⚓️くんは帰りたい自分で身体を操れるようになってから最初の頃はなんだか頭がボーッとしていた。
ボーっとして、歩いているだけで動かない時とそんなに変わらなかった。
だけど、時々急に頭が痛くなる。
胸のあたりがざわざわする。
気がついたら、大勢のニンゲンに囲まれていてそのくせボクの問いかけに答えてくれるヒトも、ボクがずっと探しているヒトも見つからない。
「アソボ、」
「アソボーヨォ。」
「ねえっ」
"ボク、ワラッテルミタイデ、カワイイデショ"
ニンゲン達はボクを、「かわいい」言うものだからある雨が降った日の夜水たまりに映る自分の顔を見てみた。
コレガ、カワイイ…
ボロボロで、血がついているコレが。
頬に手を当てて、水たまりを覗き込んでいるとひどく頭が痛くなった。
楽しくないのに、ナンデワラッテルノ
カナシイノニ、ユルセナイノニ。
…ナニガ、ユルセナイノ
「生きてたんだね。」
ぽろりと呟く自分は自分じゃないみたいだと思った瞬間に、流れる音楽に合わせて体が勝手に踊りだす。まるで、思考をさせまいとするみたいに。
見えない糸に操られている操り人形のようだとニンゲンは気づかないのだろうか
ボクは気づいたよ。
ボクは自分の意思で動いているんじゃないって、誰かに操られているだけなんだって。
ボクは気づいたよ。
元の世界に帰りたいって。