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    kikhimeqmoq

    はらす

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    桃綾 2024/10/26
    tdodワンドロライ。お題使わせていただきました。
    桃綾。「ハロウィン」「デニム」「栗」。
    桃綾は付き合っていて、高校同校寮同室です。2年の文化祭。

    #桃綾

    部活対抗ハロウィン仮装リレー文化祭の目玉として、部活対抗ハロウィン仮装リレーがある。野球部からは俺が出ることになった。生徒会の用意したギンギラギンの箱から仮装テーマの札を引く。金色の紙に悪魔とカボチャのデコレーションがされた派手なカードを裏返す。悪魔か?ミイラか?ドラキュラか?期待してめくった札の裏にはたった一文字「栗」と書いてあった。
    「栗!なんで栗なの?せめて桃にすればいいのに」
    「地味ハロウィンらしい」
    「地味っていうかトンチキじゃない?」
    部屋で栗の話をすると、綾瀬川が仰け反るほどに大笑いした。うるせえ。笑いたいんは俺の方じゃ。
    「なんで桃やねん?」
    「桃栗三年柿八年っていうから、桃と栗って仲間じゃん。せっかく桃の名前なんだから、桃にしなよ。それか桃太郎」
    「桃太郎は幼稚園の時にやった」
    「うっそ。かわいい!写真見せてよ」
    「燃やしたに決まっとるやん!」
    「うわ、怖っ。いいよ、こんど円に聞くもん」
    「聞くな!そんなしょうもないこと!」
    「聞くに決まってんじゃん。今すぐ聞こうかな」
    綾瀬川はスマホを取り出し、早速連絡しようとした。素早く手首を掴み、妨害する。
    「もう、ええっちゅうねん!」
    「じゃあ、栗になっとけば?似合うよ、たぶん」
    「栗の仮装に似合うも似合わへんもあるか!俺もなんで栗なんか分からんねん!おまえがせえ!」
    「いいけど、俺がジンクス使っちゃっていいの?」
    はあ。ため息をつくと、隣で綾瀬川が声を出さずに笑った。口も目も三日月にしてニヤニヤとしている。突っ込みが上手くいって嬉しいらしい。
    文化祭の部活対抗リレーで一位になった野球部員は翌年、四番打者になれるというジンクスがあった。冷静に考えれば、リレーで一位になるポテンシャルがあるなら、打撃も強い可能性があるというだけなのだが。スポーツの世界は能力だけではないことを身に染みて感じているからこそ、使えるものは何でも使いたかった。
    「さっさと栗の格好して走りなよ」
    「せやから、おまえの服を貸せって言うてるやん」
    生徒会から受け取った紙を綾瀬川に見せる。
    「黒のデニム?デニムくらい桃吾だって持ってるでしょ?」
    「おまえ、俺がジャージ以外を着てるところ、見たことあるんけ?」
    「…………ない」
    「むしろ、おまえがジャージ以外を持ってることの方が驚きやわ」
    「まゆかな?家から来る荷物にたまに服が入ってんだよね」
    「ほら、おまえかて自分で買うてへんやん」
    「それはどうでもいいから、さっさと履いて栗になったら?栗坊くん」
    なんやねん栗坊って。
    文句を言うのにも徐々に飽き、綾瀬川から受け取ったデニムを受け取って、自分のジャージを脱いだ。
    広げた綾瀬川のデニムは予想以上に長い。俺より明らかに脚が長いのはムカつくな。現実を見ないふりをして脚を通した。
    「どう?」
    様子を見に近寄った綾瀬川と、キツいデニムに脚を取られて倒れる俺が重なったのは同時だった。
    「あっ!」
    「…………大丈夫か?腕、指、腰、脚、全部なんもやってへんか?」
    うん。
    頷く綾瀬川の顔がすぐ目の前にある。俺たちが一緒に倒れたせいで、床に押し倒した格好になっていた。綾瀬川がさっき飲んだオレンジジュースの香りがする。いい匂いだ。
    チュッ。
    思いがけない音に思わず目を閉じた。すぐに、柔らかな綾瀬川の唇が二度三度と触れた。おまえなあ、立て続けにキスすんなや。ドキドキしてまうやろ。直後、綾瀬川は俺の脇腹を小突きながら楽しそうに言った。
    「さっさと俺の服を着て走ってきなよ。どうせ一番に戻ってくるんでしょ」
    当たり前やろ。
    俺が笑ったのが、こいつから見えたかは分からない。
    返事の代わりに、今度さ俺から口づけたから。

    そうや。いつだって、俺とおまえが世界でいっとう凄いんや。











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    kikhimeqmoq

    DONEチヒ隊 2025/01/19 チヒロと巻墨

    61話、カフェでランチを食べた後に京都へ向かうチヒロと巻墨の小話。63話で巻墨の名前が判明して嬉しくて書いた。チヒ隊かどうかは微妙な感じで特に何も起こらない。
    豪快に京都へ「車で行くんですか?電車の方が早くないですか」
    店を出てさっそく駅に向かおうとした千紘を巻墨は引き止め、車で移動すると告げた。
    「車の方が安全だろ。装備もしてあるしな」
    隊長は得意げに説明した。斜めに切り上がった口端が車への自信を表していた。可愛らしいな、と千紘は感じたが黙っていた。それより装備ってなんだ?
    「装備とら?」
    「武器や小道具が車に隠してあるんですよ」
    炭がすかさず説明した。
    「へえ」
    さすが忍びだ、と千紘は感心した。その評価が伝わったのか、隊長は満足げに頷いた。こくり。
    「じゃあ、車を出しますから、ちょっと場所を開けてください」
    炭の依頼に千紘は振り返った。駐車場はどこだろう。きょろきょろと周囲を見渡す千紘の肩を、杢は長い腕で掴んだ。最初は肩を強く掴まれたが、すぐに柔らかく抱きかかえられ、店の脇へそっと移動させられる。杢の腕も身体も熊のように大きく、肩を抱かれただけなのに、千紘は全身を包まれた気持ちになった。なんだか温かい。杢と千紘は、歳はさほど離れていないと聞いた。実際、杢は隊長や炭よりも若者らしい軽い発言が多い。しかし、なんとはなしに信頼したくなる安定感が杢にはあった。身体の大きさだけではない。ほどよい雑さと丁寧さのバランスが好ましあのだと思う。
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    PAST夏五の匂わせしかねえ伏五
    無名のファイル「恵ってサッパリした食べ物好きって言ってたよね」
     扉を開けると、そこには日常生活ではそうそう拝まない白金に光り輝く頭髪を靡かせた男がいた。睫毛の奥まで純白をたもつ男は、ビニール袋を伏黒に差し出すと我もの顔で靴を脱ぎ捨て家へと上がる。押しつけられた袋の中身を確認すれば、小分けにされた生蕎麦がいくつか入っていた。つゆやネギなども同封されたその袋は、どうやら茹でて皿に盛れば完成という代物のようだ。
    「おそばですか」
    「うん、三人で一緒に食べようー。って、津美紀は?」
    「ちょうど買い物に出ています。さっき出たばかりです」
    「そっか、入れ違っちゃったなあ」
     五条はそういうと座布団を枕にし畳の上にゴロリと寝転がる。以前はなかったえんじ色の座布団は、津美紀が「五条さんが来るから」と言って買い揃えたものである。それまでは来客はおろか姉弟ふたりのみしか存在することの無かった六畳一間は、五条が訪ねるようになってから少々物が増えた。食器類は三人分揃えるようになったし、客用の布団なんてものも用意されている。べつに五条はそんな頻繁に来るわけでもなく、よくて月に二回顔をみせる程度なのだが、窮屈になったアパートは以前より風通しがよくなったように感じる。
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