坂田の腕が好きな高杉(高銀)「お前ってさ。結構分かりやすく助平だよな」
唐突にそう言われて、高杉はいぶかしげに眉をしかめた。
言った当人は、布団に寝転んでむき出しの肩に羽織だけをひっかけた姿で、恋人から奪った煙管を咥えながら、気だるげに煙を吐いている。
「例えばさ、お前おっぱい好きだろ?」
「あ?」
「すごい揉んできたり、しゃぶってきたりするじゃん。そういうときのお前さ、なんか普通に助平な男って感じする。あー、お前もおっぱい好きな男なんだぁって」
クスクスと笑う銀時に対して、高杉は少しだけ眉間のシワを深める。
「心外だなァ。好きじゃねェとは言わねェが……どちらかというと、それはテメェのほうだろ。随分と感じてくれてるもんなァ?」
「なっ!」
顔を赤くした銀時の上に、高杉がのししかるように体を被せた。
胸元に手をはわせてまさぐってやれば、たちまち銀時の唇から熱い吐息が漏れる。
「ちょっと……んっ」
「しなやかで、張りがあって……デケェから揉みごたえもある。なにより、こうしてやるとテメェが物欲し気な目で俺を見つめるのがすこぶるイイ。このすっかり尖っちまった胸の飾りを摘んでやるだけで、俺の腕の中で魚みてェ跳ねるもんだから、可愛がってやりたくて仕方ねェ。ーーだがな、銀時。せっかくだ、俺が一等好きなところを教えてやらァ」
そう言って高杉が手に取ったのは、銀時の腕だった。二の腕からスルスルと手を這わせて手首を掴むと、それを引き寄せて、手に待ったままの煙管をひと吸いする。
その煙を銀時の顔にふっーと吹きかけてから、高杉は意地悪く笑った。
「俺はな。テメェのこの腕が一等好きだ。しなやか筋肉に覆われた、白い腕。火照ればすぐに赤くなって、浮かび上がってくる傷跡もいい。刀を握り、振るう勇ましい侍の腕。仲間を抱き集めて、守るために傷だらけになった腕。肩から指先まで、その全部がイイ。こんないい腕はそうそうねェよ。おまけにこの美しい腕が、夜には俺を求めて縋りつき、こんな男の背中に爪先を立てくれるってんだから、これはもう男としては堪らねェよ」
するりと抜き取った煙管を盆に置き、そのまま指を絡めて布団に縫い付ける。そして腕に口付けて、くすぐるように肌を啄む。
「ああ、ほら……また傷が浮かんできやがった。でもな、銀時。テメェの傷がいちばん綺麗に浮かぶのは閨じゃねェ。刀を奮っているときだ。力を込めて、筋肉が強ばって、無数の傷と、太い血管を浮かばせたとき。その腕を鞭みたいにしならせながら打ち込んでくるとき。奇術師のように変幻自在に刀を操る指先……俺はその瞬間に、もう病みつきなんだよ」
「……変態」
「胸揉まれて喜ぶテメェも大概だろ?」
笑いながら、高杉は顔を寄せて銀時の口に吸い付く。
「ああ堪んねェな、火がついちまった」
その甘やかさに目を蕩けさせながら、高杉は甘く鳴く。
それは、獅子の猫なで声のようだった。
「なあ、銀時。俺をこんなにした責任取ってくれんだろ?もう一手合わせ願おうか?」
「閨で?刀で?」
「両方に決まってんだろ」
「またかよ」
銀時は呆れたように息を吐く。
しかし、つれない言動とは裏腹に、その目もまた甘く蕩けているのだから、二人はやはり似たもの同士なのだろう。