圭藤♀「おはよう藤堂、今日もかわいいな」
しぱしぱと高速まばたきを繰り返す葵っちに、やべっこれは完全ミスったわ、要圭はダッシュで校門からやり直したい気持ちを必死に押さえつける。
4月1日、今日こそは“智将のフリした要圭“として完璧に騙し通してやろうと企んでいたのに。心の奥底で、もうひとりの自分がクスクスとあざ笑っている姿が脳裏に浮かぶ。気まぐれ、そして抜き打ちで行う『圭ちゃんでしょうか智将でしょうかクイズ』は今のところ連敗を期している。
「おう、おはよう。智将こそ今日もイケメンじゃん」
予想していた強めのツッコミとは裏腹に、葵っちはからりと笑う。
え、え、バレてない?ていうか葵っちって智将のことイケメンとか思ってたの?
いらんことばかり飛び出しそうになる口をギュッと一文字に結んで、俺も極めて智将らしく笑ってみせる。そうそう、智将の顔ってこういうのだよ。良くも悪くもなさそうっていうか、笑顔で全部いい感じにしようとしてるっていうか。
それはそれとして、圭ちゃんはイケメン判定なのかどうかはあとでしっかり確認しなきゃあ。
ヘヘヘと薄く口を開けながら立ち尽くす俺に、彼女がスッと耳打ちする。
なあ、こないだのハメ撮り、要にもバレちゃいねえよな?
「えっ何それ俺知らない智将そんなことしてんの俺も見たい!!」
勢いよく振り向いた先で、辛抱たまらなくなったらしい葵っちが腹を抱えて身をよじる。
4月1日、今日こそは“智将のフリした要圭“として完璧に騙し通してやろうと企んでいたのに。心の奥底で、なぜかあたふたしているもうひとりの自分は一体どうしてしまったのかしら。