惨様
超やきもち妬きの黒死牟と素直に「お前が一番」と言えない表せない無惨様 十人に聞けば十人全員が「あんな男、好きになっちゃ駄目だよ」と言うだろう。自分の惚れた相手は、そういう男なのだ。そんなこと、言われなくても解っている、と黒死牟は常に思っていた。
彼のスーツをクリーニングに出す前に、ポケットの中に何か残っていないか確かめると、胸ポケットから華奢なゴールドのフープピアスが出てきた。
浮気をするのは結構だが、こういう行儀の悪い女はやめて欲しい、と黒死牟は心底思っている。無惨が左手薬指に嵌めている指輪が見えないのだろうか。会う時には外しているのかもしれないが。
悪い男に惚れた自分が悪いと思っているが、ピアスをジッパー付きの小さな保存袋に入れた。だが、自分は問い詰めて良い立場の人間ではない。彼と戸籍上では何の結びつきもなく、契約関係があるとすれば、彼は雇用主であり、自分は従業員。それだけだ。
1958彼のスーツをクリーニングに出す前に、ポケットの中に何か残っていないか確かめると、胸ポケットから華奢なゴールドのフープピアスが出てきた。
浮気をするのは結構だが、こういう行儀の悪い女はやめて欲しい、と黒死牟は心底思っている。無惨が左手薬指に嵌めている指輪が見えないのだろうか。会う時には外しているのかもしれないが。
悪い男に惚れた自分が悪いと思っているが、ピアスをジッパー付きの小さな保存袋に入れた。だが、自分は問い詰めて良い立場の人間ではない。彼と戸籍上では何の結びつきもなく、契約関係があるとすれば、彼は雇用主であり、自分は従業員。それだけだ。
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TRAININGむざこく30本ノック③26日目
むざこくにちょっかいを掛けて楽しむカガヤ様
※カガヤ様は二人の反応を面白がって楽しんでいるだけで本気でNTRする気は無し
【注意!】かが→むざ要素を含みます。
むざこくにちょっかいを掛けて楽しむカガヤ様 ツーッツーッツーッ……。
また無惨に着信拒否された。ここ半月、毎朝4時に電話を掛けていたら、遂に拒否されたのだ。
初めからこうしていれば良いのに、無惨は変に律儀なところがあって、ご丁寧に半月様子を見て、やっと着信拒否にしたのだ。
「ふふっ、可愛いなぁ……」
電源を切るなり何なり出来るのに、何故か毎朝4時に出てしまう。恐らく「掛かってきた電話は取り敢えず出る」という習性があるのだろう。
だったら次は非通知で掛けるか、と思い、頭に184を付けて発信する。
「ヤッホー! 無惨!!」
「おはようございます、耀哉様」
「あれ、巌勝?」
「黒死牟でございます」
無惨のスマホに掛けたはずなのに出たのは黒死牟こと巌勝だった。
3105また無惨に着信拒否された。ここ半月、毎朝4時に電話を掛けていたら、遂に拒否されたのだ。
初めからこうしていれば良いのに、無惨は変に律儀なところがあって、ご丁寧に半月様子を見て、やっと着信拒否にしたのだ。
「ふふっ、可愛いなぁ……」
電源を切るなり何なり出来るのに、何故か毎朝4時に出てしまう。恐らく「掛かってきた電話は取り敢えず出る」という習性があるのだろう。
だったら次は非通知で掛けるか、と思い、頭に184を付けて発信する。
「ヤッホー! 無惨!!」
「おはようございます、耀哉様」
「あれ、巌勝?」
「黒死牟でございます」
無惨のスマホに掛けたはずなのに出たのは黒死牟こと巌勝だった。
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TRAININGむざこく30本ノック③24日目
「主に対して不敬だろうか…」とか思いつつもどうしても欲しがる身体に我慢が出来ず頑張ってアレコレたどたどしく下手なお誘いを掛ける黒死牟になかなかノッてくれない無惨様
やきもきする黒死牟
それを見透かし内心ニヤニヤしながら「可愛い奴め、さて、次はどう出るかな?」と年上の余裕を見せつつ実はアタックしてくれる黒死牟に満更でもない無惨様(略)
「主に対して不敬だろうか…」とか思いつつもどうしても欲しがる身体に我慢が出来ず… 勤務時間、黒死牟が真剣な表情でスマホを向かい合っていると、それは何やら大変なことが起きたのだろう、と誰もが思う。実際、黒死牟にとっては一大事なのだ。
彼が必死で検索している情報。
「彼をその気にさせる方法」
検索バーにそう打ち込んで、すべての検索結果に目を通しているのだ。
そうか、男性は甘える系の仕草に弱いのか……と己が男であることを忘れ、20代の女子たちのクチコミを真剣に見ている。
今日は何故か妙にムラムラする。朝から黒死牟はずっと「その気」なのだが、こういう時に限って無惨は何も仕掛けてこないのだ。
今晩は絶対にセックスしたい。その一心で、確実に無惨に抱いてもらえる方法を考えているのだ。
だが、そもそも、こちらから無惨を誘うなど無礼だろうか……という迷いも未だ払拭出来ずにいる。なので、ストレートに「セックスしませんか?」と誘うには気が引けるので、無惨からの誘いで自然な流れでセックスするよう仕向ける準備をしているのだ。
2379彼が必死で検索している情報。
「彼をその気にさせる方法」
検索バーにそう打ち込んで、すべての検索結果に目を通しているのだ。
そうか、男性は甘える系の仕草に弱いのか……と己が男であることを忘れ、20代の女子たちのクチコミを真剣に見ている。
今日は何故か妙にムラムラする。朝から黒死牟はずっと「その気」なのだが、こういう時に限って無惨は何も仕掛けてこないのだ。
今晩は絶対にセックスしたい。その一心で、確実に無惨に抱いてもらえる方法を考えているのだ。
だが、そもそも、こちらから無惨を誘うなど無礼だろうか……という迷いも未だ払拭出来ずにいる。なので、ストレートに「セックスしませんか?」と誘うには気が引けるので、無惨からの誘いで自然な流れでセックスするよう仕向ける準備をしているのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック③22日目
焼きそば
焼きそば それは休日の昼前の出来事だった。
「今日の昼飯は焼きそばでいいか?」
「え?」
無惨の世界からは縁遠い食べ物の名称が出てきたので、黒死牟はスマホを持ったまま固まってしまった。
「嫌いか?」
「いえ、そうではなく……」
昔、カップ焼きそばの湯切りをする際、誤って麺をすべてシンクに落として以来、カップ焼きそばは絶対に食べないと言っていた無惨なので、カップ焼きそばを提供するつもりはないだろう。そもそも無惨が自宅でインスタント食品を食べているところ見たことがない。あれは仕事中の時間がない時に食べるものだ、と言っていたので、食に対する意識はめちゃくちゃ高いのだ。
そんな無惨が焼きそば……あまりのギャップに黒死牟はぼんやりとしていると「お前は何もしなくて良いから、まぁ、そこに座って見ていろ」とソファに座らされた。
2123「今日の昼飯は焼きそばでいいか?」
「え?」
無惨の世界からは縁遠い食べ物の名称が出てきたので、黒死牟はスマホを持ったまま固まってしまった。
「嫌いか?」
「いえ、そうではなく……」
昔、カップ焼きそばの湯切りをする際、誤って麺をすべてシンクに落として以来、カップ焼きそばは絶対に食べないと言っていた無惨なので、カップ焼きそばを提供するつもりはないだろう。そもそも無惨が自宅でインスタント食品を食べているところ見たことがない。あれは仕事中の時間がない時に食べるものだ、と言っていたので、食に対する意識はめちゃくちゃ高いのだ。
そんな無惨が焼きそば……あまりのギャップに黒死牟はぼんやりとしていると「お前は何もしなくて良いから、まぁ、そこに座って見ていろ」とソファに座らされた。
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TRAININGむざこく30本ノック③21日目
カラダから始まるむざこく
カラダから始まるむざこく どうして俺は上司と一緒にラブホテルにいるのだろうか。
黒死牟は大きなベッドに腰掛け、ずっと悩んでいた。
しかも上司は男、衆議院議員の鬼舞辻無惨である。
酔った無惨を自宅に送り届ける、なんてことは日常茶飯事なのだが、今日はそれほど酔った感じでもない。寧ろ、素面に近いくらい冷静だ。
「晩飯でも食って帰ろう」
そう誘われ、車の鍵を取ろうとしたら止められた。何故か車を出さず、事務所の近くの店に行くことになる。
「今日はお前も飲め」
その為だったようで、その言葉に甘えて二人で飲んだが、二人とも泥酔と呼ぶほど飲んだ記憶はない。
支払いを済ませた無惨が「少し歩こう」と言うので、日付の変わった夜の街を二人で並んで歩いた。週末なので夜遅い時間だが人通りは多い。ただ、陽気な酔っ払いが多いようで、自分たちが並んで歩いていても誰も気付かないようだ。
2367黒死牟は大きなベッドに腰掛け、ずっと悩んでいた。
しかも上司は男、衆議院議員の鬼舞辻無惨である。
酔った無惨を自宅に送り届ける、なんてことは日常茶飯事なのだが、今日はそれほど酔った感じでもない。寧ろ、素面に近いくらい冷静だ。
「晩飯でも食って帰ろう」
そう誘われ、車の鍵を取ろうとしたら止められた。何故か車を出さず、事務所の近くの店に行くことになる。
「今日はお前も飲め」
その為だったようで、その言葉に甘えて二人で飲んだが、二人とも泥酔と呼ぶほど飲んだ記憶はない。
支払いを済ませた無惨が「少し歩こう」と言うので、日付の変わった夜の街を二人で並んで歩いた。週末なので夜遅い時間だが人通りは多い。ただ、陽気な酔っ払いが多いようで、自分たちが並んで歩いていても誰も気付かないようだ。
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TRAININGむざこく30本ノック③20日目
事後のピロートーク
事後のピロートーク ギシギシとベッドのスプリングが軋む音がする。そこに濡れた粘膜を掻き混ぜる音と湿った肌を打ち合わせる音、そして自分のはしたない喘ぎ声。何度こうした行為を重ねても、絶頂を迎えた時には得たことのない幸福感に満たされ、痙攣する下腹を更に揺さぶるように彼が腰を打ち付けると、ぎゅっと抱き締められ、悩ましげな吐息が耳朶に触れる。余韻を味わうように体を密着させたまま息を整え、ゆっくりと体を離すと、使用済みのラテックスの薄膜をゴミ箱に捨てて、広いベッドの上で並んで横になった。
無惨は「終わった」からと言って、急に煙草を吸ったり、スマホを弄ったり、ひとりで勝手にシャワーを浴びに行くような真似をせず、優しく黒死牟を抱き締めるのだ。
1974無惨は「終わった」からと言って、急に煙草を吸ったり、スマホを弄ったり、ひとりで勝手にシャワーを浴びに行くような真似をせず、優しく黒死牟を抱き締めるのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック③17日目
黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
2382長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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TRAININGむざこく30本ノック③15日目
陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか それは初恋の憧れに似ていた。
手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。
「今日も雲ひとつない晴天ですね」
黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
2129手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。
「今日も雲ひとつない晴天ですね」
黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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TRAININGむざこく30本ノック③14日目
らんま1/2の呪泉郷に落ちるむざこく
らんま1/2の呪泉郷に落ちるむざこく だから嫌いなのだ、確定していない情報は。
「どうやら清の国辺りに、変わった泉がある」
ざっくりした情報である。普段の無惨なら酒の席の話だと聞き流すのだが、その泉で水浴びをすれば不老不死になる、若返る等、様々な伝説があるそうだ。しかし、泉のある藩部辺りはかなりの田舎であり、清の統治下にあるものの政治的に不安定な地域の為、なかなか誰も行きたがらないので真偽不明とのこと。
「だが、日本にも、その泉に似た場所があるようでね……」
男がそう言った瞬間、無惨は身を乗り出した。いつも何をしても眉ひとつ動かさない美貌の芸妓が自分の話に食いついたので、男は気を良くしている。
「その泉に落ちたら、むさ苦しい熊のような男でも、君のような美女になるらしいぞ」
2916「どうやら清の国辺りに、変わった泉がある」
ざっくりした情報である。普段の無惨なら酒の席の話だと聞き流すのだが、その泉で水浴びをすれば不老不死になる、若返る等、様々な伝説があるそうだ。しかし、泉のある藩部辺りはかなりの田舎であり、清の統治下にあるものの政治的に不安定な地域の為、なかなか誰も行きたがらないので真偽不明とのこと。
「だが、日本にも、その泉に似た場所があるようでね……」
男がそう言った瞬間、無惨は身を乗り出した。いつも何をしても眉ひとつ動かさない美貌の芸妓が自分の話に食いついたので、男は気を良くしている。
「その泉に落ちたら、むさ苦しい熊のような男でも、君のような美女になるらしいぞ」
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TRAININGむざこく30本ノック③13日目
零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
「おい、零余子!」
「はい!」
「零余子!」
「はいー!!!!」
多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
3210朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
「おい、零余子!」
「はい!」
「零余子!」
「はいー!!!!」
多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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TRAININGむざこく30本ノック③12日目
無惨様と黒死牟がねるとんで出会う
無惨様と黒死牟がねるとんで出会う 1989年、日本がバブル景気で沸いていた時代、ひとつのテレビ番組を真似た「ねるとんパーティー」というお見合いパーティーが大流行した。
恋人を探すフリーの男女が集まるのだが、全員が全員、それが目的ではない。
中には、この月彦のようにマルチ商法、所謂ねずみ講の勧誘の為に参加した者や、巌勝のように「客寄せパンダ」のアルバイトとしてやってきた者もいるので、玉石混交の中から運命の相手を見つけるのは本当に難しい。その上、惜しむらくは、そういった「マジの参加」ではない人物の方が容姿も良く、異性の食いつきが良いのだ。
パーティーはまず自己紹介タイムから始まる。
「鬼舞辻月彦です。職業は会社経営をしています」
嘘ではない。実際、いくつかのネットワークビジネスで、元締めに近いところにいて、下っ端から相当な金を巻き上げている。愛車はBMWの3シリーズ、オーダーメイドのダブルのスーツに腕には金色のロレックスが輝いている。
3482恋人を探すフリーの男女が集まるのだが、全員が全員、それが目的ではない。
中には、この月彦のようにマルチ商法、所謂ねずみ講の勧誘の為に参加した者や、巌勝のように「客寄せパンダ」のアルバイトとしてやってきた者もいるので、玉石混交の中から運命の相手を見つけるのは本当に難しい。その上、惜しむらくは、そういった「マジの参加」ではない人物の方が容姿も良く、異性の食いつきが良いのだ。
パーティーはまず自己紹介タイムから始まる。
「鬼舞辻月彦です。職業は会社経営をしています」
嘘ではない。実際、いくつかのネットワークビジネスで、元締めに近いところにいて、下っ端から相当な金を巻き上げている。愛車はBMWの3シリーズ、オーダーメイドのダブルのスーツに腕には金色のロレックスが輝いている。
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TRAININGむざこく30本ノック③9日目
マフィアの抗争に巻き込まれる議員と秘書
マフィアの抗争に巻き込まれる議員と秘書 マフィアのボスが亡くなった。その報せは我が国の政治家の元にも届いた。
そのボスはアジア全域に幅を利かせるほどの権力を持ち、国家主席に匹敵するほどの地位に上り詰めた為、我が国の政治家も浅からぬ付き合いがあった。無惨に関しては父親の代から懇意にしていた相手であり、その国を訪れた時はボスの屋敷に招待されていた。表に出せる交際から、裏での武器の調達や不透明な金の流れ等、不都合もかなり知られた相手である。
次のボスとも顔を繋がなくてはいけない。と様々なことを考えたが、個人的に線香の1本でもあげにいってやりたいという想いがあった。
何故かそのボスは子供の頃から無惨を見ては「男にしておくのが惜しい」「女に生まれていたら嫁に迎えた」と何度も言っていて、実際、武器を調達した時に黒死牟が「相場よりゼロが2つは少ないです……」とドン引きしたくらい優遇してくれていた。
4036そのボスはアジア全域に幅を利かせるほどの権力を持ち、国家主席に匹敵するほどの地位に上り詰めた為、我が国の政治家も浅からぬ付き合いがあった。無惨に関しては父親の代から懇意にしていた相手であり、その国を訪れた時はボスの屋敷に招待されていた。表に出せる交際から、裏での武器の調達や不透明な金の流れ等、不都合もかなり知られた相手である。
次のボスとも顔を繋がなくてはいけない。と様々なことを考えたが、個人的に線香の1本でもあげにいってやりたいという想いがあった。
何故かそのボスは子供の頃から無惨を見ては「男にしておくのが惜しい」「女に生まれていたら嫁に迎えた」と何度も言っていて、実際、武器を調達した時に黒死牟が「相場よりゼロが2つは少ないです……」とドン引きしたくらい優遇してくれていた。
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TRAININGむざこく30本ノック③6日目
吸血鬼パロディ
大好きなインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアから、設定をいっぱいパクってきたよw
吸血鬼パロディ 幼き日より自分の隣には常に「死」が纏わりついていた。
それは姿も匂いも音もなく近付いてきて、身近な人を次々と奪っていく。
祖父母を、両親を、兄弟を、立て続けに流行り病で亡くし、天涯孤独の身でありながら、家族の遺した財産で、住まいを移し、牧場の経営を始めた。経営が安定し始め、妻を迎え、穏やかで裕福な生活を送って、やっと「死」から逃げられたと思ったが、今回は身重の妻を「死」に奪われた。それは自分が仕事の為に首都に向かった、たった数日、家を空けた時のことであった。
こんな田舎町では珍しい猟奇的な殺人事件であった。当時、家にいた使用人も皆殺しにされた上、妻は腹を切られ、胎盤ごと子供が抉り出されていた。
3012それは姿も匂いも音もなく近付いてきて、身近な人を次々と奪っていく。
祖父母を、両親を、兄弟を、立て続けに流行り病で亡くし、天涯孤独の身でありながら、家族の遺した財産で、住まいを移し、牧場の経営を始めた。経営が安定し始め、妻を迎え、穏やかで裕福な生活を送って、やっと「死」から逃げられたと思ったが、今回は身重の妻を「死」に奪われた。それは自分が仕事の為に首都に向かった、たった数日、家を空けた時のことであった。
こんな田舎町では珍しい猟奇的な殺人事件であった。当時、家にいた使用人も皆殺しにされた上、妻は腹を切られ、胎盤ごと子供が抉り出されていた。
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TRAININGむざこく30本ノック③5日目
アイドル無惨様×リーマン巌勝
アイドル無惨様×リーマン巌勝「頭を垂れて蹲え、平伏せよ」
「無惨様ぁー!!!!!!」
今日も無惨の前には「鬼」と呼ばれるファンがひれ伏している。類い稀なる美しい容姿は男女問わず大人気の為、皆が大きなうちわに「罵って」「踏みつけて」「餌にして」と書いて無惨に向けて振っている。どうやら、それらがファンサービスらしく、「上弦会議」と呼ばれる握手会では無惨にクリスチャン・ルブタンの靴で踏まれることを望むファンが後を絶たず、無惨も容赦なく踏みつけにする為、ファンは「最後に何も言い残すことはない、私を鬼にしてくれてありがとう」と魂を抜かれた状態で、スタッフに引きずられながら帰っていくのだ。
この継国巌勝も、そのファンのひとりだ。
高校時代に偶然、友人に誘われて武道館ライブに行ったのだが、そこから無惨の大ファンになり、大学、そして社会人になっても「無惨最推し」と書いた法被を着てライブに行っているのだ。
3181「無惨様ぁー!!!!!!」
今日も無惨の前には「鬼」と呼ばれるファンがひれ伏している。類い稀なる美しい容姿は男女問わず大人気の為、皆が大きなうちわに「罵って」「踏みつけて」「餌にして」と書いて無惨に向けて振っている。どうやら、それらがファンサービスらしく、「上弦会議」と呼ばれる握手会では無惨にクリスチャン・ルブタンの靴で踏まれることを望むファンが後を絶たず、無惨も容赦なく踏みつけにする為、ファンは「最後に何も言い残すことはない、私を鬼にしてくれてありがとう」と魂を抜かれた状態で、スタッフに引きずられながら帰っていくのだ。
この継国巌勝も、そのファンのひとりだ。
高校時代に偶然、友人に誘われて武道館ライブに行ったのだが、そこから無惨の大ファンになり、大学、そして社会人になっても「無惨最推し」と書いた法被を着てライブに行っているのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック②30日目
※注意※
モブ女と浮気する無惨様です。
議員に秋波を送るホステスに向かって止せば良いのにマウントを取るような事を言ってしまう秘書 馬鹿いってんじゃないよ お前と俺は
ケンカもしたけどひとつ屋根の下暮らして来たんだぜ
馬鹿いってんじゃないよ お前の事だけは
一日たりとも 忘れた事など無かった俺だぜ
本当に「馬鹿いってんじゃないよ」である。
付き合い始めて3年目。これまでも、ちょこちょこ怪しい動きはあったが、恐らく今、正に「浮気に発展する瞬間」を自分は見届けている状態なのだ。
付き合いで来た銀座の高級クラブ。「付き合いで」と言っているが大嘘である。常連だ。何度もクレジットカードの明細で名前を見ているし、交際費で落とせと領収証を渡されている。
たまたま「付き合いで」連れてこられたのは黒死牟の方である。普段、黒死牟の目を搔い潜って来ているのに、今日に限って「お供致します」と黒死牟は着いてきたのだ。
2664ケンカもしたけどひとつ屋根の下暮らして来たんだぜ
馬鹿いってんじゃないよ お前の事だけは
一日たりとも 忘れた事など無かった俺だぜ
本当に「馬鹿いってんじゃないよ」である。
付き合い始めて3年目。これまでも、ちょこちょこ怪しい動きはあったが、恐らく今、正に「浮気に発展する瞬間」を自分は見届けている状態なのだ。
付き合いで来た銀座の高級クラブ。「付き合いで」と言っているが大嘘である。常連だ。何度もクレジットカードの明細で名前を見ているし、交際費で落とせと領収証を渡されている。
たまたま「付き合いで」連れてこられたのは黒死牟の方である。普段、黒死牟の目を搔い潜って来ているのに、今日に限って「お供致します」と黒死牟は着いてきたのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック②29日目
大阪を舞台の食べ歩きになりました。
現パログルメ系 それは二人が交際し始めて一年も経っていない頃だった。
京都の県議に応援を依頼され、黒死牟は初めて無惨と共に京都入りすることになる。東京から京都に戻る時、無惨は大抵新幹線を使うが、無惨は気紛れに「飛行機で帰りたい」と言い出した。
「畏まりました」
黒死牟は羽田空港から関西空港行きの航空券を手配しようとするが、マウスを握る手に触れ、ニッコリと笑う。
「違う、伊丹空港だ」
「伊丹ですか?」
確かに京都に向かうなら伊丹空港からの方が近い。どちらにしても新幹線の方が楽なのになぁ……と黒死牟はやや不満げにしている。
その上、ついでにブラブラするから予定を一切入れるな、と言う。
「1日オフですか!?」
「たまには良いだろう。調整しろ」
4921京都の県議に応援を依頼され、黒死牟は初めて無惨と共に京都入りすることになる。東京から京都に戻る時、無惨は大抵新幹線を使うが、無惨は気紛れに「飛行機で帰りたい」と言い出した。
「畏まりました」
黒死牟は羽田空港から関西空港行きの航空券を手配しようとするが、マウスを握る手に触れ、ニッコリと笑う。
「違う、伊丹空港だ」
「伊丹ですか?」
確かに京都に向かうなら伊丹空港からの方が近い。どちらにしても新幹線の方が楽なのになぁ……と黒死牟はやや不満げにしている。
その上、ついでにブラブラするから予定を一切入れるな、と言う。
「1日オフですか!?」
「たまには良いだろう。調整しろ」
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TRAININGむざこく30本ノック②23日目
黒死牟に芸妓の擬態(現代軸で女装でもオッケーです!)を要求する無惨様 己のスケジュールを完璧に管理する無惨だが、たまにダブルブッキングしてしまうこともあるのだ。次から次へと予定を詰め込んでしまう性急な性格に加え、現代のように電話ひとつで変更が出来るような便利な時代ではない。
人との付き合いが主である仕事柄、突然頼まれて断れないという場面も多いのだ。
そのダブルブッキングは突然訪れた。
「商談で自分のいる座敷に行くことになった」
顳顬を押さえながら無惨は苛立った様子で言う。
貿易商の集まりで見覚えのある社長がいるなと思ったら、芸妓をしている時の御贔屓さんだと思い出した。海外なら青い彼岸花があるのではないか、と宮内庁や政府に出入りしている貿易商とは必ず繋がりを持っている。時々、それが月彦としての付き合いか、芸妓として座敷で会ったのか解らなくなるくらい、多くの人間と馴染みになっているのだ。
3333人との付き合いが主である仕事柄、突然頼まれて断れないという場面も多いのだ。
そのダブルブッキングは突然訪れた。
「商談で自分のいる座敷に行くことになった」
顳顬を押さえながら無惨は苛立った様子で言う。
貿易商の集まりで見覚えのある社長がいるなと思ったら、芸妓をしている時の御贔屓さんだと思い出した。海外なら青い彼岸花があるのではないか、と宮内庁や政府に出入りしている貿易商とは必ず繋がりを持っている。時々、それが月彦としての付き合いか、芸妓として座敷で会ったのか解らなくなるくらい、多くの人間と馴染みになっているのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック②21日目
心臓を掴む どうか、これ以上、私の心に入ってこないでくれ。
そう思うようになったのは、いつの頃からだっただろうか。
人との距離の取り方が解らない。それは自分の生い立ちに問題があった。しかし、それは社会に出てから気付いたことで、その環境で育っている時に、それが問題であるとは思いもしなかった。
その歪な家庭環境で育ったが故に、他人と接すると、その不可解な言動に心を乱された。
どうして、この人は自分にこんな親切にしてくれるのだろうか?
幼い自分にとって、それは最大の謎だった。
誰の利益になることもしていない、誰の役にも立っていない幼い自分に対し、誰もが我が事のように喜怒哀楽を表現してくれる。
その心の機微に触れる度に吐き気がした。
5023そう思うようになったのは、いつの頃からだっただろうか。
人との距離の取り方が解らない。それは自分の生い立ちに問題があった。しかし、それは社会に出てから気付いたことで、その環境で育っている時に、それが問題であるとは思いもしなかった。
その歪な家庭環境で育ったが故に、他人と接すると、その不可解な言動に心を乱された。
どうして、この人は自分にこんな親切にしてくれるのだろうか?
幼い自分にとって、それは最大の謎だった。
誰の利益になることもしていない、誰の役にも立っていない幼い自分に対し、誰もが我が事のように喜怒哀楽を表現してくれる。
その心の機微に触れる度に吐き気がした。
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TRAININGむざこく30本ノック②17日目
特殊部隊在籍中の、冷徹な巌勝と無惨の出会い それは衆議院の安全保障委員会の委員に初めて専任された時だった。
「私が、ですか?」
議員になったばかりだというのに、とある紛争地域への視察を命じられた。
そもそも、安全保障委員会の業務にそんなものはあったか、それも委員長や理事、所属している派閥の長から言われるなら未だしも、専任したとされる議長から直々に言われるとは何事かと不審に思った。
「鬼舞辻君なら語学も堪能だし、武術もなかなかの腕前らしいね」
思い出した。大学時代に友人に頼まれ剣道の試合に出た。先鋒だったのだが、その時、一本勝ちした相手が議長の息子だった。そう言えば父も現役時代、議長と仲が悪かったので、「鬼舞辻の倅を泣かせてこい」とでも言われたのだろう。オリンピック有力候補とも言われていたようで、周囲はかなり微妙な空気に包まれていた。
3781「私が、ですか?」
議員になったばかりだというのに、とある紛争地域への視察を命じられた。
そもそも、安全保障委員会の業務にそんなものはあったか、それも委員長や理事、所属している派閥の長から言われるなら未だしも、専任したとされる議長から直々に言われるとは何事かと不審に思った。
「鬼舞辻君なら語学も堪能だし、武術もなかなかの腕前らしいね」
思い出した。大学時代に友人に頼まれ剣道の試合に出た。先鋒だったのだが、その時、一本勝ちした相手が議長の息子だった。そう言えば父も現役時代、議長と仲が悪かったので、「鬼舞辻の倅を泣かせてこい」とでも言われたのだろう。オリンピック有力候補とも言われていたようで、周囲はかなり微妙な空気に包まれていた。
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TRAININGむざこく30本ノック②10日目
>紗呼さんの好きな選曲で、サザンの歌をモチーフにしたお話しとかどうでしょうか?
メロディ 地平線に沈む夕日があまりにも綺麗で、ふたりとも言葉が見つからず、無言で見つめていた。
いや、違う。
横で巌勝のすすり泣く声が聞こえる。
だが、自分たちの答えはこれしかなかったのだ。
それは一年前の夏だった。
子供が通う幼稚園の保護者で集まり、河川敷の公園でバーベキューをすることになった。
「るなちゃんの一番の仲良しの子と一緒のグループでバーベキューなんです」
妻の麗が嬉しそうに語る。その母親と麗も仲が良いらしく、予定を空けるように言ってきた。
「仲良しって、そいつは男だろう? るな、あまり仲良くしてはいけないよ」
「まぁ、月彦さんったら、もうそんな心配をしているの?」
「だって、るなは可愛いから……」
4466いや、違う。
横で巌勝のすすり泣く声が聞こえる。
だが、自分たちの答えはこれしかなかったのだ。
それは一年前の夏だった。
子供が通う幼稚園の保護者で集まり、河川敷の公園でバーベキューをすることになった。
「るなちゃんの一番の仲良しの子と一緒のグループでバーベキューなんです」
妻の麗が嬉しそうに語る。その母親と麗も仲が良いらしく、予定を空けるように言ってきた。
「仲良しって、そいつは男だろう? るな、あまり仲良くしてはいけないよ」
「まぁ、月彦さんったら、もうそんな心配をしているの?」
「だって、るなは可愛いから……」
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TRAININGむざこく30本ノック②3日目
※注意※
無惨様は京都市中京区出身、黒死牟は東京都世田谷区出身。
無惨様的には「東京は田舎」「関西の食文化が最高」
うちの無惨様は素が出ると関西弁になる。
出身地東西食対決(カレーの肉が牛か豚かとか…) それは無惨の何気無い一言から始まった。
「どうして肉じゃがが豚肉なのだ」
質問の意味が解らず、黒死牟は首を傾げる。
「お口に合いませんでしたか?」
「そういう意味ではなく……」
普段、多忙な二人は外食が多い。あとは無惨が料理上手なので、手料理と言えば無惨が喜んでキッチンに立つのだが、たまには大好きな彼氏に手料理を食べさせたいという気持ちが働いた黒死牟は、手料理の定番「肉じゃが」を作って出したのだが、完成したものを見て、無惨は無言で、一向に箸をつけようとしない。
なるべく無惨好みの薄味になるように気を付けた。醤油で濃いめの味付けをしたいところを、出汁をきかせた薄味で、みりんや三温糖を多めに入れて少々甘めに作ったが、食べる前から質問を食らい、黒死牟は落ち込んでいる。
3256「どうして肉じゃがが豚肉なのだ」
質問の意味が解らず、黒死牟は首を傾げる。
「お口に合いませんでしたか?」
「そういう意味ではなく……」
普段、多忙な二人は外食が多い。あとは無惨が料理上手なので、手料理と言えば無惨が喜んでキッチンに立つのだが、たまには大好きな彼氏に手料理を食べさせたいという気持ちが働いた黒死牟は、手料理の定番「肉じゃが」を作って出したのだが、完成したものを見て、無惨は無言で、一向に箸をつけようとしない。
なるべく無惨好みの薄味になるように気を付けた。醤油で濃いめの味付けをしたいところを、出汁をきかせた薄味で、みりんや三温糖を多めに入れて少々甘めに作ったが、食べる前から質問を食らい、黒死牟は落ち込んでいる。
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TRAININGむざこく30本ノック29日目
長期休暇 きっかけは鳴女たち女性スタッフからのストライキだった。
「休みをください!!!!」
悲痛な叫びだ。仕事で趣味、休養、勉強、彼氏と遊ぶ時間、様々なものを犠牲にしているという訴えだった。
「勝手に休めば良いだろう」
「貴方がたが休まないと、他の者が休めませんから!」
ブチ切れた鳴女に言われ、鬼舞辻と黒死牟は国会閉会中の暇そうな1週間に、まとめて休暇を取ることにした。以降、他のスタッフも交代で長期休暇を取るそうだ。
いつも「休みが欲しい」と騒ぐ鬼舞辻だったので、さぞかし喜ぶかと思いきや、初日は泥のように眠ると、それからは何をしたら良いのか解らず、テラスでぼんやりと読みかけだった小説を読んでいた。
黒死牟も同じように鬼舞辻と初日は寝ていたが、翌日はこっそり持ち帰った仕事をして過ごすなど、二人揃って何をすれば良いのか解らない状態だった。
1381「休みをください!!!!」
悲痛な叫びだ。仕事で趣味、休養、勉強、彼氏と遊ぶ時間、様々なものを犠牲にしているという訴えだった。
「勝手に休めば良いだろう」
「貴方がたが休まないと、他の者が休めませんから!」
ブチ切れた鳴女に言われ、鬼舞辻と黒死牟は国会閉会中の暇そうな1週間に、まとめて休暇を取ることにした。以降、他のスタッフも交代で長期休暇を取るそうだ。
いつも「休みが欲しい」と騒ぐ鬼舞辻だったので、さぞかし喜ぶかと思いきや、初日は泥のように眠ると、それからは何をしたら良いのか解らず、テラスでぼんやりと読みかけだった小説を読んでいた。
黒死牟も同じように鬼舞辻と初日は寝ていたが、翌日はこっそり持ち帰った仕事をして過ごすなど、二人揃って何をすれば良いのか解らない状態だった。
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TRAININGむざこく30本ノック28日目
※ダンスのマナーは適当なので、ふわっと雰囲気で読んでください。
ボールルーム「Shall we dance?」
シャンパンを飲みながら談笑している鬼舞辻にダンスを申し込んだのは、秘書の黒死牟だった。
「どうした、いきなり」
「いえ……」
鬼舞辻が真顔で聞き返すと、耳まで真っ赤になっているのが解る。鬼舞辻から面白がって誘うならまだしも、あの堅物の秘書がこんな気障な真似をするのは珍しい。ボーイにグラスを渡し、黒死牟の差し出した手を取って、ダンスフロアの中央へ行く。二人の登場に会場の視線が一気に集まる。周囲に手を振りながら、鬼舞辻は黒死牟と向かい合い姿勢を正す。
「お前、フォローは出来るのか?」
「いえ……ダンスは不得手で……リード役の基本的なステップくらいしか……」
「だよな……よくそれで、私にダンスを申し込んだな」
1601シャンパンを飲みながら談笑している鬼舞辻にダンスを申し込んだのは、秘書の黒死牟だった。
「どうした、いきなり」
「いえ……」
鬼舞辻が真顔で聞き返すと、耳まで真っ赤になっているのが解る。鬼舞辻から面白がって誘うならまだしも、あの堅物の秘書がこんな気障な真似をするのは珍しい。ボーイにグラスを渡し、黒死牟の差し出した手を取って、ダンスフロアの中央へ行く。二人の登場に会場の視線が一気に集まる。周囲に手を振りながら、鬼舞辻は黒死牟と向かい合い姿勢を正す。
「お前、フォローは出来るのか?」
「いえ……ダンスは不得手で……リード役の基本的なステップくらいしか……」
「だよな……よくそれで、私にダンスを申し込んだな」
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TRAININGむざこく30本ノック27日目
夏場に、前世では絶対に見られなかった「ちょっと日に焼けたむざんさま」を目の当たりにして… 夏特有の集中豪雨で、南方の一部地域が被災し、当時、環境省の副大臣をしていた鬼舞辻は視察に行くことになった。
「はぁ? こんな時に政治家が背広組を引き連れて行っても、邪魔なだけだろう」
「恒例ですので……」
毎度毎度あんなの迷惑なのに、と言っていたが、副大臣という立場上、仕方が無いと黒死牟に説得され出向くこととなった。
が。
「先生、流石にその格好は……」
「お前も動きやすい格好で行け。あと、現地の役人に出迎えは無用だと言っておけ」
確かに彼の言い分は正しい。同行させる人間も黒死牟ひとりで良いと、背広組は霞ヶ関に待機するよう命じている。そして、自分自身はジーンズにスニーカー、Tシャツ姿で、長い前髪を高い位置でマンバンにしている。
1425「はぁ? こんな時に政治家が背広組を引き連れて行っても、邪魔なだけだろう」
「恒例ですので……」
毎度毎度あんなの迷惑なのに、と言っていたが、副大臣という立場上、仕方が無いと黒死牟に説得され出向くこととなった。
が。
「先生、流石にその格好は……」
「お前も動きやすい格好で行け。あと、現地の役人に出迎えは無用だと言っておけ」
確かに彼の言い分は正しい。同行させる人間も黒死牟ひとりで良いと、背広組は霞ヶ関に待機するよう命じている。そして、自分自身はジーンズにスニーカー、Tシャツ姿で、長い前髪を高い位置でマンバンにしている。
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TRAININGむざこく30本ノック26日目
秘書のサングラスからチラッと覗く切れ長の目にイライラムラムラする無惨様 人前で絶対にサングラスを外すな。
それは鬼舞辻からの一番初めに出された命令だった。勿論、理由など尋ねるわけもなく「御意」の一言で終わり、黒死牟は何の疑問も抱かず実行している。
黒死牟という名前も鬼舞辻が名付けた偽名で、彼の素性の解るものは全て隠されている。
秘密主義の鬼舞辻らしいと思い、黙って従っているのだが、夜間のサングラスだけは実に鬱陶しいこと、この上ない。
しかし、鬼舞辻の許可なく外せず、目上の人間相手でもサングラス姿なので無礼だと叱られることもあるが、鬼舞辻が睥睨することで黙らせることが出来てしまうので、サングラスを外す理由がどんどん減ってしまい、四六時中サングラスをするはめになってしまった。
1082それは鬼舞辻からの一番初めに出された命令だった。勿論、理由など尋ねるわけもなく「御意」の一言で終わり、黒死牟は何の疑問も抱かず実行している。
黒死牟という名前も鬼舞辻が名付けた偽名で、彼の素性の解るものは全て隠されている。
秘密主義の鬼舞辻らしいと思い、黙って従っているのだが、夜間のサングラスだけは実に鬱陶しいこと、この上ない。
しかし、鬼舞辻の許可なく外せず、目上の人間相手でもサングラス姿なので無礼だと叱られることもあるが、鬼舞辻が睥睨することで黙らせることが出来てしまうので、サングラスを外す理由がどんどん減ってしまい、四六時中サングラスをするはめになってしまった。
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TRAININGむざこく30本ノック24日目
始祖が秘書上を肩に担いで安産型の尻を叩く 誰だ、先生の椅子でふんぞり返っている感じの悪い男は。
そう思うものの、その男は鬼舞辻に瓜二つで、寧ろ、鬼舞辻よりも妙な大物感がある。親戚など血縁者はすべて把握しているが、あんな男は存在していなかった。
警戒する黒死牟を見て、退屈そうに欠伸をする。
「おい、お前」
「お前と呼ばれる筋合いはない」
声音まで似ていることに驚いたが、毅然とした態度で黒死牟が返事をすると、不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。机に右肘をついて首を傾けたまま、下から睨めつけるように黒死牟を見る。
「口の利き方に気を付けろ、継国巌勝」
本名を呼ばれ、黒死牟の指先が僅かに震えるが、ぐっと拳を握り締め耐えた。その名を知る者は鬼舞辻しかいない。久方振りにその名で呼ばれ、反応する自分にも驚いた。
3030そう思うものの、その男は鬼舞辻に瓜二つで、寧ろ、鬼舞辻よりも妙な大物感がある。親戚など血縁者はすべて把握しているが、あんな男は存在していなかった。
警戒する黒死牟を見て、退屈そうに欠伸をする。
「おい、お前」
「お前と呼ばれる筋合いはない」
声音まで似ていることに驚いたが、毅然とした態度で黒死牟が返事をすると、不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。机に右肘をついて首を傾けたまま、下から睨めつけるように黒死牟を見る。
「口の利き方に気を付けろ、継国巌勝」
本名を呼ばれ、黒死牟の指先が僅かに震えるが、ぐっと拳を握り締め耐えた。その名を知る者は鬼舞辻しかいない。久方振りにその名で呼ばれ、反応する自分にも驚いた。
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TRAININGむざこく30本ノック23日目
お互い浮気相手として遊びで始まった二人が本気になっていくむざこく「黒死牟、お前は付き合っている相手がいるのか?」
「え?」
突然の質問に持っていたスマホを落とした。
それを今、聞くか? と黒死牟は思った。それは三度目のセックスが終わった、ベッドの中で聞かれた。
「あの……」
「いや、いい。お前は好い男だからな、付き合っている女のひとりやふたり、いてもおかしくはないな」
煙草を吸いながら自己完結する鬼舞辻だが、どうして今更、そんなことを聞いてきたのか解らない。
「おりますが……」
数ヶ月前、付き合いで行った合コンで知り合った女性と交際していたが、結婚したいという向こうの熱量が酷すぎて、黒死牟の感情がついていかず疎遠になっていた。
「そういう先生もいらっしゃいますよね?」
2042「え?」
突然の質問に持っていたスマホを落とした。
それを今、聞くか? と黒死牟は思った。それは三度目のセックスが終わった、ベッドの中で聞かれた。
「あの……」
「いや、いい。お前は好い男だからな、付き合っている女のひとりやふたり、いてもおかしくはないな」
煙草を吸いながら自己完結する鬼舞辻だが、どうして今更、そんなことを聞いてきたのか解らない。
「おりますが……」
数ヶ月前、付き合いで行った合コンで知り合った女性と交際していたが、結婚したいという向こうの熱量が酷すぎて、黒死牟の感情がついていかず疎遠になっていた。
「そういう先生もいらっしゃいますよね?」
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TRAININGむざこく30本ノック22日目
銀座 銀座四丁目の交差点に立ち、時計台を眺めていた。
「あの時計塔が出来て90年になるのだな」
ライトアップされた建物を見上げ、無惨が呟いた。
「早いものですね……当時の元号は……」
「明治だな。まぁ、今の時計塔は昭和になって出来た二代目だ」
無惨はボルサリーノのフェルトハットを被り直し、黒死牟と共に夜の銀座を歩いた。
「大正くらいになると、夜も随分過ごしやすくなったと思ったが、近代化が進むにつれ、昼に拘る理由がなくなるほどに、夜は明るく、賑やかになったな」
「そうですね……この銀座に関しては……夜の方が華やかな場所もございますね……」
無惨はこの銀座という街を甚く気に入っていた。流行りのものが何でも手に入り、高級感があり、成熟した街だとよく話していた。
1198「あの時計塔が出来て90年になるのだな」
ライトアップされた建物を見上げ、無惨が呟いた。
「早いものですね……当時の元号は……」
「明治だな。まぁ、今の時計塔は昭和になって出来た二代目だ」
無惨はボルサリーノのフェルトハットを被り直し、黒死牟と共に夜の銀座を歩いた。
「大正くらいになると、夜も随分過ごしやすくなったと思ったが、近代化が進むにつれ、昼に拘る理由がなくなるほどに、夜は明るく、賑やかになったな」
「そうですね……この銀座に関しては……夜の方が華やかな場所もございますね……」
無惨はこの銀座という街を甚く気に入っていた。流行りのものが何でも手に入り、高級感があり、成熟した街だとよく話していた。
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TRAININGむざこく30本ノック20日目
同衾 夕暮れ時に降り出した雨は一向に止む気配はなく、小雨になるのを待っているうちに深夜になった。
「雨が降るからと早めに皆を帰らせて良かったですね」
観測史上最多の雨量になると言われていたので、雨が降る前に他のスタッフは帰らせていた。事務所内には鬼舞辻と黒死牟だけだった。
「この雨だと、車で帰るのも危ないな」
「えぇ、冠水している箇所もあるようで、基本的に職場での待機を推奨しているようです」
鬼舞辻は明日までに目を通したい資料があるから、と事務所に残るつもりだったようで、一人では何かあっては困るからと黒死牟も残っていたのだ。
「近くのホテルを探しましょうか?」
黒死牟が提案するが、ここで自分がホテルに泊まると、「議員様の特権だ」と騒ぐ連中がいるからやめておくと事務所に泊まることにしたようだ。
3419「雨が降るからと早めに皆を帰らせて良かったですね」
観測史上最多の雨量になると言われていたので、雨が降る前に他のスタッフは帰らせていた。事務所内には鬼舞辻と黒死牟だけだった。
「この雨だと、車で帰るのも危ないな」
「えぇ、冠水している箇所もあるようで、基本的に職場での待機を推奨しているようです」
鬼舞辻は明日までに目を通したい資料があるから、と事務所に残るつもりだったようで、一人では何かあっては困るからと黒死牟も残っていたのだ。
「近くのホテルを探しましょうか?」
黒死牟が提案するが、ここで自分がホテルに泊まると、「議員様の特権だ」と騒ぐ連中がいるからやめておくと事務所に泊まることにしたようだ。
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TRAININGむざこく30本ノック19日目
ピンヒール「無惨様……」
「なんだ」
「それは……婦人物の履物では……」
「そうだが」
女装……もとい、女性の姿に擬態はしていない。男の姿、それもスーツ姿のまま、12センチのハイヒールを履いている。
艶々の真っ黒なパテントレザーにピンヒールの内側と靴底は真っ赤で、強烈な双方の色が無惨の足の甲を更に白く見せている。その上、カットが浅く、プラットフォームが無いので、爪先立ち状態の足の指の隙間が見えて、妙に艶めかしい。
しかし、上記の説明はあくまでも無惨、もしくは第三者目線の感想であり、黒死牟からすれば、竹馬のように歩きにくそうな靴を、何故にあのように嬉しそうに履くのか理解に苦しんでいた。無惨と好い仲になり数百年という長い月日が流れた為、近代的な女性の服装の性的な魅力がさっぱり解らなくなってしまった黒死牟は、無惨のハイヒールに何の魅力も感じないのだ。
1045「なんだ」
「それは……婦人物の履物では……」
「そうだが」
女装……もとい、女性の姿に擬態はしていない。男の姿、それもスーツ姿のまま、12センチのハイヒールを履いている。
艶々の真っ黒なパテントレザーにピンヒールの内側と靴底は真っ赤で、強烈な双方の色が無惨の足の甲を更に白く見せている。その上、カットが浅く、プラットフォームが無いので、爪先立ち状態の足の指の隙間が見えて、妙に艶めかしい。
しかし、上記の説明はあくまでも無惨、もしくは第三者目線の感想であり、黒死牟からすれば、竹馬のように歩きにくそうな靴を、何故にあのように嬉しそうに履くのか理解に苦しんでいた。無惨と好い仲になり数百年という長い月日が流れた為、近代的な女性の服装の性的な魅力がさっぱり解らなくなってしまった黒死牟は、無惨のハイヒールに何の魅力も感じないのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック18日目
下手な嘘 鬼にした者たちの思考を読み取れることは、便利だが不愉快なことも多い。
目の前で媚び諂っている慇懃無礼な雑魚の内心は恐怖、憎悪、野心、どす黒いものに満ち溢れ、同じ空気を吸うのも不愉快なので、気に入らない鬼は即刻処分した。
そんな配下の中で、唯一、自分に必要以上の恐れを持たず、敬意を持って接してくれる男がいた。
元鬼狩りの黒死牟だ。
主の首を持って、こちらに寝返った男だ。いつ寝首を掻かれるか解らない、信用ならない男だと警戒していたが、この男の胸の内は口に出して言う言葉とほぼ同じであった。
「私が恐ろしくはないのか?」
「その強さには……畏敬の念を抱いております……」
それは世辞などではなく、本心のようだ。
1504目の前で媚び諂っている慇懃無礼な雑魚の内心は恐怖、憎悪、野心、どす黒いものに満ち溢れ、同じ空気を吸うのも不愉快なので、気に入らない鬼は即刻処分した。
そんな配下の中で、唯一、自分に必要以上の恐れを持たず、敬意を持って接してくれる男がいた。
元鬼狩りの黒死牟だ。
主の首を持って、こちらに寝返った男だ。いつ寝首を掻かれるか解らない、信用ならない男だと警戒していたが、この男の胸の内は口に出して言う言葉とほぼ同じであった。
「私が恐ろしくはないのか?」
「その強さには……畏敬の念を抱いております……」
それは世辞などではなく、本心のようだ。
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TRAININGむざこく30本ノック11日目
行かないで 無惨が生まれ育った時代を考えると、彼は一緒に住むより通う方が馴染みあるのだろう。
愛しい相手と初めて夜を共にして「逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり」などと後朝の歌を詠むような時代を生きていたので、通い婚に慣れ親しみすぎているのだろう。だからこそ、潜伏先を多数作って上手く立ち回れるのだろう。
中でも一番足を運ぶのは、黒死牟のところであった。
日が暮れた頃に黒死牟の住まいに向かうが、無惨としては「通い婚」という意識はない。あくまでも聞き取り調査である。なので、業務報告を受けたら、さっさと帰って自分の時間を過ごしたいのだ。
しかも、報告といっても、せいぜい柱を倒したくらいで、青い彼岸花は見つからないし、産屋敷の居所も掴めない。無惨の望む報告は何ひとつ返ってこないのだ。
1732愛しい相手と初めて夜を共にして「逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり」などと後朝の歌を詠むような時代を生きていたので、通い婚に慣れ親しみすぎているのだろう。だからこそ、潜伏先を多数作って上手く立ち回れるのだろう。
中でも一番足を運ぶのは、黒死牟のところであった。
日が暮れた頃に黒死牟の住まいに向かうが、無惨としては「通い婚」という意識はない。あくまでも聞き取り調査である。なので、業務報告を受けたら、さっさと帰って自分の時間を過ごしたいのだ。
しかも、報告といっても、せいぜい柱を倒したくらいで、青い彼岸花は見つからないし、産屋敷の居所も掴めない。無惨の望む報告は何ひとつ返ってこないのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック8日目
口紅 あぁ、まただ。
彼がプライベートで車を使用すると、必ずシートの下から口紅が出てくるのだ。
毎度毎度、黒いケースにココマークが入った口紅だ。ただ、今回は白いケースで金色のココマークが入っている。
このブランドを使うような女性とばかり付き合っているのか、それとも、ずっと同じ人と交際が続いているのか。
小さな口紅が己の存在を主張するかのようで不愉快なので、見つけた時は問い詰めもせず速やかに捨てていた。
しかし、こうして度々出てくると気が滅入る。それに一本五千円もすると知り、捨てるのがちょっと勿体無いな……と思っていた。
ネットで調べた時、値段にも驚いたが、その深い赤の妖艶さに胸が痛んだ。
女はたかが口紅一本に五千円も払う。彼に美しいと言われたいがためだけに。そして、その赤い唇で彼に愛の言葉を囁くのだ。
1782彼がプライベートで車を使用すると、必ずシートの下から口紅が出てくるのだ。
毎度毎度、黒いケースにココマークが入った口紅だ。ただ、今回は白いケースで金色のココマークが入っている。
このブランドを使うような女性とばかり付き合っているのか、それとも、ずっと同じ人と交際が続いているのか。
小さな口紅が己の存在を主張するかのようで不愉快なので、見つけた時は問い詰めもせず速やかに捨てていた。
しかし、こうして度々出てくると気が滅入る。それに一本五千円もすると知り、捨てるのがちょっと勿体無いな……と思っていた。
ネットで調べた時、値段にも驚いたが、その深い赤の妖艶さに胸が痛んだ。
女はたかが口紅一本に五千円も払う。彼に美しいと言われたいがためだけに。そして、その赤い唇で彼に愛の言葉を囁くのだ。
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TRAININGむざこく30本ノック7日目
黒革 初めて人を殺した時の感触は、今でもはっきり覚えている。
彼に貰った黒革の手袋を着けたまま、相手の首を思い切り絞めた。
首に指がめり込む感触は覚えているのに、どうして、この男を殺そうと思ったのか、理由はよく覚えていない。多分、彼に「殺してくれ」と頼まれたからだったと思う。
軍隊にいたが、実戦でも素手で人を殺すことなど一度もない。訓練では急所など、人の殺し方は大体学んでいるが、使う日などないと思っていた。だが、その日は案外早くやってきた。それも惚れた男に「殺せ」と命じられただけで実行してしまったのだ。
黒革に包まれた指先が相手の首にめり込み、徐々に男の顔色が変わっていく。
首の骨が折れるのではないかと思うほど絞めているのに、赤黒く膨れた顔は命の火を消そうとはしない。思ったより人間はしぶといと知った。
1464彼に貰った黒革の手袋を着けたまま、相手の首を思い切り絞めた。
首に指がめり込む感触は覚えているのに、どうして、この男を殺そうと思ったのか、理由はよく覚えていない。多分、彼に「殺してくれ」と頼まれたからだったと思う。
軍隊にいたが、実戦でも素手で人を殺すことなど一度もない。訓練では急所など、人の殺し方は大体学んでいるが、使う日などないと思っていた。だが、その日は案外早くやってきた。それも惚れた男に「殺せ」と命じられただけで実行してしまったのだ。
黒革に包まれた指先が相手の首にめり込み、徐々に男の顔色が変わっていく。
首の骨が折れるのではないかと思うほど絞めているのに、赤黒く膨れた顔は命の火を消そうとはしない。思ったより人間はしぶといと知った。
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TRAININGむざこく30本ノック4日目
モーニングコール 何度呼び出そうと、電話で起きたためしがない。
朝弱いくせに夜遊びが好きで、帰ってそのまま寝てくれたら良いのに、何故か翌日の答弁の資料に目を通す。根拠となる資料まで頭に叩き込んでくれるので、隙の無い答弁をしてくれるから助かるが、寝坊して遅刻したら何にもならない。
「さっさと起きてくれよ」
ステアリングリモコンの終話ボタンを押す。GPSで居場所を確認すると、プライベートのマンションにいるようだ。
議員宿舎で寝起きしていることになっているが、夜中にべろんべろんに酔い潰れて、廊下で他の議員と顔を合わせるのが気まずいだの、女を連れ込みにくいだの、それよりも他の議員の妻にちょっかいを出した前科が何犯もあり、なかなか議員宿舎で生活しづらい理由が多く、夜遊びしては、そちらに戻ることが多い。議員宿舎ならこんなお出迎え作業は不要なのに、どこまでも迷惑な話である。
1882朝弱いくせに夜遊びが好きで、帰ってそのまま寝てくれたら良いのに、何故か翌日の答弁の資料に目を通す。根拠となる資料まで頭に叩き込んでくれるので、隙の無い答弁をしてくれるから助かるが、寝坊して遅刻したら何にもならない。
「さっさと起きてくれよ」
ステアリングリモコンの終話ボタンを押す。GPSで居場所を確認すると、プライベートのマンションにいるようだ。
議員宿舎で寝起きしていることになっているが、夜中にべろんべろんに酔い潰れて、廊下で他の議員と顔を合わせるのが気まずいだの、女を連れ込みにくいだの、それよりも他の議員の妻にちょっかいを出した前科が何犯もあり、なかなか議員宿舎で生活しづらい理由が多く、夜遊びしては、そちらに戻ることが多い。議員宿舎ならこんなお出迎え作業は不要なのに、どこまでも迷惑な話である。
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TRAININGむざこく30本ノック2日目
桜並木「おお、絶景、絶景」
無惨は嬉しそうに桜吹雪の下を歩く。蕾のうちに周辺の集落に雑魚鬼を放ち、盛大に食い殺すように命じた。次々と人が姿を消すので「神隠しに遭った」「桜に攫われた」と村人は恐れた。そして人々は夜、出歩かなくなった。鬼狩りに勘繰られる前に無惨によって鬼は消された為、誰の邪魔も入らず、ひっそりと静まり返った川沿いにずらりと咲く、満開の桜並木を独り占めできたのだ。
今宵は満月。暗闇の中、月明かりを浴びて白く輝く桜を見て、無惨は上機嫌だ。
夜桜見物が好きなど、やはり風流なお人だと、数歩後ろを歩いていた黒死牟は桜より無惨を見ている時間の方が長かった。
月や桜ばかり眺め、ずっと上を向いていたが、ふと足元に置かれた地蔵を見ると、折った桜の枝が供えてある。
1420無惨は嬉しそうに桜吹雪の下を歩く。蕾のうちに周辺の集落に雑魚鬼を放ち、盛大に食い殺すように命じた。次々と人が姿を消すので「神隠しに遭った」「桜に攫われた」と村人は恐れた。そして人々は夜、出歩かなくなった。鬼狩りに勘繰られる前に無惨によって鬼は消された為、誰の邪魔も入らず、ひっそりと静まり返った川沿いにずらりと咲く、満開の桜並木を独り占めできたのだ。
今宵は満月。暗闇の中、月明かりを浴びて白く輝く桜を見て、無惨は上機嫌だ。
夜桜見物が好きなど、やはり風流なお人だと、数歩後ろを歩いていた黒死牟は桜より無惨を見ている時間の方が長かった。
月や桜ばかり眺め、ずっと上を向いていたが、ふと足元に置かれた地蔵を見ると、折った桜の枝が供えてある。
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TRAININGむざこく30本ノック1日目
バックハグ 360度、どこから見ても鬼舞辻議員は美しい。
正面から見ると黄金比の整った顔立ちをしており、側貌もEラインで美しい。全体的に色白で肌理も細かい。艶やかな黒髪を前髪は少し長めのゆるいスパイラルパーマで仕上げ、ツーブロックにすることで全体的なボリュームを抑え、もっさりとした印象を与えない。
179センチの長身に、すらりと長い手足。小さな顔。一見細身に見えるが、日々のトレーニングを欠かさず、徹底的に鍛え上げ、体脂肪10%を維持している。
生まれ持った美貌に甘えることなく、美しくある為に日々の努力と多少の人工的な手入れも欠かさない。その精神も美しい。
誰の目にも明らかな部分以外、そう、脱がなければ手入れされていると気付かない部分もあり、それは自分しか知らないと黒死牟の中で妙な優越感があった。体の部位だけでなく、乱れた息遣い、自分に囁きかける甘い声、人前では見せない男としての表情は自分だけが知るベッドの中での鬼舞辻の姿なのだ。
1443正面から見ると黄金比の整った顔立ちをしており、側貌もEラインで美しい。全体的に色白で肌理も細かい。艶やかな黒髪を前髪は少し長めのゆるいスパイラルパーマで仕上げ、ツーブロックにすることで全体的なボリュームを抑え、もっさりとした印象を与えない。
179センチの長身に、すらりと長い手足。小さな顔。一見細身に見えるが、日々のトレーニングを欠かさず、徹底的に鍛え上げ、体脂肪10%を維持している。
生まれ持った美貌に甘えることなく、美しくある為に日々の努力と多少の人工的な手入れも欠かさない。その精神も美しい。
誰の目にも明らかな部分以外、そう、脱がなければ手入れされていると気付かない部分もあり、それは自分しか知らないと黒死牟の中で妙な優越感があった。体の部位だけでなく、乱れた息遣い、自分に囁きかける甘い声、人前では見せない男としての表情は自分だけが知るベッドの中での鬼舞辻の姿なのだ。