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    tang_brmy

    @tang_brmy

    画像小説を移したのは健全なおはなし。
    気まぐれに書いたえろいのはフォロ限です。

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    tang_brmy

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    吏来さん、お誕生日おめでとうございます🥃
    お誕生日十日くらい前のとある夜の、立衣都/吏衣都のおはなし。「好きになりそう」と思う吏来さんと全く意識していない衣都ちゃんだけど、前途ある二人だといいなという願いを込めて。
    どうしても夏ボイスを組み込みたくてこうなった。本気になった吏来さんにたじたじの衣都ちゃんもいつか読みたいですね。
    ⚠️カドスト読む前に書いたので公式との齟齬があります

    #bymy男女CP
    #立科吏来
    #吏衣都
    #立衣都

    admire 冷房の効いた涼しい自宅に引きこもっていたい――心の底からの願いも虚しく、どんな猛暑日でも仕事があればそうも行かない。そして酷暑の中、せっかく重い腰を上げて外に出たのに、仕事を終えて真っ直ぐ帰宅するのも味気ない。
    (いつものバーって気分でもないし、久し振りにAporiaに行くとしますか)
     確実にミカは居るし、運が良ければ衣都も居るかも知れない――そんな考えが脳裏をよぎった数十分後。思い浮かべた顔とは、予想とは違う場所で出会った。

    「あれ、衣都」
    「吏来さん……! お疲れ様です」
     Aporiaが入居するビルのエレベーター。そこから降りて来たのは、会えたらいいなと思っていた相手で。名前を呼べば、不意をつかれたように大きな目をほんの一瞬だけ更に丸くした彼女は、こちらを見上げて挨拶してくれた。
    「お疲れさん。今、帰るとこ?」
     本部の定時には遅くバーの助っ人には早い二十一時過ぎ。中途半端な時間だと首を捻る吏来だったが、先日までのイベントの報告書をまとめていたのだと聞いて納得する。
    「吏来さんは、本部……はもう誰も居ないから……バーですか?」
    「そうしようかなって思ってたんだけど、衣都に会えたから予定変更」
    「……?」
    「帰るなら、寮まで送らせて」
    「え……」
     その申し出に、彼女の表情は変わらずとも「どうして」と困惑しているのがわかり、吏来は自然と浮かんだ笑みで目尻を緩めた。

     衣都は自分のことを「平凡」だとか「普通」だと言うし、知り合ったばかりの頃は吏来もそう思っていた。けれど、人となりを知った今ではそんな考えはとうに消え失せていて、ある種のタイプの人間の目を惹いてしまう危うさには本人だけが気付いていない。
    「ぼちぼち夏休みが始まって、若い子達が増えてるからさ。この時期はいつもちょっとだけ、駅近くでも治安悪くなるんだよね」
    「そうなんですか……」
     Aporiaに来て初めての夏だから今ひとつ実感がないようだが、人通りの多い道と時間帯だからこそ、何かトラブルに巻き込まれないかと心配するのは当然だ。こうしてここで出会って、彼女をひとりで帰すという選択肢は吏来の中に存在しなかった。
    「……っていうのは建前で、俺が衣都と一緒に居たいだけなんだけど。寮まで夜の散歩デートなんて如何ですか、お嬢さん」
     そう言って付け足すようにくすりと笑えば、思案げに目を瞬かせる。
    「吏来さんの手間とか、迷惑になりませんか」
    「全然。衣都こそ、迷惑じゃない?」
    「いえ、治安の話を聞いた後ですし、正直有難いんですけど……」
    「けど?」
    「せっかく飲みにいらっしゃったのに、申し訳なさが勝るなと」
     生真面目な声が、ほんの少しだけ弱くなった。

    (こういうとこ、好きになっちゃいそう)
     彼女の真面目なところも真摯なところも、吏来の気持ちを揺さぶるには充分すぎるほど魅力的だ。しかし逢からの「踏み込みNG」の指示がまだ解除されていないので、惚れっぽい自分の意識を恋心から逸らす。
    「そんなに重く受け取らないで。衣都と居たいって俺のワガママなんだから、そこは『申し訳ない』じゃなくて『ラッキー』くらいの軽い感じで、ね」
     どうしようといった風情の衣都の顔を覗き込むように少し身を屈めた吏来は、目を合わせて笑ってみせた。すると、彼女の目元がやわらいで、「よろしくお願いします」の声と共に微笑みが返ってくる。
    (だから、そういう顔されたら好きになるけど……)
     ミカにも樹帆にも『気を付けて』と忠告されているのに、吏来に対して全く警戒心を抱かないのは「男」だと認識されていないのか、職場の人間だから警戒されていないのか。
    (それとも信頼されてたり……とか)
     吏来を見つめる大きな目がいつもよりも澄んで見えて。その純粋な眼差しに、自惚れた理由を浮かべた自分が何だか照れくさくなった吏来は、ふと目を逸らしたのだった。



     熱帯夜の渋谷の街をふたり並んで歩く。もう夜だというのに一向に涼しくなる気配はなく、火照った体の熱が下がる気配もない。
    「もうちょっと涼しくなってくれないと、ビアガーデン行こうって気分にもならないよね」
    「ビアガーデン?」
    「そう。もっぱらウイスキー党だけど、ああいうとこで飲むのも案外嫌いじゃないのよ」
    「吏来さんがビアガーデンにいらっしゃるの、想像出来ないです。冷たいビール飲む姿が、あんまりイメージにないなと」
     次第に小声になる衣都に、吏来は口の端を上げて笑って返す。
    「俺、こう見えて夏男ですから」
    「えっ」
    「『えっ』って……そんなに意外?」
     吏来の言葉に目をぱちくりさせて、おずおずと言葉を紡ぐ。
    「……あ、そっか。お誕生日、もうすぐですよね」
    「あれ、知ってた」
    「皆さんのプロフィールには一通り目を通してますから」
    「流石、代理」
     感嘆した吏来に、衣都の涼しげな瞳が揺れた。その反応を見て、もしかしたら樹帆と恭弥と衣都で何か計画してくれているのかも知れないと察したけれど、それにはふれずに手で顔を仰ぐ。

    「それにしても暑いね〜。あ、海へのお誘いなら、二週間くらいくれる? 仕上げてくるから」
    「海?」
    「え、水着デートしてくれないの」
    「一体どうしてそんな話に……」
    「俺が夏男って話から?」
    「吏来さんが夏男なのはわかったんですけど、ツッコミどころが多すぎて何をどうすれば……というか、二週間くらいで仕上げられるのにびっくりです」
     びっくりしている風には見えない真顔で、それでも律儀にツッコミを入れてくれるのだから面白い。
    「戦ほどじゃないけど、俺も歳の割には頑張ってるのよ。あと、計画を立てることは好きだから、目標があればもっと頑張れちゃうってわけ」
     そう言う吏来の体に素早く目を走らせた衣都は、見えるか見えないかくらい小さく首を縦に振って頷く。
    「吏来さんが日頃から鍛えてらっしゃるのは、そうなんだろうな、と……。でも、二週間って凄いですよ」
    「お、結構いい反応してくれるじゃん。……てことは、俺と海、行ってくれる?」
    「それはまた別の話です」
    「残念」
     ひょうひょうと軽く肩をすくめる吏来に、仕方ない人だとばかりに彼女は目を細める。

     それがあまりにも綺麗で、何故だか手を伸ばしそうになって。すぐ隣に居るのに手の届かない人みたいな憧れが募り、これはいよいよ好きになってしまいそうだと、他の話題を探した。



     玉川通りを渡って、人通りもまばらになって。もう暫くすれば、寮が見えてくる。
    「明日からもっと暑くなるっぽいし、ゲリラ豪雨も増えそうだよねえ」
     困った時には天気の話――捻りも何もないが、当たり障りない話題が一番だ。
    「傘持ち歩くようにしなきゃですよね。明日の天気予報、チェックしてない……」
    「晴れときどき曇りところにより一時雨」
    「ん……? それって、全部うまく当てはまるのでは……」
     何か腑に落ちないと首を傾げる衣都に「冗談だよ」と笑えば、「まんまと引っ掛かりました」と彼女も笑う。とりとめもないやり取りが楽しくて、今日みたいな夜に送り届けるのが、他の男じゃなくて自分で良かったと思ってしまう。

    (他の男の前でもこんな無防備なのか……とか考えてる時点で、俺、だいぶ重症かも)
     まるで波のように寄せては返す感情が、我ながら忙しい。一度意識してしまえば、体中が熱いのは熱帯夜のせいだけではない。
    (……首、あっつ)
     首の後ろに手のひらを当てて熱を確かめながら彼女を横目に見て、思うがままを口にした。
    「……衣都にやられて、熱出そう」
     他の奴の目に留まらないよう、自分のものにしてしまいたい独占欲が湧いて出てきたのを、軽口を叩いて誤魔化す。
    「ええっ」
     慌てる衣都の華奢な首筋に、つうっと汗が流れ落ちるのが見えた。それがぞくっとするほど艶かしくて、堪らず息を呑んだのを悟られないように、目線を前に向ける。

    「水着デートは諦めるからさ。夏らしいとこ、衣都と行きたい」
    「夏らしいところ?」
     デートという言葉は聞き流すことにしたらしい衣都だが、吏来の提案に少々驚いている。即却下されなかったと気を良くした吏来は、言葉を重ねた。
    「そう。夏と、衣都。そんな写真撮ってみたくなった」
     感情の乱れを感じさせない穏やかな笑みを浮かべた吏来の真意を探るように、彼女が見上げてくる。目が合ったのはほんの一瞬。無言で数歩進んだ衣都は、自分の考えを確認するように、ゆっくり呟いた。
    「そういうことでしたら……」
    「お、ホントに? 言ってみるもんだな」
     喜色を含んだ吏来の声に衣都がくすくす笑いを零し、細い肩が揺れた。

     写真を撮ってみたいなんて、言い訳に過ぎない。彼女との時間を求めてしまう理由の答えは、すぐそこにある。

     熱帯夜にのぼせ上がった頭でも、自分の心の行方を理解したのだった。
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    tang_brmy

    PAST吏来さん、お誕生日おめでとうございます🥃
    お誕生日十日くらい前のとある夜の、立衣都/吏衣都のおはなし。「好きになりそう」と思う吏来さんと全く意識していない衣都ちゃんだけど、前途ある二人だといいなという願いを込めて。
    どうしても夏ボイスを組み込みたくてこうなった。本気になった吏来さんにたじたじの衣都ちゃんもいつか読みたいですね。
    ⚠️カドスト読む前に書いたので公式との齟齬があります
    admire 冷房の効いた涼しい自宅に引きこもっていたい――心の底からの願いも虚しく、どんな猛暑日でも仕事があればそうも行かない。そして酷暑の中、せっかく重い腰を上げて外に出たのに、仕事を終えて真っ直ぐ帰宅するのも味気ない。
    (いつものバーって気分でもないし、久し振りにAporiaに行くとしますか)
     確実にミカは居るし、運が良ければ衣都も居るかも知れない――そんな考えが脳裏をよぎった数十分後。思い浮かべた顔とは、予想とは違う場所で出会った。

    「あれ、衣都」
    「吏来さん……! お疲れ様です」
     Aporiaが入居するビルのエレベーター。そこから降りて来たのは、会えたらいいなと思っていた相手で。名前を呼べば、不意をつかれたように大きな目をほんの一瞬だけ更に丸くした彼女は、こちらを見上げて挨拶してくれた。
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    tang_brmy

    PAST⚠️交際後捏造
    ひょんなことから付き合い始めた節衣都/静衣都の静さんは、どんな思考と行動をするかなと考えたらこうなった。
    名前呼びに切り替えるタイミングに意外と悩みそうとか。彼の負けず嫌いなところを垣間見たいという、己の需要を満たすためだけに書いた話です。地の文の衣都ちゃんの表記が前半は「弥代」、後半は「衣都」になっているのは静さんの意識や心中が変わったから。初めてCP成立している話を書きました
    pleasant 静が誰かの名前を呼ぶのは、基本的に苗字だ。呼ばれる当人からの自己申告がない限り、年上も年下も同性も異性も関係なく苗字で呼んで来たし、これからもそれは変わらない――と思っていた。

     ひょんなことから職場の人間から恋人へと関係が変わった相手を、どう呼ぶか。デスクに頬杖をついて悩みともいえない些細な思案にふけっていると、インターホンが鳴り、静は顔を上げた。
    「遅くにすみません」
    「いや、大して遅くもないだろ」
     ドアを開けて迎え入れたのは、恋人である弥代。静が所有している本を彼女が探していると知り『今日は終日在宅してる。夜、取りに来れば』と連絡したのは数時間前のこと。本部で残業があるという彼女の来訪が二十時過ぎになるとは事前に知らされていたし、寮飲みの時はもっと遅い時間に新開や樋宮の部屋に行くのだから、遅い時間だとは感じない。
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    PAST吏来さん、お誕生日おめでとうございます🥃
    お誕生日十日くらい前のとある夜の、立衣都/吏衣都のおはなし。「好きになりそう」と思う吏来さんと全く意識していない衣都ちゃんだけど、前途ある二人だといいなという願いを込めて。
    どうしても夏ボイスを組み込みたくてこうなった。本気になった吏来さんにたじたじの衣都ちゃんもいつか読みたいですね。
    ⚠️カドスト読む前に書いたので公式との齟齬があります
    admire 冷房の効いた涼しい自宅に引きこもっていたい――心の底からの願いも虚しく、どんな猛暑日でも仕事があればそうも行かない。そして酷暑の中、せっかく重い腰を上げて外に出たのに、仕事を終えて真っ直ぐ帰宅するのも味気ない。
    (いつものバーって気分でもないし、久し振りにAporiaに行くとしますか)
     確実にミカは居るし、運が良ければ衣都も居るかも知れない――そんな考えが脳裏をよぎった数十分後。思い浮かべた顔とは、予想とは違う場所で出会った。

    「あれ、衣都」
    「吏来さん……! お疲れ様です」
     Aporiaが入居するビルのエレベーター。そこから降りて来たのは、会えたらいいなと思っていた相手で。名前を呼べば、不意をつかれたように大きな目をほんの一瞬だけ更に丸くした彼女は、こちらを見上げて挨拶してくれた。
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    tang_brmy

    PAST⚠️交際後捏造
    ひょんなことから付き合い始めた節衣都/静衣都の静さんは、どんな思考と行動をするかなと考えたらこうなった。
    名前呼びに切り替えるタイミングに意外と悩みそうとか。彼の負けず嫌いなところを垣間見たいという、己の需要を満たすためだけに書いた話です。地の文の衣都ちゃんの表記が前半は「弥代」、後半は「衣都」になっているのは静さんの意識や心中が変わったから。初めてCP成立している話を書きました
    pleasant 静が誰かの名前を呼ぶのは、基本的に苗字だ。呼ばれる当人からの自己申告がない限り、年上も年下も同性も異性も関係なく苗字で呼んで来たし、これからもそれは変わらない――と思っていた。

     ひょんなことから職場の人間から恋人へと関係が変わった相手を、どう呼ぶか。デスクに頬杖をついて悩みともいえない些細な思案にふけっていると、インターホンが鳴り、静は顔を上げた。
    「遅くにすみません」
    「いや、大して遅くもないだろ」
     ドアを開けて迎え入れたのは、恋人である弥代。静が所有している本を彼女が探していると知り『今日は終日在宅してる。夜、取りに来れば』と連絡したのは数時間前のこと。本部で残業があるという彼女の来訪が二十時過ぎになるとは事前に知らされていたし、寮飲みの時はもっと遅い時間に新開や樋宮の部屋に行くのだから、遅い時間だとは感じない。
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    tang_brmy

    PAST静さんSR『緑に癒されて』の絵のシチュを捏造。Floristイベ以降ジュンブライベ以前の、とある平日のカプ未満な静衣都のおはなし。静さんがあれこれ考えているだけですが、未来の二人の何かきっかけになった日かも知れないと妄想。衣都ちゃんは平均身長(158cmくらい)をイメージしているので、フラットシューズだと静さんに見下ろされる身長差かなという妄想です。カプ未満の手探りな時期も好き。
    green 平日の午後三時。昼食には遅く、終業後には早いこの時間だが、今日の静は後者だ。
    (……体が固まってる)
     イレギュラな案件で、日が昇る前の早朝からずっとパソコンと向かい合っていたせいで、目も肩も重く、軽く伸びをしただけで体のそこかしこからパキパキと音が鳴る。
     仕事中に絶えずコーヒーを飲んでいたからで、起床時間の割に眠気はない。作業の片手間にシリアルバーを齧っていたお陰で空腹感もないが、窓の外に目を向ければ抜けるような青さに澄み切った空で、昼寝をするのもこのまま引きこもるのも勿体なく感じる。
    (腹は空いてないけど……外、出るか)
     ふう、と息を吐くと机に両手をついて立ち上がり、もう一度グッと伸びをしてから身支度を整えるべく動き始めた。
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    tang_brmy

    PAST立衣都/吏衣都の、吏来さん目線のおはなし。CP未満の二人が飲みに行って恋について話す回。
    吏来さんは衣都ちゃんに「好きになりそう」と言ったりしても、実際には一線を引きそうだな〜というところからの妄想です。二人の恋愛観を大いに捏造していますのでご注意を。
    吏来さんは過去に大きな喪失を抱えていそうだけれど、その人と今の恋をする相手を比較することなくいつだって真剣に恋してる人であるといいな。
    earnestness「付き合って貰っちゃって悪いね」
    「いえ、こちらこそ。夕飯をどうしようか迷っていたので、誘って頂けて嬉しいです」
    「そう? 俺としては、衣都にそう言って貰えて嬉しいよ」
     笑い顔を浮かべた吏来が衣都の向かいの席に座った途端、スマートフォンから呼び出し音が鳴った。
    「……」
     鳴り続けるコールに、マナーモードにしておかなかったのは失敗だったと吏来が眉を寄せたのを、彼女は見逃さなかった。
    「どうぞ、出て下さい」
    「すぐ戻る。ごめん」
     吏来は一旦席を立つと店外に出て、ため息をひとつ。それから通話ボタンをタップして、相手に煩わしさを気取らせないよう手短かに会話を切り上げた。

     席に戻る前に、店内を興味深そうに見回す衣都の姿を遠目から観察する。
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    tang_brmy

    PAST初めて書いたぶれまい。節見さんと衣都ちゃんの、カプ未満なジュンブラ会話に纏わる短いおはなし。夜の事務所でふたりきりで事務処理でもしているシチュでお読み頂けると幸いです。節見さんの最後の台詞は、聞いた衣都ちゃんの反応を見たくてわざと冗談で言っています。「それってどういう意味で」と慌てたり、「新開さんに私が試されるやつじゃないですか……」とドン引きされたりとか、真顔以外の衣都ちゃんを引き出したい
    competitive ブライダルフェアに感化されたのか、弥代が「もし結婚するなら……」と小さく呟いたのが耳に届いた。
    「何?」
    「もし節見さんが結婚するなら、お相手はどんな方だろうって」
    「自分の結婚じゃなくて、俺の話? 俺は一人が楽で好きなんだ。誰かと一緒にいたいって思う未来は……今の所見えない。どう考えても弥代の方が先でしょ」
    「……そうなんでしょうか。今回の依頼でこれだけ色々調べたり準備したのに、自分が結婚するってイメージ、全然できませんでしたし。あ、でも、新開さんに『お前にそう言うやつができたら、俺より強いか試してやるから連れてこい』って言われたのはちょっと面白かったです」
     面白いと思っているとは見えない顔で告げられた内容は、確かに少し面白い。
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