死がふたりを分かつまでお話を読む前に(キャラ解釈違うと思うので、簡単に書いています。)
設定:
スティーブ(男 25歳~28歳くらいかな。みんなに優しい。アレックスが好き。)
アレックス(女 スティーブと同い年。みんなに優しい。スティーブが好き。)
サニー(男 スティーブと同い年。スティーブの悪友。エフェと結婚してる。)
カイ(男 30歳~32歳くらい。自分にも他人にも厳しい。みんなのリーダー的存在。)
マケナ(男 カイと同い年。旅好きの自由人。)
ズーリ(女 カイと同い年。建築家。インテリアもエクステリアもやる。)
エフェ(女 サニーの1つ下。サニーと結婚してる。)
アリ(女 考古学者。口を聞くことが困難で手話で会話。ヌールと恋人関係。)
ヌール(女 アリのボディーガード。アリと恋人関係。)
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よく晴れたある春の日。
俺は、落ち着かず教会の前を行ったり来たりしていた。
「少し落ち着いたら〜」
サニーがため息を吐きながら声をかけてくる。
俺だってほんとは落ち着きたい。
でもどうしても、胸が高鳴って落ち着けない。
うろちょろ動き回ってしまう俺を見て、今度はカイが言った。
「まぁ、仕方ないよ。一生に一度のことなんだし、緊張するよね。」
「そうだよ。皆がみんな、君みたいに豪胆じゃないからね。」
続けてマケナもそうフォローしてくれる。
「でもちょろちょろしても、どうしようもないでしょ。」
サニーが肩をすくめる。
確かにそう、確かにそうなんだけど…。
「おーい、アレックスの準備ができたぞー。」
道の向こうからヌールが手を振ってかけて来た。
続いて、ゆっくりとエフェとアリ、そしてアレックスがやって来た。
アレックスは俯き加減で、表情が見えない。
俺は緊張で固まってしまって、教会を背にただ突っ立っていた。
「お待たせしましたー。」
エフェが元気よく言う。
アレックスは俯いたまま、俺の真ん前で止まる。
一緒に来たアリが俺にニコッと笑いかけて、手でハートマークを作ってくれた。
「会場の準備、出来たわよ。」
教会の中からズーリが顔を出した。
「ありがとう、ズーリ。ギリギリまで、すまない。」
俺が振り返ってお礼を言うと、ズーリは大丈夫というように頷いて教会に戻る。
皆も次々と教会に入って行く。
アレックスは俺の目の前で俯いたままだ。
俺はなんとなくズボンで右手を拭き、その手をアレックスに差し出した。
「えっと…アレックス、行こうか?」
声をかけると、ようやくアレックスは俺を見た。
……か、かわいい…
赤みがかった金髪の巻き毛が、いつもと同じように色白の柔らかそうな頬を縁取っている。澄んだ翠の瞳は普段通り、しっかりと俺を見つめてくる。ただ、今日はその頬に少しオレンジ色がかかっており、口びるにはほんのりと紅がさされていた。
化粧してるのかな…。してなくても可愛いけど、してるとまた違った可愛さがある。
俺が見惚れているとまた俯いて、目線を下に落とした。
「あの…やっぱり変かしら…」
え!
「全然、そんなことないよ。」
慌てて俺が言うと
「ホントに?」
と上目使いに俺を見てくる。
うわー……この表情もなんかまた…可愛い。
「うん、…その…すごく…可愛い。」
自分の語彙力のなさにほとほと呆れながら、なんとか言葉を絞りだす。
「……世界で一番?」
いつもなら、俺が可愛いと言うと『ありがとう』と嬉しそうに返事をするのだが、今日は違った。
アレックスも緊張してるのかもしれない。
「世界で一番?もちろんだよ。」
俺が応えると
「嬉しい、ありがとう!」
と今度は満面の笑みを浮かべた。
「今日は特別な日だから、世界で一番可愛いと思ってもらいたかったの」
笑みを浮かべながらアレックスは続ける。
そんなこと…
「毎日思ってるよ。」
「え?」
アレックスが少しだけ首を傾げた。
「アレックスが世界で一番可愛いって、毎日、いつの瞬間でも思ってるよ。」
俺が言うと、アレックスは顔をくしゃくしゃにして少し泣きそうに笑った。
「一緒に幸せになろうね。」
その言葉に、じーんと嬉しい気持ちが身体中を駆け巡る。アレックスはいつも、どうして俺をこんな幸せな気持ちにさせてくれるんだろう。
俺もアレックスを幸せな気持ちにしてあげれてるだろうか?
「そうだね。」
大切に、大事にしよう。
アレックスのこと、そして自分のことも。
一緒に幸せになろう。
共に生きよう。
死が2人を別つまで。