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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    敦太800字。寒い朝。

    ##文スト
    #BSD
    #敦太
    dunta

    冬きたる 朝、敦は寒さで目を覚ます。
    「さっむ……!」
     思わず鳥肌の立つ腕をさすりながら体を起こした。
     カーテンの隙間から冷えた朝日が部屋に射し込んでいる。いつの間にか、もう冬になっているのだ。
     それにしても、なんでこんなに寒いのかと敦は思った。だが、気づけば、毛布や掛け布団は隣で寝ている太宰に全部奪い取られてしまっている。
     全く仕方のない人だなあ、なんて思いながら、こちらに背を向けている太宰の肩にそっと手をかける。
    「うーん……敦君、そこはだめぇ……」
     触れた瞬間、妙に艶っぽい声の寝言。思わず敦は昨夜のことを思い出してしまって、手を離す。ごくりとつばを飲む音が聞こえそうな気すらして――。
    「って、太宰さん! 起きてるでしょ!?」
    「……ちぇっ、バレたか」
     布団にくるまったままの太宰が寝返りをうつ。ついでに「おはよ、敦君」なんて茶目っ気たっぷりに笑いかけてくるので、敦もおはようを返す。
     敦は盛大なため息をついた。
    「僕、寒いんで熱いシャワーでも浴びてきます」
     起き上がろうとする敦の手を、太宰の手が掴む。布団に入っているというのに、どこかひやりとしたその体温が、敦は好きだった。
    「……行かないで」
     さっきまでのふざけた態度はどこへやら。眉根を寄せた寂しそうな顔でそう引き止められて、その手を振りほどく術を敦は知らない。知りたくもなかった。
     太宰は黙って自分の布団の中へ敦を引き入れる。そうして二人、お互い背に腕を回して布団の中で抱き合うと、世界には自分たちふたりしか存在していないような気がした。太宰が敦の太腿に脚を絡めてくる。
     そうしているうちに二人の体温が溶け合って、まるで幼子の手のひらで形をなくした新雪の温度になっていく。
    「太宰さんって、本当に僕を堕落させるのが上手いですね」
    「褒め言葉として受け取っておくよ」
     敦は返事の代わりに太宰の額にくちづけた。くすくすと笑う、太宰の声だけが小さく部屋に響く。そんな、しんとした寒い朝だった。
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。お揃いのマグカップ。■おそろい


     モクマはチェズレイとともにヴィンウェイのセーフハウスに住むことになった。あてがわれた自室で荷物を広げていると、チェズレイが顔を出す。
    「モクマさん。やっぱり食器類が足りないので、買い出しについてきてくれませんか」
    「おっ、いいよー」
     タブレットに充電ケーブルを挿し込んで、モクマはいそいそと後をついていく。
     食器店――こちらの方ではテーブルウェア専門店とでも言うのか。最寄りの店に入る。そこには洒落た食器が棚に所狭しと並んでいた。さすがチェズレイも利用するだけあって、どれも美しい芸術品のように見える。
    「ええと、ボウルとプレートと……」
     店内を歩きながら、モクマの押すカートに食器を次々と入れていく。
    「あとはカップですが、モクマさんがお好きなものを選んでくださって結構ですよ」
    「ほんと? どれにしようかなぁ……」
     白磁に金の葉の模様がついたものや、ブルーが美しいソーサーつきのカップなどがあって目移りしてしまう。そこでモクマは思いついたように訊いた。
    「なあ、お前さんはどれ使ってるの?」
    「――そうですね、普段はこのブランドのマグカップを使っています。軽量で手首に負 825

    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。今度はモさんがうだうだしてる。
    https://poipiku.com/108543/4050417.html の続き。
    ルクアロルクの描写を含みます。
    ■最近の悩み(Side:M)


    「じゃあまたコーヒー淹れてくるわ」
     モクマはチェズレイの空になったカップを受け取って書斎を出た。さっき彼の手にしていた携帯の画面が、遠目でちらりと見えてしまったのを思い出す。
     さすがにここまで共に過ごした上であれを見て、彼が自分以外の誰かとセックスがしたいんだなんて思うほどモクマは朴念仁ではなかった。
     おじさん、求められてるんだなぁ。あんな美青年に。
     ぼうっとそんなことを考えながら、キッチンでカップを洗う。
     きっとチェズレイはどっちも未経験だろうから、俺がネコ側やるのが妥当なんだろう。
     でも、あいつは知らないかもしれないが、セックスなんてのは時としてみっともなくて滑稽なものだ。ただでさえこんな――あの美しい男にこんなおじさんの喘ぎ声だとか痴態を晒すなんて、とてもじゃないができない。我慢すればいいだけの話だなんて言わないでほしい。人生で初めてこれだけ惚れた男に求められて触れられて、抑えられるだけの自信がないのだ。
     それが恥ずかしいなんて可愛い感情ならまだどうにかできた。だが自分が抱えているのは恐怖と惨めさ、とでもいえばいいのだろうか。
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