高間晴☆quiet followDONEチェズモクワンライ「花粉症/潜入」。 #チェズモク chesmok ##BOND ■今宵は一献 ヘリの窓からネオン色のまばゆい夜景を見下ろしてモクマが言う。「いや~、絶景だねぇ」 チェズレイとモクマは敵組織のアジトを無事発見し、今宵、二十階建てのビルの高層部に潜入することになった。「おや、遊覧飛行をお望みですか?」 チェズレイの言葉にモクマは苦笑する。「そういうわけじゃないけども」 夜闇に紛れてチェズレイの部下が操縦するヘリに乗り込み、二人は上空から最上階を目指していた。 二人が無事に屋上へ降りたのを確認してから、ヘリを操縦している部下は二人に向けて力強く親指を立ててみせる。ご武運を――。無言のうちにその意味が伝わってくる。そうしてヘリはバラバラとローター音を鳴らしながら速やかにその場を離れていった。中の通路は薄暗く、窓から入る月明かりだけが頼りだった。 と、通路を足音も立てずに進んでいたらチェズレイが口元を押さえて本当に小さな小さなくしゃみをもらす。モクマは視線だけで大丈夫かと問うたが、チェズレイは軽く頭を下げるだけですみませんと言ったようだった。 チェズレイはこの国に来てから花粉症に悩まされていた。幸いいまの時代は薬で症状が抑えられるとはいえ、薬の副作用で彼はほぼ四六時中、喉の渇きと眠気を訴えている。 辺りに人の気配がまったくないのをいいことに、二人は通路を歩きながらジェスチャーとハンドサインだけで会話した。 ――やっぱり休んでたほうがよかったんじゃないかい? ――相棒ひとりだけに潜入ミッションを任せるわけにはいきませんよ。 そうして目的のメインコンピュータルームにたどり着くと、チェズレイは事前の捜査情報通りにドアロックを解除するパスコードを打ち込む。ピッ、と電子音がしてグリーンのライトが光り、ドアがスライドして開く。二人は真っ暗な部屋の中の様子をうかがいつつ入る。 目的はここのコンピュータから、人身売買を行って得た金銭の流れが記載された裏帳簿のデータ、それをコピーすることだ。 チェズレイは手慣れた様子でメインコンピュータの前に行くと、手元のモバイル端末と目の前のそれをケーブルで繋ぐ。そうして彼が端末を操作している間にモクマが周囲を警戒していた。天井付近に数箇所、監視カメラの赤いライトが見えるが、あれはいまチェズレイが端末から送り込んだウィルスによって偽の映像――二人が映っていないもの――に替えられているはずだ。 端末を操作しながらチェズレイはまた小さなくしゃみをした。モクマが画面を覗き込むと、データコピー六十四パーセント完了を示すライトパープルのプログレスバーが黒い画面に表示されている。 ふいにモクマの鋭い聴覚が人の足音を拾う。警備員だろうか。何にしろこの部屋のドアは開きっぱなしだ。モクマはチェズレイに目で合図してから開いたドアの脇に張り付いた。やがてチェズレイにも聞き取れるカツカツという靴音と、懐中電灯の明かりが通路を移動してくる。 モクマがチェズレイをうかがうと、時間を稼いでくださいと言いたげに端末の画面をこちらに向けて見せてきた。プログレスバーは八十二パーセントを示している。 相手に通信機で応援を呼ばれたら厄介だ。モクマは通路に飛び出す。いきなりの侵入者に驚いて、腰の拳銃を抜こうとする体格のいい警備員。それに向けて鎌につながった分銅を素早く投げつけ、拳銃をはたき落とすと素早く近づいて顎を下から蹴り上げた。それだけで相手は気を失って倒れ込む。 ふう、とモクマが息をつくと、気絶した警備員の腰につけられた通信機からノイズ混じりの人の声が聞こえてきた。『こちらベンソン。問題はないか、ニールセン?』 モクマは一瞬ためらったが、素早く通信機を取るとボタンを押し、低い声で「こちらニールセン、問題はない」と返した。しばらく間があって緊張が走る。『――了解した。警戒を怠るな』 その返事を聞いてモクマはほっと息をつく。チェズレイの方を振り仰ぐと、ちょうどデータコピーが終わったらしい。ケーブルを引き抜いてモバイル端末を懐にしまい込んでいる。 ――終わりましたよ。 ――ほんじゃ、さっさとずらかろうかね。 モクマは通路の窓を一枚蹴破り、そこへ鉤縄を引っ掛けた。割れた窓から風が吹き込んで二人の潜入服の裾と髪を揺らす。以前は五十一階から落ちて死なずに済んだ二人だ。二十階程度の高さならわけもなく脱出できる。モクマが先行して縄を伝い降りていく。チェズレイも続いたのを見て、数階分するすると縄を降りるとまた窓を蹴破り室内に潜入する。そうしてチェズレイも室内に入ってきたところでまた鉤縄をかけ直す。これを繰り返して地上に降りる。多少面倒だが、ヘリの派手なローター音を何度も鳴らすよりはマシだ。 そうやって地上、街灯の光も届かぬ路地裏に降り立つ。それから二人は降下地点付近に待機していたリムジンに乗り込む。 リムジンが動き出すと、広々とした座席に腰を落ち着けたチェズレイはようやく声を発した。「……喉が渇きましたね」「なら、どうだい? 帰ったら一杯」 座席の向かいでモクマが酒盃を傾ける仕草をしてみせると、チェズレイは微笑んだ。「悪くない提案です。祝杯を兼ねて飲みましょう」「じゃあ早く帰ろう」 モクマは「運転手さーん、スピード上げて!」と運転席に声を投げる。それを聞きながらチェズレイは目を閉じると、うっすらとした眠気に身を任せるのだった。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow 高間晴MOURNING140字敦太。 10 高間晴DOODLE敦太R18pass:18↑?すけべどうやったら描けるねん…… 高間晴DOODLE普段すけべを描かない人間の精一杯の敦太すけべpass:18↑? 高間晴DOODLE敦太すけべらくがきpass:18↑? 高間晴PAST過去の文スト短歌。カップリングとかはなんでもありのカオス。 40 高間晴DOODLE接吻せい……の心持ちで描いた related works べこDOODLEピンク色のバレンタインなヨウグズ🍫 きくちゃんDOODLEサタン様犬好きかと思いきやロクサーンみたいなパターンもあるのでやっぱ人外思考なのかな~ ココノカSPOILER幻覚なので全くネタバレではないけど1072話の発言ネタ わたさくDOODLE ちゃづDONE描いたやつその1※茨あん、ジュンあん 17 きくちゃんDOODLEサタン様犬好きかと思いきやロクサーンみたいなパターンもあるのでやっぱ人外思考なのかな~ 2watoyoDOODLE【朝のボールペン落書き】【日楠♀】【先天性女体化】日高先輩×男装後輩サキュバス家系楠ちゃん。海編。本当に気にしてるのは。 ちゃづDONE描いたやつその1※茨あん、ジュンあん 17 nnnnnnoodderaDONE【腐向け】チャバが酔ってハ崎さんに甘えてる漫画。ハ崎さんがトイレに行くのを我慢していたりする。 4 recommended works そりゃソーダDOODLEカラに悪い顔させたかっただけ 高間晴DOODLE診断メーカーより、【あなたは晴の丁大の「あのとき君がああ言ってくれたから、私(僕)はここに立っていられる」という台詞を使った1コマ漫画を描きます。】※あとから気づいたんですが一枚目は丁呂介の着物の合わせが逆(死装束)になってます。ご自由に妄想してください。※二枚目に着物の合わせ直したのも突っ込んどきます。 2 すいまーPASTテステス 2 大沼京子DOODLE落書きクオリティのマナみちゃんマナみちゃんは可愛い。とても可愛い 高間晴DONEチェズモク。チェズの髪を切るモクの話。■ノスタルジーに浸って「モクマさん、私の髪を切ってくださいませんか」 リビングのソファで、暇つぶしにタブレットをいじっていたときだった。スリッパの音が近づいてきたと思ったら、チェズレイがだしぬけにそう言う。モクマは一瞬何を言われたのか理解できなくて、チェズレイに訊く。「え? 何つったのチェズレイさん」「ですから、私の髪を切ってほしいと言ってるんです」 チェズレイは、腰まで届くプラチナブロンドを揺らしながら言った。その髪は流れの半ばをモーブカラーの細いリボンでゆるく束ねている。思えば、はじめて会った頃よりだいぶ髪が伸びたものだ、とモクマは感慨にふける。って、そうじゃなくて。軽く頭を振って思考を呼び戻すと、アメジストの瞳が瞬いてふわりと微笑む。――モクマがこの顔に弱いと知った上でやっているのだから、たちが悪い。 チェズレイはモクマの隣に座り、その手を取って白手袋の手で包む。「お願いします」「い、いや。人の髪を切るだなんて、おじさんそんな器用なこと出来ないからね?」 モクマはチェズレイの手を振り払う。下手なことをしてこの可愛い年下の恋人の美しさを損なってしまうのが怖かっ 1901 高間晴DOODLEチェズモク140字SS。 ▶︎古井◀︎DONE横書き一気読み用#チェズモクワンドロワンライお題「潜入」※少しだけ荒事の描写があります悪党どものアジトに乗り込んで大暴れするチェズモクのはなし 機械油の混じった潮の匂いが、風に乗って流れてくる。夜凪の闇を割いて光るタンカーが地響きめいて「ぼおん」と鈍い汽笛を鳴らした。 身に馴染んだスーツを纏った二人の男が、暗がりに溶け込むようにして湾岸に建ち並ぶ倉庫街を無遠慮に歩いている。無数に積み上げられている錆の浮いたコンテナや、それらを運搬するための重機が雑然と置かれているせいで、一種の迷路を思わせるつくりになっていた。「何だか、迷っちまいそうだねえ」 まるでピクニックや探検でもしているかのような、のんびりとした口調で呟く。夜の闇にまぎれながら迷いなく進んでいるのは、事前の調査で調べておいた『正解のルート』だった。照明灯自体は存在しているものの、そのほとんどが点灯していないせいで周囲はひどく暗い。「それも一つの目的なのではないですか? 何しろ、表立って喧伝できるような場所ではないのですから」 倉庫街でも奥まった、知らなければ辿り着くことすら困難であろう場所に位置している今夜の目的地は、戦場で巨万の富を生み出す無数の銃火器が積まれている隠し倉庫だった 持ち主は、海外での建材の輸出入を生業としている某企業。もとは健全な会社組織 6166 みしなDOODLEチェズモクモクマさんのゆる笑顔大好き。 MinoDOODLE啾❤