どうしてこんなことになったのか。事件の捜査のため郊外まで来たと思ったら、犯人の一味に後ろから薬を打たれた。どうやら妖力を封じるもののらしく、オレの身体は化け猫同然に戻ってしまった。その上奴らは、弱ったオレを嘲笑うが如く、小さくなった身体を何度も蹴りつけた。命からがら逃げ出したものの、猫の姿で治安局に戻るわけにも行かずさ迷ううちに気を失い、気付けば誰かに抱きかかえられていた。人間のような姿のそいつは、怪我したオレを救おうと必死に走ってくれた。そうして、彼の家まで連れてこられたオレは今風呂場にいる。
靴で踏みつけられた身体は砂や泥にまみれているし、血を流した痕だって身体に纏わりついている。それでも、他人に風呂に入れられるのはどうにも抵抗がある。
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