【ほしまつ5展示】「変わらぬものも変わるもの」 大学最後の冬休み。五年ぶりに、祖母の家に訪れた。
別に来たくなくて来なかったわけではない。流行り病だとか、就職活動だとか、様々なことが重なって五年も経ってしまっていたのである。
祖母の家は、絵に描いたような昔ながらの平屋建ての家で、私が小学生の頃までは共に生活していたが、父親の転勤に伴いこの家からも離れた。今では祖母は愛犬のシバ(柴犬である)と一緒に一人と一匹で生活をしている。
五年で様々なことが変わった。高校生で大学受験に怯えていた私はなんと企業に内定を貰ったし、猫型ロボットがウエイターをしていても驚かなくなったし、一日で最高気温が十度以上変わっても何とか生き延びた。
祖母は歳の割にはよく動き、気も強い。今朝もシバの散歩をしてやれと朝五時に私を叩き起こした。私は逆らうこともせずに、眠い眼を擦って祖母の気に入りのバンダナを付けたシバを連れて家を出た。
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