この恋を自覚したとき、まるで夜空に浮かぶ星を手に入れるような話だと思った。
つまり、何をどうしたって不可能。手に入るはずがないってこと。
胸の奥に押し込めたぼくの不毛な恋心をそんな風に例えて、その相手である仗助本人に話してしまったのは、酒に呑まれての完全な失敗だった。
駅前でばったり会って、久しぶりじゃあないスか飲みに連れてってくださいよ〜なんて強引に引っ張ってこられた居酒屋。悪態をつきながらも振りほどけなかったのは、こいつのことが好きだからだ。久しぶりに顔を見れて、タダ酒目当てでも親しげに声をかけられて、嬉しいと思ってしまった。嬉しいけど、絶対叶わない想いを抱えたままこいつと一緒にいるのは苦しい。そんなぐちゃぐちゃな感情で安いアルコールを流し込んでいたら、ぼくは早々に出来上がってしまった。そんな時に「先生は好きな人とかいるの?」なんて聞かれたから、口が滑ったのだ。
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