紫電の剣戟目端に見慣れた猫の影が走ったのを、ヴィランは見逃さなかった。
「……ああ、ヒーローのお出ましだ」
ぐすぐすと泣いていたヴィランはまるでスイッチを切り替えたようにぴたりと泣き止んだ。
「まさか…俺のために…?そうかそうか、悪役としてあまりに情けない俺を放っておけなくて御登場という訳だ。なんて優しいんだろうな、彼は…。」
口元を揉みほぐし、いつも通りの笑顔を作り上げてナイフを構え。
「やあヒーロー待ってたよ!やっぱりお前は、俺を、僕だけを見てくれてるんだね…!!」
「だーっもう!いつも言ってますけどただの任務の一環ですからね〜!自惚れないでくださ〜い!」
そんなヴィランにヒーローは大声で叫びながら正面きってナイフをぶつける。
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