戯れ 忍術学園の内部を全て把握しているわけではないが、どの時間帯に誰がどこにいるのかはおおよそ把握している。そのため学園内で最も動きがあるのは用具の管理や修補を請け負っている用具委員であり、屋根の修補も行うこともあるのはわかっている、が──今目の前で繰り広げられているのは、一体何なのだろうか。
「留三郎ー! いい子だから降りておいでー!」
「先輩、縄梯子は?」
「駄目だ、僕達保健委員が使うと縄梯子を壊すか留三郎に当ててしまうし、そうでなくとも今の留三郎が縄梯子に何をするのかわからない」
屋根を見上げて声をかけているのは、保健委員長である伊作くんだ。その近くにいるのは保健委員のよい子達と、用具委員の子だろうか。そして屋根の上には用具委員長──食満留三郎がいる。伊作くんや後輩達を気にかけている彼にしては珍しく、これほど騒がしくしているというのに猫のように丸くなっている。何故屋根の上でそんなことをしているのか、と思って眺めていると伊作くんが私に気付き、近付いてきた。
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