まよなかのひとりあそび指先に、つぷっと針をさす。裁縫で使うというそれは朔次郎さんから貰ったものだ。何に使うかは……流石に言えなくて誤魔化したけど。
真夜中、可不可と添が部屋にいない隙を見計らって。
これはもはや日課と化したオレの『秘密』の時間だった。
皮膚の中に銀のはがねが入り込んでいく。肌を突き破って、そのまま奥へと。熱を持って広がる痛みと共に、指の先端から血のたまが泡のようにぷかりと浮かんでくる。鮮やかな赤色と、少し色の濃くなった肌色と、照明に反射してきらきら光る銀色。
その全てが、オレのまぶたの内側まで入り込んできて。頭の中が震えるみたいに痺れてじんとした。
……「きもちいい」って、多分こういう事なんだろうな。
知らないうちに息が弾んでいた。指先から赤い糸のような線が下に伸びていき、机の上にぽたりと垂れて点々と染みを作る。
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