箱持公園の首吊り死体(2) 午前四時から午前五時の間だけ、箱持公園の銀杏の下には死体がぶら下がっている。
死体は毎日ばらばらで、男の時もあれば女の時もあり、子供の時もあれば老人の時もある。まっとうな人間の時もあれば、非合法な行いに手を染めている者もいる。それらは皆、午前四時から午後五時の間だけ、箱持公園の銀杏の下に、首を吊った状態でぶら下がる。
それが実在する人物なのか、それとも公園が作り出した幻なのか。分からない。だって死体はどこにも残らず消えてしまうから。この街でどんな理由で人が消えるかだなんて、誰も調べる気にもならないから。
本格的な騒ぎになっていないのならば、相応の立場ある人間はその中にはいなかったのかもしれない。あるいはそれすら分からないのか、誰も調べる気にならないのか。
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