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    michiru_wr110

    @michiru_wr110

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    michiru_wr110

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    brmy
    静衣都
    夜が明ける間際、密やかに攻防する節見さんと衣都
    image song : 群青/YOASOBI

    初対面から現在に至るまで印象違えず、強情なことこの上ない。

    #静衣都
    #brmy男女CP

    退屈の裏側で、渋谷の街に朝が降る(しずいと未満) 群青色に沈み、丑三つ時もとうに過ぎた空の下。頼りない光量の室内灯。
     渋谷の喧噪を隠れ蓑に、路上パーキングに停車した社用車には先刻より沈黙が降りている。

     ハンドブレーキを下ろしてからは、弥代の腕時計の針が三周ほど回っただろうか。一般的に健康な生活を送る人間であれば眠気で意識が朦朧としても何ら不思議のない時分。にもかかわらず、弥代は睡魔に引きずられることなく緊張感を保ち続けている。何だったら三十分ほど前までは、必要などないのにハンドルにかけた手を外す素振りすら見せなかった。まったく、その生真面目さには呆れてものも言えない。それでもなお背筋を伸ばしたままの弥代は、ただの一度も背もたれに身体を預けることなく、外の様子に目を配らせている。
     こうなることは目に見えていたから、連れていくつもりなどなかったのに。新開と寮の階段を降りて相沢と合流した直後に鉢合わせ、おおよその理由を察せられてしまい。「どのみち次の店内代行でかかわる案件なら、たとえ下見だろうが運転くらいはさせてほしい」のだと訴えて聞かなかった弥代は。
     初対面から現在に至るまで印象違えず、強情なことこの上ない。
    (いい加減、楽にしたらどうなの……なんて)
     顧慮したのち、ほどなくして無駄な考えだったと掻き消す。今が作戦前で、危険の及ぶ可能性が限りなくゼロに近い準備段階だろうと弥代には関係ないのだろう。車を降りて偵察へと赴いたのが、経験値も身体能力も遥かに上をゆく同僚たちにもかかわらず。微かに憂いを帯びた面持ちで、何かを確かめるように拳を握り締めたり両手を組んだりと忙しない。

     俺はといえば助手席の背もたれに身体を預けて、ラップトップからのモニタリングを続ける。が、血生臭さが伴う失態など当然起きるはずもなく、退屈さにずり落ちた眼鏡を一定の間隔で押さえて所定の位置に戻すことしかしていない。
     
     弥代としては、純粋に奴らの身を案じているのだろう。弥代は俺に似て表情の変化に乏しいが、俺と違って情がある。

    「……節見さんは、やはりすごいです」
    「何が」
     静寂をひっそりと破った声かけに、俺は緩慢な動作で隣を見やる。心持ち前のめりになった弥代に言わせると。
    「仕事柄、何が起きても不思議ではないのに。皆を信頼しているからこそ、こうして落ち着いていられるのですよね」
     ……何を言い出すかと思えば。反射的に弥代へ眇めた目を向ける。
     こっちはただ退屈を持て余していただけだというのに、そんな聖人君子のような解釈をされるいわれはない。
    「別に」
     異を唱えようとして、だが直前に思いとどまった。
     理屈を並べて否定しようとも、弥代のことだ。奇怪な理論を持ち出して、あの手この手で俺の評価を語ろうとするに決まっている。
     おそらく繰り出されるであろう他意のない褒め言葉。真正面から受け止めるだけの気力は、今の俺にはない。
    「動揺せず……は難しいかもしれませんが。無事に帰ってくるのが当たり前だって思えるくらいにはしっかりしなければ、と」
    「……そう」
     短く投げやりな肯定に、少しばかり表情を緩めた弥代の視線がぼんやりと、宙をさまよいはじめる。ここにきて睡魔が訪れているのだろう。
     弥代の状態に気づいて閉口した俺はどう考えても冷たい人間だ。眠気を覚ますように、差し入れするなり話を続けるなりして最後まで運転役を全うさせるのが、この場面での正解だと知っている。敢えて仮眠を取らせるように、あるいはこのまま熟睡させて運転まで交代するよう仕向ける方が、色々な意味で楽だ。
    (弥代が時折見せる強情な眼差しを、正面から受け止めるには骨が折れる)

     やがて、うつらうつらと舟を漕ぎはじめた弥代を横目で見やる。
     彼女の手元で時計の針が、四周を回ろうとしていた。もうすぐ気心知れた同僚たちからは、偵察の完了を知らせる喧しい声が届くだろう。
     
     
     微かに白んでゆく空。
     渋谷の街も、もうじき朝を迎える。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    弥代衣都(+皇坂+由鶴)
    捏造しかない・弥代衣都の中に眠る、過去と現在について
    image song:遠雷/Do As Infinity

    『きょう、ばいばいで。また、ママにあえるの、いつ?』
    軽やかに纏わる言霊(弥代衣都・過去捏造) 女は視線でめつけるように傘の骨をなぞり、露先から空を仰いだ。今日という日が訪れなければどれほど良かっただったろうか、と恨みがましさを込めて願ったのに。想いとは裏腹に順調に日を重ね、当たり前のような面をして今日という日を迎えてしまった。

     無機質な黒色の日傘と、切り分けられた青空。都会のように電線で空を区切ることも、抜けたように広がる空を遮るものもない。しかし前方には、隙間なく埋め尽くされた入道雲が存在感を主張している。

     女の両手は塞がっていた。
     片方の手には日傘。そしてもう片方の手には、小さな手の温もり。
     歳相応にお転婆な少女は女の腰にも満たない背丈で、時折女の手を強く引きながら田舎特有のあぜ道を元気に駆けようとする。手を離せば、一本道をためらいなく全力疾走するであろう、活発な少女。しかし女は最後の瞬間まで、この手を離すつもりはない。手を離せば最後、何もしらない無垢な少女はあっという間に目的地へとたどり着いてしまうに違いない。
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    tang_brmy

    PAST初めて書いたぶれまい。節見さんと衣都ちゃんの、カプ未満なジュンブラ会話に纏わる短いおはなし。夜の事務所でふたりきりで事務処理でもしているシチュでお読み頂けると幸いです。節見さんの最後の台詞は、聞いた衣都ちゃんの反応を見たくてわざと冗談で言っています。「それってどういう意味で」と慌てたり、「新開さんに私が試されるやつじゃないですか……」とドン引きされたりとか、真顔以外の衣都ちゃんを引き出したい
    competitive ブライダルフェアに感化されたのか、弥代が「もし結婚するなら……」と小さく呟いたのが耳に届いた。
    「何?」
    「もし節見さんが結婚するなら、お相手はどんな方だろうって」
    「自分の結婚じゃなくて、俺の話? 俺は一人が楽で好きなんだ。誰かと一緒にいたいって思う未来は……今の所見えない。どう考えても弥代の方が先でしょ」
    「……そうなんでしょうか。今回の依頼でこれだけ色々調べたり準備したのに、自分が結婚するってイメージ、全然できませんでしたし。あ、でも、新開さんに『お前にそう言うやつができたら、俺より強いか試してやるから連れてこい』って言われたのはちょっと面白かったです」
     面白いと思っているとは見えない顔で告げられた内容は、確かに少し面白い。
    1303

    tang_brmy

    PAST⚠️交際後捏造
    ひょんなことから付き合い始めた節衣都/静衣都の静さんは、どんな思考と行動をするかなと考えたらこうなった。
    名前呼びに切り替えるタイミングに意外と悩みそうとか。彼の負けず嫌いなところを垣間見たいという、己の需要を満たすためだけに書いた話です。地の文の衣都ちゃんの表記が前半は「弥代」、後半は「衣都」になっているのは静さんの意識や心中が変わったから。初めてCP成立している話を書きました
    pleasant 静が誰かの名前を呼ぶのは、基本的に苗字だ。呼ばれる当人からの自己申告がない限り、年上も年下も同性も異性も関係なく苗字で呼んで来たし、これからもそれは変わらない――と思っていた。

     ひょんなことから職場の人間から恋人へと関係が変わった相手を、どう呼ぶか。デスクに頬杖をついて悩みともいえない些細な思案にふけっていると、インターホンが鳴り、静は顔を上げた。
    「遅くにすみません」
    「いや、大して遅くもないだろ」
     ドアを開けて迎え入れたのは、恋人である弥代。静が所有している本を彼女が探していると知り『今日は終日在宅してる。夜、取りに来れば』と連絡したのは数時間前のこと。本部で残業があるという彼女の来訪が二十時過ぎになるとは事前に知らされていたし、寮飲みの時はもっと遅い時間に新開や樋宮の部屋に行くのだから、遅い時間だとは感じない。
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    tang_brmy

    PAST静さんSR『緑に癒されて』の絵のシチュを捏造。Floristイベ以降ジュンブライベ以前の、とある平日のカプ未満な静衣都のおはなし。静さんがあれこれ考えているだけですが、未来の二人の何かきっかけになった日かも知れないと妄想。衣都ちゃんは平均身長(158cmくらい)をイメージしているので、フラットシューズだと静さんに見下ろされる身長差かなという妄想です。カプ未満の手探りな時期も好き。
    green 平日の午後三時。昼食には遅く、終業後には早いこの時間だが、今日の静は後者だ。
    (……体が固まってる)
     イレギュラな案件で、日が昇る前の早朝からずっとパソコンと向かい合っていたせいで、目も肩も重く、軽く伸びをしただけで体のそこかしこからパキパキと音が鳴る。
     仕事中に絶えずコーヒーを飲んでいたからで、起床時間の割に眠気はない。作業の片手間にシリアルバーを齧っていたお陰で空腹感もないが、窓の外に目を向ければ抜けるような青さに澄み切った空で、昼寝をするのもこのまま引きこもるのも勿体なく感じる。
    (腹は空いてないけど……外、出るか)
     ふう、と息を吐くと机に両手をついて立ち上がり、もう一度グッと伸びをしてから身支度を整えるべく動き始めた。
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    izayoi601

    DONE思いついたので一人飯するじょしょどのの話。台詞などでも西涼二直の中ではじょしょどのが一番食事好きな方かなと妄想…脳内で色々分析しながら食べてたら良いです…後半は若も。庶岱と超法前提ですがもし宜しければ。ちなみに去年の流星での超法ネップリと同じ店です。
    早朝、一人飯「これは、まずいな……」
     冷蔵庫の中身が、何も無いとは。すでに正月は過ぎたと言うのに、買い出しもしなかった自らが悪いのも解っている。空のビール缶を転がし、どうも働かない頭を抱えつつダウンを着るしかない。朝焼けの陽が差し込む中、木枯らしが吹き付け腕を押さえた。酒だけで腹は膨れないのだから、仕方無い。何か口に入れたい、開いてる店を探そう。
    「……あ」
    良かった、灯りがある。丁度食べたかったところと暖簾を潜れば、二日酔い気味の耳には活気があり過ぎる店員の声で後退りしかけても空腹には代えがたい。味噌か、塩も捨てがたいな。食券機の前で暫く迷いつつ、何とかボタンを押した。この様な時、一人だと少々困る。何時もならと考えてしまう頭を振り、カウンターへと腰掛けた。意外と人が多いな、初めての店だけれど期待出来そうかな。数分後、湯気を掻き分け置かれた丼に視線を奪われた。
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