『天から三物を与えられたあの人の誕生日』夏の陽射しが照りつける八月八日。今日は尽八くんの誕生日。私は朝からそわそわしていた。手に持った向日葵の花束は、彼の明るい笑顔を思わせる鮮やかな黄色。もう一つのプレゼント、私と尽八くんのイニシャルが入ったゴールドのブレスレットは、紙袋の中で小さく光っている。
「〇〇、来たか!」
インターホンを押すと、玄関から飛び出してきた尽八くんはいつもの調子で、でもどこか誕生日らしいウキウキした笑顔を見せる。
「来てくれるなんて、俺はとても嬉しいぞ!」
「誕生日だもん、来ないわけないじゃん、尽八くん!」
私は笑って、花束を差し出す。
「これ、プレゼント。似合うかなって思って。」
尽八くんは目を丸くして、花束を受け取る。
「おおっ、向日葵!とても派手でいいな!さすが〇〇、俺の好みわかってる!」彼は花を手にくるっと回って、まるで舞台の上でポーズを決めるように笑う。続けて紙袋を渡すと、中からブレスレットを取り出して、じっと見つめる。
「これ…〇〇が選んだのか?すげぇ、かっこいいな!」
さっそく左腕に着けてみて、キラリと光るブレスレットを満足げに見つめる。
「サンキュー、〇〇。ほんと、最高だよ。」 その言葉に、私の胸は温かくなる。尽八くんの笑顔は、向日葵よりも眩しくて、ちょっとドキドキしてしまう。
誕生日パーティーは尽八くんの家でこじんまりと進んだ。ケーキを食べて、二人で映画を見ながら笑い合って、時間があっという間に過ぎていく。気づけば窓の外は真っ暗だ。
「じゃ、そろそろ帰るね。尽八くん、誕生日おめでとう!」
私が鞄を持って立ち上がると、尽八くんが慌てて手を振る。
「おい、〇〇!こんな時間に帰るなんて、危ないぞ!今日は遅いから泊まっていけよ!」彼の声は少し強引だけど、目には優しさが滲んでいる。
「え、でも…いいの?」
「いいに決まってんだろ!俺の誕生日なんだから、〇〇には最後まで付き合ってもらうぞ!」 そんな言葉に甘えて、私は泊まることにした。
夜更かしして話していたせいか、尽八くんはいつも通り眠気に勝てず、布団でぐっすり寝てしまった。私は苦笑いしながら、布団に潜り込む。尽八くんの家は静かで、どこか安心する匂いがする。私もすぐに眠りに落ちた。
---朝方、薄暗い部屋に差し込む光で、俺はふと目を覚ました。隣を見ると、〇〇がスヤスヤと眠っている。いつもは自分が先に寝てしまって、〇〇の寝顔を見る機会なんてなかった。なのに今、こうやって穏やかに眠る〇〇がそこにいる。
「…〇〇、ほんと可愛いな。」
俺は小さく呟く。〇〇の髪が少し乱れて頬にかかっているのを見て、そっと指で払う。その仕草に、胸の奥がじんわりと温かくなる。〇〇はまだ夢の中。俺はそっと布団をかけ直し、自分の心臓が少し速く鳴るのを感じながら、静かに微笑んだ。
「誕生日、最高だったぜ。〇〇、ありがとな。」 と言い、額にキスをする。
朝の光が二人を優しく包む。東堂の新しい一年は、こうやって〇〇と共に始まるのである。