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    kisaragi_hotaru

    ガンマトとポプ受けの文章があります。

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    kisaragi_hotaru

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    指輪ネタで書いてみたかったガンマト。指輪自体は出てこないけど指輪ネタのつもりです。

    #ガンマト
    cyprinid
    #腐向け
    Rot

     食われるかと思った。
     マトリフの前で跪きうやうやしく左手を掬い取ったガンガディアがおもむろに口を開いて指に食らいついたのだ。
     ぎょっ、としたマトリフは次いで感じた痛みに反射的に声を上げて顔を顰める。
     「いってえよ! なにすんだ!」
     突然指を噛まれたのだ。文句も言いたくなるというもの。食い込む歯の感触が消えたことを見計らって掴まれた手を取り戻そうとマトリフは手を引き戻す。
     しかしガンガディアの口は離れたが手は掴まれたまま。見ればマトリフの左手の薬指の付け根から血が滲んでいる。それをガンガディアは舌を這わせて舐め取った。
     「んっ……」
     まるで情事の時のようなねっとりとした舌使いにマトリフの左手が痛みのせいだけでなく震えた。
    そうして血の舐め取られたそこにはくっきりと歯型だけが刻まれていた。
     眼鏡のレンズの向こう側でうっそりと細められた目がそれを見つめる。そうしてマトリフの動揺を感じ取ったのかスッと視線がマトリフへと向けられる。
     「すまないね。できれば回復魔法はかけないでほしい」
     「…………」
     真摯な、懇願にも似た眼差しと共に紡がれた言葉。対するマトリフは黙ってそんなガンガディアの顔と自分の左手を交互に見遣ってから、盛大に大きな溜息を吐き出した。
     ガンガディアの顔が僅かに曇る。
     「……嫌だったかね?」
     「そうじゃねぇよ。呆れてんだ。まだ諦めてなかったのかよ」
     マトリフの左手の薬指に刻んだ歯型を指先で優しく撫でながらガンガディアは小さく微笑む。
     「無論。君が首を縦に振ってくれるまで私は君を口説き続けるとも」
     「……こんな老い先短ぇジジイ相手に……ホントにバカ野郎だぜおめえはよぉ」
     マトリフは右手の掌で目元を覆って俯きながらそう呟いた。マトリフとガンガディアは肉体関係を持っている。ガンガディアがマトリフに想いを打ち明けて、それにマトリフは応えた。しかし、マトリフは高齢だ。自分がいなくなった先のガンガディアの未来までもを縛り付けるつもりは毛頭なかった。それなのに、
     「大魔道士。私は決して諦めることはしない。だから、君が諦めてくれ。どうか私と共に生きてくれ」
     どこまでも真っ直ぐな揺るがない意思。ガンガディアはいつもそうだ。ずっとそうだった。これからもそうなのだろう。諦めてほしいのに。諦めさせたいのに。
     「……っ、ああもう……くそっ」
     マトリフは白髪をがしがしと掻き乱して悪態をつく。降参するしかなかった。人間として逝きたかったという気持ちはあったけれど、それ以上にマトリフはガンガディアと一緒にいたいと思えていた。共に生きようと言われる度に泣きそうになるほどに心が震えた。嬉しくてたまらなかった。切なくてたまらなかった。嫌でも思い知らされる。
     (ああ、オレは……こいつが好きなんだなぁ……) 
     本当に、どうしようもないほどに、愛しく思えるようになっていたのだ。ガンガディアには悔しくて恥ずかしくてとてもじゃないが面と向かって言えはしないが。
     腹を括る時は、今なのだろう。
     「……手、出せ」
     「!! 大魔道士……ッ」
     マトリフの言葉の意を正確に汲み取ったガンガディアはまるで周囲が光り輝いているかのように喜びに満ちた表情を浮かべた。
     素直に差し出された左手をマトリフは乱暴に掴み取ると深呼吸をひとつ、ふたつ、みっつした後にようやく口を開いて薬指へと噛み付いた。
     ガンガディアの指は太いが、情事の際には比べ物にならないほどに太くて長くて硬いものを咥え込んだこともあるのだ。これくらいやってみせるとマトリフは謎の意地を張って薬指の根本まで深く咥え込む。危うく鋭利な爪が喉の奥を引き裂きそうになりガンガディアの手が引き留めてそれを事前に制した。
     えずきそうになりながらもマトリフはなんとか付け根に到達し、そこで一旦動きを止める。上目遣いでガンガディアを見遣れば、彼もまたマトリフを見つめていた。
     そうして、マトリフは思いきり歯を食いしばった。
     ガンガディアの分厚い皮膚を犬歯で突き破る感触。次いでマトリフの口内に少しずつ流れ込んできたもの、青い色をしているそれを――ガンガディアの血をマトリフは飲み込んだ。
     「んっ……んぅ……」
     溢れてくるガンガディアの血が口内でマトリフの唾液と混じり合い、喉を伝って体内へと流れ落ちていく。不思議な感覚だった。普通に飲食する時とはまったく異なる感覚。マトリフの喉元が上下する度にその全身が痙攣してしまっていた。眦に浮かんた涙はほどなくして頬を伝って零れ落ちた。濡れた頬にガンガディアの右手の指先が労るように触れて涙を拭う。
     「んぐ……ふぁ……っ」
     ずるぅ、と太い指を口から引き抜いてマトリフは大きく息を吸い込んだ。その拍子に咳き込んで口を手で押さえ込む。
     口から溢れた青い血の混じった唾液にまみれた自分の掌を見たマトリフはそれを舌で舐め取った。ペロペロと舐めては舌に絡んだそれを飲み下していく。
     「…………」
     ガンガディアは黙って見つめている。額にいくつもの青筋が浮かんでは消えてを繰り返して、呼吸も乱れていた。
     「はぁ……苦かった……」
     マトリフは最後に濡れた唇を舌舐めずりしてから息をついた。ガンガディアの薬指の付け根に刻んだ自分の歯型をまじまじと見て、「ついにやっちまったなぁ」と独りごちる。
     魔族の生き血を体内に多量に取り込んだ人間がどうなるのか。
     それでもマトリフは不思議と自分が後悔をしている感じを抱いてはいなかったことに少しだけ驚く。人間として逝きたかったという気持ちは確かにあった。あの世で待っている人がいる。いっそ早く会いにいこうと思ったことすらあった。それはもう叶わなくなった。しかし、それなのに、むしろすっきりしていた。吹っ切れたとでもいうか、やけに気持ちが落ち着いていた。
     「さて、あとはこれからどういう影響が出てくるかだが……それはおいおい嫌でも分かってくるとして」
     不意にマトリフはニヤリと笑った。自分の左手を持ち上げて薬指を見遣る。ガンガディアに刻まれた歯型。そして先程自分がガンガディアの左手の薬指に刻んだ歯型。それらはまさに永遠の愛を誓う指輪のようであった。
     (悪い気がしねぇ……とかオレも焼きが回ったもんだ)
     ガンガディアは人間の俗学に関する書物もよく読んでいる。これも、分かった上でやったことなのは明白。だからマトリフも同じ手段でもってそれに応えた。
     「ほらよ。これで満足かよガンガ……おい?どうしたよ?」
     言いながら顔を上げたマトリフはガンガディアの様子がおかしいことに気付いて顔を顰めた。
     「なに怒ってんだよ?」
     「いや、怒っているわけではない」
     「じゃあなに……おわっ!?」
     マトリフはガンガディアに突然抱き上げられて驚いた声を上げた。さらにそのまま口付けられて今度はくぐもった声が漏れる。
     「んんんっ!?」
     目を見開いてガンガディアの胸元を何度も叩いたマトリフだったが深く激しい口付けに変わって間もなくそれは縋り付くように添えられるだけになっていった。
     「はぁ……」
     くちゅり、と濡れた水音を立ててようやく離れた互いの舌と唇。力の抜けたマトリフの身体を抱きしめてガンガディアは吐息混じりに呟いた。
     「大魔道士……すまない」
     「……そりゃ何に対する謝罪だ?」
     「君を抱きたい……おそらく手加減できそうにない」
     いったいどこでスイッチが入ったんだとマトリフは呆れた顔をしたが、かく言う自分の身体のうずきを自覚してしまえば、人のことなど言えない。
     正直に言えるほどマトリフは素直ではないし、だからといって断るつもりもないけれど。今度は本当に食われてしまうわけだ。それもまた悪くないと思えた。
     「ったく、仕方ねぇな。いいぜ……ベッドまで連れてけよ」
     熱を感じ始めた顔を隠すようにガンガディアの首に腕を巻き付けてしがみついたマトリフはガンガディアの耳元でそう囁いた。
     ビキビキと音でも聞こえてきそうなほどに青筋を浮かべたガンガディアを見てマトリフは行為の後には使い物にならなくなっているであろう自分の身体を予想した。
     それでも回復魔法は使わない。少なくとも、この左手の薬指に刻まれた歯型だけは、消したくはないと心から思えた。
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    kisaragi_hotaru

    DONEガンマト前提で破邪の洞窟内でわちゃわちゃしてるポプとラーとヒムちゃんのお話です。ネタバレ捏造妄想満載なのでご容赦くださいm(_ _)m
     ズドォン、と相当な重量音を轟かせて巨大なモンスターが地に沈んだ。
     完全に動かなくなったモンスターの側でたった今決め手の一撃を食らわせた人型の金属生命体が銀色の拳を振り翳して声を上げた。
     「よっしゃあ!!」
     「ナイスだぜヒム!!」
     少し離れたところからポップが嬉々として声をかければヒムが振り返って鼻を指先で擦りながら「へへっ」と笑う。
     「おめえのサポートのおかげだぜ。ありがとよポップ」
     「確かに。あのままではオレもコイツもこのモンスターに手傷を負わされていたところだった」
     ヒムの側で魔槍を携えて軽く息を吐き出しながらそう言ったのはラーハルトだ。その目線は屍と化したモンスターを見下ろしている。
     ここは破邪の洞窟。その最下層近くまでポップたちは来ていた。大魔王との決戦からすでに20年の年月が経っていた。行方知れずになっていた小さな勇者が魔界から地上に帰還してからしばらくは慌ただしい日々を過ごしていたが、今は至って平穏な日常が繰り返される世界となっている。
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