ランタンの灯の中で 橙色の光がいくつも空に浮かび上がっている。
「ジャミルーっ!」
一際眩いランタンをリドルが飛ばしてから少し後、学校の中庭を魔法の絨毯が旋回しながら下りてきた。
絨毯に乗っていたジャックとデュースは危なげなく下りると、それぞれの寮生のところへ合流していく。それから、カリムだけを乗せた絨毯がなめらかにジャミルの目の前まで滑ってきた。
「海の上から見ると、ランタンがすごく綺麗なんだ、一緒に見に行こう」
嬉しそうに片手を伸ばす。その姿はいつものカリムと全く違うものだった。髪は結っていてなお肩甲骨の辺りまで伸びているし、鮮やかなグリーンと爽やかな白の衣裳もいつもらしくない。
“姫”を目指す――という目的の通り、上品かつたおやかな雰囲気の装いだった。
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