みかんと、こたつ審神者の自室の隣に隣接する蔵に、光世が入っていくのを見かけると、これ幸いと言わんばかりに審神者は光世蔵にあれこれと窓から荷物を運んで行く。
最初は、本、お菓子、飲み物、座布団、布団、そしてとうとう今日炬燵まで持って来た。
あんた、こんな所で何をしている。
いやあ、良いところを見つけて。
光世は、もぐもぐと蜜柑を食べ炬燵で書類を書き光世を見上げ、へらりと笑う審神者を見てため息をついた。
これで、何日目だろうか。わからなくなってきた。光世はとうとう諦め、審神者が用意した炬燵で蜜柑を食べる事にした。審神者が途中まで、剥いていた蜜柑が皿の上で食べられるのを待っている。光世は、その様子を見ながら自分も蜜柑を剥いた。
審神者が光世を見ると書類から目を離し、光世をじっと見て、口を開けている。
なんだ?
いや、大典太が剥いている蜜柑美味しそうだなと。
その横にあるのも、同じ蜜柑だと思うが。
それは、後で食べるから。ね!それ欲しいな。
じっと、子犬の様な瞳で雛鳥の様に口を開け蜜柑が口にくる事を待っている審神者を見て光世は、自分が剥いた蜜柑を見た。一房蜜柑を取ると、光世は指で蜜柑を摘み審神者の口に運ぶ様に、腕を伸ばした。あーっと、首を伸ばし審神者の口から声が出る。もう後少しで、審神者の口に蜜柑が入るという所で、光世は自分の口の中にポイッと蜜柑を放り込むと、ニヤリと笑みを浮かべ審神者を見た。そうして
驚いたか
と審神者に告げると審神者は、開けたままの口が塞がらないまま炬燵の机におでこを当て
鶴丸の悪知恵かー!
と叫んだ。
終