K駅を出た我々は、パブでジョッキを掲げて乾杯した。
愛してやまない国産のビールを喉に流し込む。ウォッカもいいが、仕事終わりの一杯は、やはりビールがいい。いつも以上に美味いと感じる理由は、仕事を終えた後の解放感だけではないだろう。思いがけない時間を楽しんでいるからだ、彼と二人の時間を。
胸の高鳴りを抑えられない自分に、思わず笑ってしまいそうになる。
我ながら浮かれすぎだ。彼とは今日初めてあったばかりだというのに。だが彼とは運命的な出会いをしたのだから仕方ない……ほら、やはり私は浮かれている。冷静な第三者がいたら、私はさぞかし滑稽な存在に思えたことだろう。恋の始まりというのは、こんなものだったろうか。滑稽で馬鹿げていて楽しい。私は、浮かれた気分を隠しもせず彼に言った。
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