総司くんと俺「左之さんや新さんといるのは楽でいいんだ。でも別に総司くんが苦手ってわけでもないんだよ。」
「平助、僕のことが好きなんですかぁ」
「いや、ああいうところはだいぶ嫌だけどさ。」
縁側に座って外を見ながらお前の淹れた茶を飲んでいた時にふと訊かれて俺は言う。
その時通りかかった総司くんから言葉が飛んでくるなんて思わなかったし、俺の側に座るお前は驚いて縁側から落ちそうになっていた。
当の本人は俺達のそんな姿に満足がいったのかすぐにその場を去っていく。
「俺が、って言うより総司くんが多分距離を置いてるんだよ。」
「沖田さんが···」
「多分、な。総司くんくらい強いとなんつーか色々あるんだと思うよ。いや俺も詳しくは知らねぇけど。」
ま、俺たちもこの町じゃよく思われてないだろうしなんとなくそういうのってわかるよ。
少し、冷たい風に俺は言葉を乗せる。
あぁ、この気持ちもお前が気づくことないどこか遠くに運んでいってくれないかな、と思いながら。
「さてと、あんまりお前とばかり茶を飲んでいると土方さんに叱られちまう。俺はもう行くよ。そこでおっかない見張りもいるし、な、総司くん。」
「···なんだ、気づいてたんですか」
「このまま、だらだら話を続けていたらサボっていると土方さんに報告してあげようと思ってたのに。」
「ははっ、こえぇ、こえぇ···冗談だよな」
「さぁ」
「こわっ···」
俺と総司くんのやり取りを見てお前は面白そうにくすくすと笑う。
それを見て俺は、冷え切った心が少しだけ解けていくような気がした。