6月30日「岩ちゃん、今日が何の日かわかる?」って、中学からの六年間、ずっとあいつは言い続けていた。確か、クラスの女子の間で流行っていて、それを知ったあいつ──及川は、俺との誕生日の真ん中を数えて、それからずっと六月三十日の朝は「今日が何の日かわかる?」って質問から始まった。
今年はそれが無くて、でも、六年間の積み重ねのせいで、朝起きてすぐに携帯の日付を見た俺は「今日は真ん中バースデーか」なんて柄にもなく呟いてしまった。こっちが朝の七時ということは、及川のいる地球の裏側は、夜の七時だ。向こうはまだ二十九日だけれど、ちょうど良い時間かもしれない。メッセージアプリを立ち上げて、ちょっと悩んでからメッセージをひとつ送る。
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