ドライヌ プランツドールパロ「うさんくせー…」
どこかエキゾチックな旧市街の町並み。ひっそりと佇んだ古いビルを見上げて、背の高い男は嫌そうに呻いた。石畳の凹凸に降り出した雨が勢いよく跳ね返っている。煩わしい。ただでさえ雨は嫌いなのに。
「面白そうだろ?」
隣に佇んだ男は、もう一人の長身の男より幾分背が低い。黒い髪と暗い色のスーツ姿。センス良く着こなしているけれど一般人の雰囲気では無かった。黒いロングトレンチを羽織った長身の男もそれは同じだったけれど。
重い鉄製の扉を軋ませた音と一緒に押し開く。
中に入れば予想して居た通り、古い道具の匂いがした。
なにせそこは、古い骨董店だったからだ。
数日前、この骨董店を偶然訪れた三ツ谷は美しい刺繍のグローブを見つけた。花嫁の為に作られた、アンティークなそれを見た途端、思い浮かべたの歳の離れた妹の顔だった。
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