犬と光世 1くるんと丸くふわふわとした尻尾をこれでもかと振る柴犬を前に光世は、ふふっと笑みを浮かべた。大人しくおすわりをしたままの柴犬の首輪にリードをつけると、へっへっと嬉しそうに笑うので光世もつられて笑い頭を撫でた。
買い物がてらに散歩をしに行くことになった。梵丸だったか、弁慶号だったか、八丸だが、豆田だったか、この柴犬には沢山の名前がある。光世は、ソハヤが呼んでいるおはぎと呼んでいる。それでも、沢山の名前でも柴犬は大声で鳴くので、皆が可愛がる光世も例外ではない。
門を開け、リードと財布の入った買い物袋をしっかり握り光世はおはぎと買い物に出た。