犬と光世4おはぎは、そんな光世を見上げへっへっと嬉しそうに笑って居た。
ショーケースの中は、まだお昼前だと言うのにほとんど完売に近く加州清光が、ロールケーキの補充をして居た。光世は、端末を取り出し注文画面を見ていた。おはぎ一歳のお誕生日ケーキと焼き菓子の詰め合わせと書かれていた。
光世は、加州清光に注文画面を見せるとはいはーいと奥の作業場に品物を取りに向かった。
おはぎは、大人しく伏せをして待っている。光世は近くにあった椅子に座ると、おはぎを見下ろした。今日は、おとなしい。何か、悪いものでも食べたのだろうか?拾い食いは、していなかったと、首を傾げた。加州清光が品物の入った箱に保冷剤を入れ紙袋に入れている。奥から、ちらりと強面の顔が覗く。ここの主人だ。光世は、ぺこりと頭を下げると主人は、おうっと手を上げ光世に挨拶を返した。犬が好きだが、触らない主人のため、加州清光がおはぎの動画を撮り、たまに見せていたのを見た事があった。
「はい、お待たせ〜。用意出来たよ。」
「嗚呼、すまない。」
「いいよ、それにこっちもおはぎの写真いつもありがとうね。」
加州清光が、へらりと笑い品物の入った袋を光世に渡した。