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    kikhimeqmoq

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    kikhimeqmoq

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    2020年バレンタインの修正再放送です。
    恵たちが高専1年生で、五条先生にチョコをあげる話なので、未来捏造どころかパラレルになってしまいましたが、こういう日があったらよかったのになあという気持ち。っていうのは半分建前で伏五にチョコ食いながらキスして欲しかっただけです。すみません。

    #伏五
    volt5

    「伏黒、家入さんが呼んでるって」

    その日の授業が終わり、中庭に向かう時だった。二年生が体術の稽古をつけてくれる約束だったので。
    職員棟から走ってきた虎杖は、扉の隙間からそれだけを告げ、風のように駆け抜けていった。ドタバタという足音と意味のない咆哮が遠ざかっていく。相変わらずうるせえな。

    家入さんだったら保健室か。
    保健室というよりも実験室と言った方が正確であろう半地下の部屋は、入口から薄暗い。黄ばんだ引き戸を開けると、少しだけ消毒液のにおいがした。何だか緊張する。
    保健室に来る時は大抵怪我をしているか、ミスって呪われた時か、捕獲した呪霊を実験台にする時ぐらいで、何の用事もなく来る場所じゃない。最近の任務は単純なものばかりで暇なので、特殊事例の聴収もないはずだ。
    それなのに、家入さんが?俺を呼んでるって?







    「めぐみぃ、来た?」

    保健室の中から聞こえた声は、予想していたものではなかった。
    その声に咄嗟に口を尖らせる。
    家入さんじゃないということは別にいい。その声が、聞きなれた男の声だというのが面倒くさい。また碌でもないことを始めたか。
    間延びした声で俺を呼ぶ人は、背が高く手足が長く顔が良く、そして誰よりも強いのに、小学生みたいな悪戯ばかりだ。



    昔は保護者、今は恋人のこの人と、縁が切れないどころか深まっていく悲哀を感じながら、とりあえず返事をした。

    「家入さんに呼ばれたって聞いたんですけど」
    「硝子が呼んでるって言っといてって、僕が悠仁に言ったんだけど」

    なんだよ、虎杖もグルかよ。脳内文句を始めそうになったが、同時に虎杖の人の良い笑顔がチラついた。いや、あいつは頼まれたことを実行しただけだろう。たぶん、何にも考えちゃいない。

    「で?」
    「で、ってひどいなぁ。僕が恵をよんだっていったでしょ」

    頭を斜めにした五条が、恵を見つめる。
    いつもは家入さんが座っているグレーの椅子にだらしなく腰掛け、机に突いた片肘に頭をのせた五条が、へらへらと笑いながら、自分を見上げていた。
    ご丁寧に白衣まで着ている。ムカつくことに似合うんだな。これが。白い服白い髪白い肌と青い瞳。今は目隠しはしていない。
    半分しかない窓から差し込む早春の陽射しをうけて、透き通った青い目が光っていた。

    「はぁ」

    答えるのも面倒になってきた。でも、早く教えろと詰め寄ればこの人の思う壺なのも分かっている。こういう時は黙っているに限る。

    「元気ないなぁ。そんなんじゃ僕のことちりょうできないよ?」
    「治療?」
    「僕ねぇ、酔っぱらってるわけ?わかる?」

    分かる。
    普段よく回るどころか回り過ぎて嘘ばかりを振りまく口が、今日は少々まったりしている。口にする台詞は、書き起こせば全て子供が書く平仮名みたいに違いない。

    「普通、学校で酔っぱらいます?」
    「チョコに仕込んであったんだもん」

    もん、て。大の大人がなぜか似合って、聞くたび毎回ムカつくな。可愛いかよ。

    「だから僕は悪くありませーん」
    「だからって俺を巻き込まないでくださいよ。これから二年生と稽古だったのに」

    文句が聞こえたはずなのに、目の前の人は俺の顔を見上げながらふにゃりと笑う。
    緩んだ唇は赤く、大きな瞳は潤み、頬は上気していた。隙だらけな表情をしているのは、酔っているからだと分かっているのに、背中をぞわぞわとした興奮が駆け上った。うわ、これヤバいやつ。

    「帰りますからね。ウイスキーボンボン食って学校で酔っぱらうような人に付き合ってられないでしょ」

    帰りますから、自分に言い聞かせるように二度呟いた。
    俺の聞いた人は、鼻で笑う。ふふん。

    「せっかく可愛い生徒がくれたチョコだから食べるじゃん」

    彼は相変わらずふにゃふにゃした口調で笑い、俺を見つめた。
    酔って弱っているはずなのに、何でも分かる青い目は強い目力で俺を見通す。
    目を逸らし、出来るだけ感情を込めずに指摘した。

    「俺らがあげたチョコに酒が入ってるだなんて、パッケージ見たら分かったでしょ」
    「いやあ、せっかくもらったし?このチョコって恵が選んだんでしょ」
    「違います。釘崎です」
    「ああ、野薔薇が」

    へえ、と呟きながら、手元でくるくると空箱を回した。いつもよりも拙い動きの白い指が絡むみたいに蠢き、止まる。

    「でもさあ。恵だって、買う時一緒にいたのに止めなかったでしょ」

    そう、釘崎が「可愛い」と言ってピカピカ光る箱を手にした時、背後で「五条先生にあげるならウイスキーボンボンは駄目だな」と思ったのは事実だ。そして、正直に言えば、釘崎の買い物を止めずにいれば、下戸の彼が酔っぱらうだろうな、と咄嗟に計算したのも、事実だ。この人が酔って俺を誘う展開を期待していなかったわけじゃない。わけじゃないけど、まさか学校でこれを食べるとは思ってなかった。酔ってエロいことするなら普通は家だろ。


    彼は芝居がかった大袈裟な仕草で残ったボンボンの包装を解き、指で挟んで口に含んだ。
    べろりとワザとらしく伸ばされた舌が、赤く、油分でテカテカと光る様に、煽られるまま素直に欲情した。

    「だから、これは恵の挑戦状だと思って」

    机に頭を置いたまま、長い腕で俺を呼ぶ。完全に酔っ払いの仕草だが、ゆらゆら揺れる白衣に抗えない。
    無意識に近づくと、リーチの届く範囲に届いた瞬間に凄い力で顎を掴まれ引き寄せられた。痛い。酔ってるから力の加減ができないのか、色気もひったくれもない。

    「勝負なら、負けられないでしょ」

    勝負のように勢いよく口の中に入り込んだ舌は、器用に俺の歯茎をなぞった。粘膜を辿って電流みたいに伝わる刺激が、俺の頭を馬鹿にする。痺れて熱を持った衝動のまま、彼の舌に舌を絡めて押し返し、向こうの穴に入り込む。ぺちゃぺちゃという水音が響き、唾液で口周りがぬかるんだ。カカオの焦げた香りに、薄いアルコールの臭いと、この人自身の臭いが混じって、ますます俺の頭を駄目にする。

    「ふぁっっ……」

    頭を掴む。柔らかい髪が指の中でクシャクシャになることにまで興奮した。

    「い……て……いよ……めぐ……」

    口を開く彼の隙間に再度舌を侵入すると、迎え入れるというよりも、捕獲みたいな勢いで引き込まれた。
    やばい、俺が負けそうだ。

    「あ……ん……ぁ……っ」

    強く舌を吸いながら、左手で白衣を捲り、シャツをからげる。いつ触っても滑らかで硬い腹筋をさすり、胸の突起を探し出す。

    「あっ、はぁっっ……」

    良い反応だと思う。たぶん酔ってるせいなんだろうけど、あんな一雫でこれだけ楽しめるんなら媚薬なんていらないな。
    チョコって媚薬とか言うんだっけ……中学で仕入れたどうでもいい豆知識を思い出しながら、胸を弄んでいた手を移動する。
    するすると滑る肌を楽しみ、ベルトの隙間に指を突っ込み。

    「いてっっっ!」

    いっって!なんだこれ!

    反射的に謎の隙間から手を引き抜いた。目の前にかざしてみたところで、別に傷ついているわけでも、もちろん血を流しているわけでも無い。痺れたみたいな感覚に、思わず手を振るが特に何も起こらない。

    「あーあ、恵が学校でエロいことするから」
    「ちょっっ、始めたのアンタでしょう」
    「ちがうよ、僕は可愛い年下の彼氏にチョコを分けようと思っただけ」
    「しらじらしい」
    「分けあいっこしたら、恵が変な気持ちになっちゃうかもしれないから、ここだけ無限をはっておいたんだけど」

    はぁ。
    分かりやすく息をつく。どうせこれ以上何か言っても聞きやしない。
    俺の溜息は聞こえたはずなのに、嬉しそうに彼は続けた。

    「念のためだったんだけど、学校だから。まさか本当にここまでやっちゃうとは思わなかったよ、ムッツリ恵」

    あぁ。
    わざわざ人のいないところに呼び出して、白衣まで着て煽っておいて、お預けだとか、酷いを通り越して拷問だ。
    分かっている。これだけのことを準備していても、きっと最後までさせてくれない。
    ここは保健室兼解剖実験室だ。ベッドだって完備されいる。
    でも絶対に学校で本番はしないのだ。この人は。
    どうせ俺が夜に期待していたことを、分かって今笑っているってのが性質悪い。
    あぁもうだから。だから逃げられない。
    言葉なく立っていると、目の前の彼がニヤリと笑う。

    「恵、良い顔してる」

    小さくそう言い、細めた目蓋の向こうで青い瞳が鈍く光った。
    くっそ、この人やっぱり泣かす。今晩覚えてろよ。
    憤りのまま腕を伸ばして頭を掴む。
    再度、挑むようにキスをした。
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    kikhimeqmoq

    DOODLE伏五の五条が直哉と話しているだけの落書き。たぶんなんか、あんまり良いネタじゃない。恵が高一の五月くらい。誤字脱字衍字および重複は見直してないです。「君さあ、なんでずっとムカついた顔してんの?」
    久しぶりに御三家の会合があった。うちの当主は二日酔いで欠席するとだらなことを言い出し、次期当主である自分に名代を務めるよう言いつけてた。それはいい。それはいいが、なんでこいつと控え室が一緒やねん。俺、ほんま嫌いやねんけどら
    「悟くんはなんで似合わへん東京弁を使ってるの?」
    「似合ってるでしょ。君の金髪よりはずっと似合ってるし。直哉って昔は可愛い顔してたのに、いつのまにか場末のヤンキーみたいな金髪ピアスになったのは社会人デビューなの?」
    ハハッと乾いた笑いを付け加えた男といえば白髪が光っていた。銀髪というほど透けていないが、真珠みたいに淡く柔らかく発光している。下ろした前髪から覗く青い目はこれまた美しく輝いていたが、柔らかさなんて一欠片もなく世界を圧倒する力を放っている。それは自分が呪術者だから感じる力であって、その辺の猿どもが見たってガラス玉みたいに綺麗だと褒めそやすだけなんだろうが、こいつの真価はそんな見た目で測れるものじゃない。まあ、えげつない美しさっちゅうのは事実やけど。
    「もうすぐ禪院の当主になるっていうもんが、いつまでも五条家に 3020

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