その星空の下で君と出会う「あーっくそッッッ」
走った勢いで踏みつけた水溜りが復讐と言わんばかりの勢いで跳ね返って、卸したての靴とズボンの裾を汚した。駅まで走って行こうと思ったが、先日顔馴染のフランス人に向かって中指を空に向かって立てたのがいけなかったのか御立腹の様にザアザアと降り注ぐ。次からはピースサインにしよう。逆向きに。
ここは一時戦力的撤退だと、ぐっしょりと重くなった服を身に纏い、軒下に滑り込んだ。
「……はぁー」
最悪。そう思いつつ、屈んでスーツにはねた水をはらう。
「大丈夫ですか?」
突然降り掛かった声に視線を上げると、しっとりとした黒髪の小柄な男が立っていた。
日本人にしては流暢な英語なのが印象的だった。
「突然すみません。でも、そのままでは風邪を引いてしまいますから」
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