高諸⑦「高坂さん!」
尊奈門は駆け寄り、にこりと笑った。高坂はその姿を見て、いつものように優しく微笑む。
「尊、そんなに急いでどうした?」
「今日は昼休憩が長い日だから、一緒にお昼を食べたいなと思って……ダメですか?」
高坂は柔らかく目を細めた。
「ダメなわけがない。……行くか」
高坂にとって、尊奈門は昔から傍にいる存在だった。小さい頃から「陣にい」と言ってついてきた可愛い弟のような存在で、今も変わらず慕ってくれる。高坂も、尊奈門のことが大好きだった。ただ――尊奈門が自分を「好き」でいてくれる理由は、小さい頃からの憧れからだと思っていた。しかし、それはいつまで続くだろうか。尊奈門は、他の誰かに心を奪われることはないのか。高坂は、考えれば考えるほど苛立ちを覚えた。
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