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    あすと

    @aaast

    成人向け🔞NSFW / 全員受けで全員攻め

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    あすと

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    💤?甲柴?柴甲?💤

     クソだせーぺらっぺらのカーテンの全面が明るい。遮光カーテンにしろよ一番グレード高いやつな、って前に犬飼に言ったら、朝は自然な光を浴びたほうが目覚めが良くなるそうですよ、でも紫外線はきちんとカットしてくれる製品だそうなので甲斐田くんにも安心です、とかなんとか言われて却下された。んなこと知るか。

     PCの時計をちらっと見たら完全に朝、だった。まああのクソカーテンのお陰でそんなことはわかりきってたが、あんなもんにわからせられるのが癪だった。雑魚プライスのクズ布如きが俺にマウント取ってくんじゃねーよ。いつか破り捨ててやる。

     いぬかいが起きるまでにはまだ多少猶予はあるが、流石にそろそろ寝るかと握りしめていたゲームパッドを適当に置いてから両腕をぐっと上げて上半身を伸ばして、そんでモニターだけ切った。どうせまたあとでやるし別にいいだろ本体は。電気代がどうのとうるせーお説教は適当に聞き流しときゃいい。
     
     ぐるっと回ってチェアから降りてもう一回伸びをして、ベッドに入ろうとしたら、ねえ、と声がかかった。紫音だ。ずっとベッドから出ては来なかったがこいつもまだ起きてるのは気づいていた。でも向こうは話しかけてこないし俺も話しかけなかった。別に用がないからだ。なのに今になってなんだ、俺は寝るんだよ。
     
    「寝ろ」
    「眠い?」
    「別に」
    「じゃあちょっと俺に付き合ってくれないかな」
     
     返事するんじゃなかった。うぜえ展開確定演出じゃねーか、いらねーから即売却。NよりいらねーSSR。
     
    「寝ろっつってんだろ、俺は寝る」
    「眠くないって言ったじゃん」
    「るせーな、絡む相手欲しいならお前の色ボケ仕様スマホにでも話し掛けてろ」
    「……わかった」
     
     いやに素直できもちわりーな。しかもやたらか細い声。まさか色ボケムーブでなんかトラブったか? 相手のスマホからやべーデータ消せとかそういう話か? クソだりーけど、こいつのせいで俺らの活動に支障が出るっつーならそれはなんとかしてやった方がいいかもしれない。別にこいつが心配だとかそう言うんじゃない。どうでもいい。
     
    「……ちなみに、用件は」
    「ん?」
    「何に付き合えばいいのかって聞いてんだよ。場合によっちゃ考えてやらねーこともねー、あと当然見返りは要求する」
    「ほんと?」
    「だからなんだよさっさと言えよ」
    「ちょっとこっち来て」
     
     寝転んだままの紫音は眩しそうに目を細めながら俺を見ると、ゆらりと手招きをした。ホラー映画のテンプレ幽霊みてーな動きしてんじゃねーよ、ファブリーズ除霊すんぞ、煙草臭用ので。

     ベッドのすぐそばまで行ったら、もっとこっち、ベッドの中入って、とか言うから正直警戒したが、万が一にでも誰にも聞かれたくないトラブルなら打ち明けるのに慎重になるのもわかる。そう思って紫音のベッドに乗り上げて、そこらに散らばるこいつの髪を踏まないように避けて座る。同時に紫音はずずっと奥にずれて、俺一人分のスペースを開けた。

     狭いベッドの中の妙な距離感が変に気まずくて俺は、詳細はよ、と、紫音の方を見ずに言った。と、次の瞬間、俺の背中は布団に、頭は枕の端にあった。眠気で一瞬理解ができなかったのと、マジで端過ぎて紫音がいるのとは逆に向くように頭か斜めになったせいで咄嗟にあいつの顔を見ることが出来なくて、振り返って文句を言おうとした時には、身体ごと転がされ頭と同じ方を向かされていて、そんでそのまま紫音が背後から覆いかぶさってきた。は? 俺襲われんの? いや無理なんですけど。
     
    「離せ淫行野郎」
    「ひどいな、そんなんじゃないよ」
    「じゃあなんだよこの状況で」
    「人肌恋しくてさ……」
    「違わねえじゃねーか!」
    「シー…」
     
     無理無理無理マジ無理、なんでメンバーに襲われなきゃなんねーんだよ、つか襲われたとして俺何されんの? ケツに突っ込まれんの? 無理だろ……。やばすぎてどうにか逃げようともがいてみたけど、このほせー腕のどこにそんな力あんだよってくらい拘束つえーし脚までガッチリ挟まれたせいで無理だった。覚悟決めるしかねーのかよ、なんの覚悟だよ無理だっつーの。
     
    「やめろよ、マジ、俺……」
    「大丈夫、怖がらなくていいよ、何もしないから。ただ誰かの体温抱いて眠りたかっただけ……眠れなくて……」
    「は?」
    「俺が眠ったら出てっていいし、あとでお礼もする。だから少しだけ付き合って、おねがい……」
     
     眠れないと言う割には眠そうな声で縋るように言われて、なんとなく抵抗できなくなった。やっぱりなんかあったんじゃねーの? って思ったら拒否るの可哀想かもって、いや別に優しくしてやるとかじゃねーけど。日中もうじうじしてられっとうぜーからな。
     
    「……たけーぞ」
    「ん」
    「あとでリスト送るから」
    「ん、わかった」
    「さっさと寝ろよ」
    「うん……あのさ……」
     
     しばらく間が開いた。言うか言わないか迷っているのか単に眠いのか。どうでもいいから早く寝てくれ、すげー近くで紫音の匂いがする、首筋に吐息がかかる、髪が擽ったい。気まずい。
     
    「なんだよ」
    「……シバケンてさ、お子ちゃまだから、もっとあったかいかと思ってた」
    「あ!?」
    「でもさ、思ったほどじゃなくて、普通で、なんていうか、シバケンも、大人の男なんだなぁって……」
     
     あたり前だろ! も、うっざ! も、返す言葉としてはしっくり来ないけど、かと言って他に適切な言葉が見当たらなくて何も返さずにいたら、その後すぐにこれは明らかに眠ったなって感じの呼吸音が聞こえてきたから、返す言葉を探す作業をしなくて良くなったことに安堵した。ドキドキなんてしてない。絶対に。するわけねーだろキッショ!
     
     つか眠ったんなら俺もう出てっていいんだよな? 万が一俺までここで寝落ちて、朝……つってももう朝だけど、凌牙や犬飼に見られたら最悪だ、相手は紫音だぞ、絶対やべー誤解されるに決まってる。そうならないようになるべく早めにここを出たい。
    が、それをするにはまだ早い気がする、眠った直後に変に動かしたら目が覚めるかもしれない。そしたらまた付き合わされるだろう、それならもう少し、もう少しだけ待ってやってもいい。感謝しろ、崇め奉れ。あとクソカーテンマジでうぜー、もうちょっと夜のままでいいんだよ。朝を実感させてきてんじゃねー死ね。
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    Replies from the creator

    あすと

    DOODLE夏の終わりの眠れないかいだくん(と誰か)の話
     別に、セックスなんてしなくたって死ぬわけじゃない。性欲なんて一人でだって満たせるし、そしたらあとは眠ればいいだけ。夢は見ない。寂しさは持っていかない。
     本当にほしいものが何なのかなんて自分でもわからない。繋がり、ほしいけど、繋がるってどういうことか本当はわからない。経験のないことは想像するしかないけど、経験がないからその材料すらも持ち合わせてはいない。仮に誰かが教えてくれたとしても、それはそいつの見解であって俺も同じとは限らない。
     だから、わからないことはずっとわからないまま、なんとなくわかった気になって欲しがり続けるしかないってこと。

     さっきまで生ぬるく感じてた扇風機の風は、今は少し寒いくらいだ。暇だな、暇だからこんなに余計なこと考えちゃうんだ。眠りたい。でも今眠ったら連れて行ってしまう。そんなのは嫌だから、目の前の背中にしがみつく。冷えた汗に頬をつける。ゆっくりと、同じリズムで震える体温。 どうして置いてくの、俺も一緒につれてってよ。一緒ならきっと、夢を見るのだって怖くない。ねえお願い、俺よりあとに眠って。置いて行かないで。俺が眠るまで、抱きしめて頭撫でてよ。子供扱いしたっていい、馬鹿にしたっていい、毎晩一緒に眠ってくれるなら、俺、誰よりもいい子になれるから。
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