Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    kisaragi_hotaru

    ガンマトとポプ受けの文章があります。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🙏 💞 💖 😊
    POIPOI 24

    kisaragi_hotaru

    ☆quiet follow

    ガンマト前提で破邪の洞窟内でわちゃわちゃしてるポプとラーとヒムちゃんのお話です。ネタバレ捏造妄想満載なのでご容赦くださいm(_ _)m

    #ガンマト
    cyprinid
    #腐向け
    Rot

     ズドォン、と相当な重量音を轟かせて巨大なモンスターが地に沈んだ。
     完全に動かなくなったモンスターの側でたった今決め手の一撃を食らわせた人型の金属生命体が銀色の拳を振り翳して声を上げた。
     「よっしゃあ!!」
     「ナイスだぜヒム!!」
     少し離れたところからポップが嬉々として声をかければヒムが振り返って鼻を指先で擦りながら「へへっ」と笑う。
     「おめえのサポートのおかげだぜ。ありがとよポップ」
     「確かに。あのままではオレもコイツもこのモンスターに手傷を負わされていたところだった」
     ヒムの側で魔槍を携えて軽く息を吐き出しながらそう言ったのはラーハルトだ。その目線は屍と化したモンスターを見下ろしている。
     ここは破邪の洞窟。その最下層近くまでポップたちは来ていた。大魔王との決戦からすでに20年の年月が経っていた。行方知れずになっていた小さな勇者が魔界から地上に帰還してからしばらくは慌ただしい日々を過ごしていたが、今は至って平穏な日常が繰り返される世界となっている。
     「この辺りはもう魔界が近いからなぁ。影響を受けたモンスターならこんなもんだろ」
     ポップは肩を竦めながら言う。かく言うポップも冷や汗は掻いていたのだ。この階層に来て広場に出たと思ったら幾つかある通路から次々とモンスターが出現してきた。ラーハルトとヒムが同時に切り込みモンスターたちを撃破していき、あともう少しというところでドーピング効果を発動した巨体モンスターがその巨腕でヒムを殴り飛ばしラーハルトへと向かい突進した。別のモンスターを相手取って背を向けていたラーハルトは肩越しにそれを見遣り舌打ちをした。そんなラーハルトを一筋の光が凄まじい速さで掻っ攫った。ポップのルーラだ。敵に挟まれたラーハルトをルーラで救い出してそのままの勢いで倒れているヒムの場所まで移動したポップは素早くバイキルトとピオラを唱えて二人に同時にかけた。力と速さが急激に上昇した二人にもはや適うものはいない。ポップの短い激励に背を押し出されて二人は再びモンスターへと突っ込んでいった。そうして先程ようやく最後の一体を打ち倒したのだった。
     「おー。やっと終わったのか?」
     この広間へと立ち入った際の殿として出入り口にいたマトリフがのんびりとした口調で声をかけてきた。
     「随分と時間がかかったな。ほれ、次行くぞ次」
     「こんの……ちったあ休ませろよな!オレはともかくポップとラーハルトは体力けっこうやべえだろ?」
     「若えのに情けねえなぁ。オレを見習え」
     「アンタはそのでっけえトロルの肩にずっと座ってるだけだろうがよ!! 少しは戦えよ!!」
     人差し指を突きつけるヒム。その指し示す先には青色の肌をした巨大なトロル族――デストロールのガンガディアの広い肩にちょこんと座っているマトリフの姿があった。
     「オレァおめえらの引率として付いてきたんだ。端から戦う気はねえんだよ。文句なら未だにリレミトを使えねえそこの弟子に言いやがれ」
     鼻をほじりながら素っ気なく答えるマトリフにヒムはわなわなと震えながらポップの方へと視線を向ける。
     「あはは〜、わりぃな。契約はとっくにしてあるしレベルも問題ないはずなんだけど、なんでかまだ使えねえんだよな〜」
     リレミトを使えるようになるために、使わざるを得ない状況下に自分を追い込むことで、なんやかんやで使えるようにする。ポップのそんな荒業且つアバウトな修行に付き合わされることになったラーハルトとヒム。相談を受けたマトリフがせっかくだから付いていくと言い出して、その場にいたガンガディアがそれなら自分も付いていくと言い出して、そうしてポップの破邪の洞窟での修行に四人が付き添うこととなったのだった。
     「ポップがリレミト使えねえままじゃあまず最深部からは戻れねえぞ。オレは保険ってやつだ。何が起こるか分からねえ。魔法力も体力も温存しておくに越したこたぁねえんだよ」
     「大魔道士は私が守るから君たちは安心して前にいる敵に集中してくれたまえ」
    常に冷静に物事を見ているマトリフはガンガン行こうぜとばかりに突き進む若者たちの背を見守りながら彼らの命を大事にしようと考えて行動しているのだ。そんなマトリフを守ることに心血を注ぐガンガディア。
     「何言ってやがる。オレはまだまだ現役だ。お前に守られなきゃなんねえほど衰えてねえよ」
     ガンガディアの発言に対して不満をありありと浮かべた顔でマトリフは言い返した。それを聞いてヒムが納得とばかりに頷きながら呟く。
     「現役ねえ……確かにポップの師匠っていうだけあってもうけっこうな年齢のじいさんなのに元気だもんなぁ。人間でいうともう死んでてもおかしくねえ歳なのによ。何歳だって?」
     ヒムの質問にポップは「おれが初めて会った時には100歳近いって言ってたけど……」と思い出しながら言って、ふと言葉を詰まらせた。
     「……師匠って今年で何歳だっけ?」
     「ああ? んなもん……えっと……たぶんもうすぐ110……いや過ぎてんな……」
     神妙なポップからの質問にマトリフはすぐに答えようとしたが、はたと何かに気付いたように同様に神妙な顔付きに変わって顎に手をかけてぶつぶつと独りごち始めた。
     「たぶん120近いと思うが」
     「120歳……」
     神妙な表情のまま呟く師弟。その二人の会話を聞いていたヒムとラーハルトがなんとも言えない表情をしている。
     「そりゃまた思ってた以上に……」
     「人間にしては確かに……」
     随分と高齢である。しかも本人は現役だと言い張って愛弟子のためにこのような数多の危険蔓延る破邪の洞窟の最下層までやって来ている。普通の人間の老人には到底出来ることではないだろう。
     「……なんでオレまだ現役やれてんだ?」
     「……ホントだよ」
     自問自答しだしたマトリフに対してポップが気の抜けた声で相槌を打った。
     120歳近いマトリフの外見はその年齢を感じさせないほどに若く見える。100歳を超えていると言われても信じられる者は少ないだろう。80代だと言われれば納得といった風貌をしていた。
     それもポップからすればむしろ若返っているような気がしたのだが、自分の身体が竜の血の影響で実年齢は35歳でありながらもその外見は20歳くらいで時間を止めてしまったかのような緩やかな成長速度になってしまっているポップには追及しずらい案件だった。
     ポップはちらりとラーハルトを見遣る。同じことを考えていたのか二人の視線がバチリとかち合って、ポップは情けない笑みを浮かべた。
     そんなポップを見つめていたラーハルトは逡巡した末に首を横に振って、小さく溜息をついた。
     平和な世の中。進みゆく時間の中で、まるで自分だけが取り残されていく感覚。生粋の人間であり、それまで普通に成長し続けてきた少年は、自分自身の違和感と異変に気付いた時、頼れる相手はあまりにも少なかった。
     マトリフも竜の血を受けて成長に変化を齎したとは考えにくい。他の要因があるのだとしても今のポップとラーハルトにはまるで見当がつかない。本人に何か身に覚えがないか尋ねるのが正解なのだろうとは思いつつも、躊躇いは出てしまう。自分で気付くのと他人から指摘されるのとではまた違ってくるのだ。心の準備というものがある。
     だというのに、
     「実は人間じゃなかったとか?」
     ズバリと切り込むヒムにポップはぎょっと目を剥いた。
     「いやオレの血は赤い……はずだぞ」
     マトリフは言い淀んだ。そういえばここ最近ずっと吐血することも無くなったことに今更ながらに気付いたからだ。怪我をすることもほとんど無いので自分の血を最後に見たのは随分と前のことになる。自分の血は赤いという当たり前の認識が、今、ほんの少しだけ揺らいだ。
     「……実は人間と魔族の混血だったりはしないか?」
     「おいおいおいおめえまで何言い出すんだラーハルト!」
     ポップはヒムとラーハルトの前に出て彼らに向かって両手を突き出してストップをかけるポーズをした。
     「師匠は確かに120歳とは思えねえほど元気だけど、だからって……、えっと、ほら! 今日だって師匠は腰痛で一人じゃ歩けねえからガンガディアのおっさんに運んでもらってるわけだし」
     ゴン!と鈍い音を立ててポップの頭に杖が振り下ろされた。マトリフの杖だ。
     「いってぇよ師匠ぉ〜〜」
     たんこぶのできた頭を手で押さえながらポップは涙目で振り返りつつマトリフに文句を言う。
     「うっせえ! 人を荷物みてえに言うんじゃねえよ! あとオレのこれは老いのせいじゃねえからな!」
     「へ? じゃあなんで?」
     「…………」
     きょとんとするポップ。マトリフは沈黙した。
     そこでふとポップは気付く。マトリフを肩に乗せているガンガディアが顔ごと視線をあらぬ方向へと向けていることに。
     ガンガディアの視線の先を追ったところでそこには別に何もなく岩肌の壁があるのみだ。ポップは視線をガンガディアへと戻す。
     「なんでさっきからあっち向いてんだ? ガンガディアのおっさん」
     指摘されたガンガディアの肩がピクリと揺れた。その振動で肩に乗っているマトリフの小柄な身体も揺れた。
     ガンガディアはズレてもいない眼鏡を中指で押し込むと、静かに言葉を発した。
     「いや。なんでもない」
     なんでもないことないだろう。
     ポップとラーハルトとヒムは同時に思った。
     「…………」
     それまで沈黙していたマトリフが何を思ったのかおもむろにガンガディアの青色の脳天を杖で叩いた。びくともせずノーダメージであることが伺えるがそれでもマトリフは立て続けにポカポカと殴り続けている。
     「……すまない大魔道士……」
     「え? なんでガンガディアのおっさんが謝んだよ?」
     いったい何事かとポップは目を白黒させている。そんな彼の肩にポンと手を置いてラーハルトは首を横に振った。そして先程とは別の感情を含んだ表情で言う。
     「知らぬが仏、ということわざがある」
     「へ? あ、うん?」
     「触らぬ神に祟りなし」
     「えっと……」
     ラーハルトの言葉を受けてポップはなんとなく察してくる。詳細は不明だが、つまるところこれ以上は下手に踏み込まないほうが賢明ということなのだろう。
     「なんだなんだ? どうしたってんだ?」
    わけがわからず首を傾げているヒム。その片腕をポップが抱き込むようにして掴んで、逆方向の肩をラーハルトが片手で掴んで、そのままヒムを引き摺るようにして先に進んでいく。
     両側からそれぞれ掴まれたまま後ろ向きに引き摺られていくヒムは素っ頓狂な声を上げた。
     「ちょっ、お前ら、なに!?」
     「いいからいいから」
     「はあ? あいつらは……!?」
     「馬に蹴られたくはないからな」
     「わけわかんねえ!!」
     ポップとラーハルトの言い分に疑問符を頭の上に飛ばしまくりながら喚いていたヒムは、マトリフとガンガディアが互いの口を重ねる姿を視界に映した途端、スンとおとなしくなったのだった。
    「……なぁ、ポップよぉ。まだリレミト使えねえの?」
    「今なら使えそうな気がするわ」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺👏👏👏👏👏👏☺☺☺☺☺☺☺☺👏👏👏👍👍🙏💯🙏🙏🙏🙏🙏🙏😂😂😊🙏🙏🙏☺☺☺😍😍👏👏👏👍🙏🙏🙏🙏🙏👍👍👍❤❤😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    kisaragi_hotaru

    DONEガンマト前提で破邪の洞窟内でわちゃわちゃしてるポプとラーとヒムちゃんのお話です。ネタバレ捏造妄想満載なのでご容赦くださいm(_ _)m
     ズドォン、と相当な重量音を轟かせて巨大なモンスターが地に沈んだ。
     完全に動かなくなったモンスターの側でたった今決め手の一撃を食らわせた人型の金属生命体が銀色の拳を振り翳して声を上げた。
     「よっしゃあ!!」
     「ナイスだぜヒム!!」
     少し離れたところからポップが嬉々として声をかければヒムが振り返って鼻を指先で擦りながら「へへっ」と笑う。
     「おめえのサポートのおかげだぜ。ありがとよポップ」
     「確かに。あのままではオレもコイツもこのモンスターに手傷を負わされていたところだった」
     ヒムの側で魔槍を携えて軽く息を吐き出しながらそう言ったのはラーハルトだ。その目線は屍と化したモンスターを見下ろしている。
     ここは破邪の洞窟。その最下層近くまでポップたちは来ていた。大魔王との決戦からすでに20年の年月が経っていた。行方知れずになっていた小さな勇者が魔界から地上に帰還してからしばらくは慌ただしい日々を過ごしていたが、今は至って平穏な日常が繰り返される世界となっている。
    4578

    related works