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    機関獣

    さにちょもとさにいち置き場

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    機関獣

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    黒識さにちょも。人前憚らず主に抱きつくようになった理由。過去の欠損について少し記載あり

    #さにちょも

    執着 識が本陣にいると、その日は連隊戦で山鳥毛がドロップする。
     気付いたのは偶然だった。
     ドロップ率が低い、のは嘘じゃないのかと首を傾げ、調べてみた。
     審神者の集う掲示板群を見てみると、5振ドロップしている段階でおかしいらしいので書き込みはしなかった。
     この時には山鳥毛は打算契約を終えていたが、識はドロップした山鳥毛を顕現も連結もせずに保管していた。
     当時の基準の限界まであと一振り、まで集めたがそれでもそのままだった。
     入手が厳しい刀であり、本契約したとはいえ不安定な訳あり山鳥毛に連結して無駄になるのを警戒したともいえる。
     
     そんな識だが日光の鍛刀は失敗した。
     黒獣もダメだった。
     恥を偲んでバニーで鍛刀しても失敗した。
     おまえの左腕と組ませてやれなくてすまない。
     識は詫びたが、山鳥毛は言えなかった。
     日光が来たら、その分識との時間が減るのは嫌だ、と思ったなどと。

     識がいると一文字則宗がドロップする。
     出ないので有名なのに、来る。
     長期滞在になるので6回しか試さなかったのに4振。
     じゃあ識がいなければ?と次の時に試してみた。
     笑うほど来ない。
     9回後に、鍵はポケットマネーで出すから一度試してみてくれないかと多忙で本丸を留守にしていた識に連絡した則宗。
     結果は、きた。
     忙しくてその1度しか織は立ち会わなかったが。
     識不在で鍵、も試してみたが失敗だった。
     かなりの高確率、としか言いようがない。
     契約した則宗が言うには、
    「僕と山鳥毛と相性が良いんだよ、識は」
     体格こそ違えど則宗と識はよく似ている
     だが山鳥毛は?
    「そこはまぁ、わかるだろう」
     わかっているが山鳥毛は口にしたくない。
     識の霊力は、一文字の頭と相性がいい。
     現役であっても、隠居であっても。
     打算契約を終えても、識の元に居たいと望みその後紆余曲折あって恋仲となった。
     霊力に惹かれた他所の同位体が識に目を留める度に狂いそうになる。
     未顕現の刀の状態でも、何か嫉妬してしまう。
     そんな山鳥毛に識が爆弾を落とした。
    「ああ、だから他所の山鳥毛が口説きにくるわけか」
     卓を叩いて身を乗り出した山鳥毛の顎を掴んで、抑止しながら識が言う。
    「たいていはお前が同伴する前の話だ。
     まぁお前がいても口説きに来る個体もいたが」
     刺青が赤くなり瞳孔が開ききった山鳥毛の喉をくすぐり宥める。
    「お前は嫌々同伴していたし、距離を置いていたからな。
     そちらの私とは折り合いが悪いようだが、代わりに私は如何かな、ときた。
     他本丸と揉める気はない、と返すと政府所属だから問題ないと。
     遭遇した政府所属の山鳥毛の8割がこんなのだったな」
     嫌々、の言葉に則宗が片眉をあげて山鳥毛を見る。
     打算で契約していた時は嫌々同伴していたし、護衛で初期刀にも関わらず目も合わさず口もきかず距離を置いてついていたのは事実だったので目を伏せるしかない山鳥毛。
     思い返してみれば、政府所属と思しき同位体に話しかけられている事が多かった。
    「初対面のフリをして何度も口説いてくる山鳥毛は討伐部隊の隊長だったかな。
     同位体でも別個体だからな、一度会った個体は忘れないし間違えない」
    「そう、だな」
     事故で過去に遡行した山鳥毛を、子供の織は忘れなかった。
     僕の騎士になってくれないか、との誘いに小鳥がいる、と断った。
     黒獣と契約する前だったので霊力が異なっていて、あれが子供の頃の主だと気付いたのは戻ってから。
     識のことを小鳥と呼んだ事はなかった。
     打算契約中は審神者、本契約してからも主。
     小鳥、といまさら気恥ずかしくて呼べなかった。
     識は、あの時言われた事を忘れなかった。
     成長した識が山鳥毛に再会した時。
     四肢と左目を奪われ、呪符で封じてなお呪詛を撒き散らす肉塊のような山鳥毛を買い取り、救った。
     頭が冷えて落ち着いて、実装前のテスト個体で顕現してから1年も経ってない、と言った時の識の表情の意味を知った。
     識は「小鳥」に出会う迄の代理で中継で仮初の存在、と自己認識したのだ。
     気に入った相手が居れば、いつでも出ていくといい、と本契約してからも言われていた理由を理解した。
     主以外は考えられない、と何度伝えてもその時が来たら気にするな、と。
     あの時言った「小鳥」が識の事だと話して、そこから進んで恋仲となった。
    「後にも先にも、僕の山鳥毛はお前だけだ」
     顎からを移動した指が、目元の刺青をなぞるのに目を細めもっとと擦り寄る。
    「おうい、僕もいるんだぞ」
    「………………」
    「じじいは気がきくからなぁ、退散するとしよう」

     萬屋や演練会場で問題は起こすな、は理解している。
     理解はしているが、他の同位体が主に惹かれるのは我慢ならない。
     だから、わかりやすく主張することにした。
     この男は私のだ、と。
     手を繋いだり、腕を組んだり、コアラのようにしがみついたり。
     効果はばつぐんだった。
     みっともないと文句を言う同位体はいるが、山鳥毛の露骨な執着に政府の山鳥毛は接触を諦めた。

     識は識で、好きにさせている。
     神隠しされてもおかしくないですよ、と言われても気にしない。
     黒獣と契約があるので、山鳥毛に神隠しされたとしても出入り自由の別荘のようなもの。
     甘やかしすぎ、と言われてもしがみつける腕があるからするだろう、と。
     
     どっちも結局、独占欲が強い。
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    ☺✨💓💞💞💞👏👏👏💖💖
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    山鳥毛のピアスに目が行く審神者
    最近どうも気になることがある。気になることは突き詰めておきたい性分故か、見入ってしまっていた。
    「どうした、小鳥」
     一文字一家の長であるというこの刀は、顕現したばかりだが近侍としての能力全般に長けており気づけば持ち回りだった近侍の任が固定になった。
     一日の大半を一緒に過ごすようになって、つい目を引かれてしまうようになったのはいつからだったか。特に隠すことでもないので、問いかけに応えることにした。
    「ピアスが気になって」
    「この巣には装飾品を身につけているものは少なくないと思うが」
     言われてみれば確かにと気づく。80振りを越えた本丸内では趣向を凝らした戦装束をまとって顕現される。その中には当然のように現代の装飾品を身につけている刀もいて、大分親しみやすい形でいるのだなと妙に感心した記憶がある。たまにやれ片方落としただの金具が壊れただのというちょっとした騒動が起こることがあるのだが、それはまあおいておく。
     さて、ではなぜ山鳥毛にかぎってやたらと気になるのかと首を傾げていると、ずいと身を乗り出し耳元でささやかれた。
    「小鳥は私のことが気になっているのかな?」
    「あー……?」
    ちょっと 1374

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    「でもまあ、らしくないこともしてみるもんだな」
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    「…………わすれてくれ」
    差し 588

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    MOURNINGさにちょも
    寝起きの身支度を小鳥に邪魔されるちょもさん

    #さにちょもいっせーのせい
    こちらのタグに参加させていただいたときのもの
    まだ空が白んでまもない頃、山鳥毛はいつもひとり起き出している。それがただ枕を並べて寝るだけでも、体温を混ぜあって肌を触れ合わせて眠る日も変わらず審神者より先に布団を抜けだす。
    今日もまたごそりと動き出した気配に審神者は目を覚ました。

    「こんな朝から、なにしてんだ……」
    「……起こしてしまったか、まだ日が昇るまで時間がある。もう少し眠るといい」

    そういって山鳥毛が審神者の短い髪を撫でるとむずがるように顔をくしゃくしゃにする。やはりまだ眠いのだろうと手を離そうとするとそれを予見していたかのように手が捕まえられた。

    「おまえも、ねるんだよ」
    「だが、身支度が」

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    彼が巣と呼ぶ本丸を統括する審神者たる小鳥の隣に並ぶならば、いついかなる時も気の抜けた身なりではいられない。それが前夜どれだけ小鳥の寵愛を受けようとも。
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    「俺がおまえと寝たいの。だから大人しく来い」
    「……小鳥 751

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    PASTさにちょも

    審神者の疲労具合を察知して膝枕してくれるちょもさん
    飄々としてい人を食ったような言動をする。この本丸の審神者は言ってしまえば善人とは言えない性格だった。
    「小鳥、少しいいか」
    「なに」
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    「うお!?」
     抱き寄せ、畳の上に投げ出した太股の上に審神者の頭をのせる。ポカリと口を開けて間抜け面をさらす様に珍しさを感じ、少しの優越感に浸る。
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     そうだろうなと知らずうちにため息が出た。
     山鳥毛がこの本丸にやってくるまで近侍は持ち回りでこなし、新入りが来れば教育期間として一定期間近侍を務める。だからこそほとんどのものが端末の取り扱いなどに不自由はしていないのだが、そのかわりに審神者の体調の変化に気づけるものは少ない。
    「長く見ていれば小鳥の疲労具合なども見抜けるようにはなるさ」 
     サングラスを外しささやくと、観念したように長く息を吐き出した審神者がぐりぐりと後頭部を太股に押しつける。こそばゆい思いをしながらも動かずに観察すると、審神者の眉間に皺が寄っている。
    「や 1357

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    PASTさにちょも
    リクエスト企画でかいたもの
    霊力のあれやそれやで獣化してしまったちょもさんが部屋を抜け出してたのでそれを迎えに行く主
    白銀に包まれて


    共寝したはずの山鳥毛がいない。
    審神者は身体を起こして寝ぼけた頭を掻く。シーツはまだ暖かい。
    いつもなら山鳥毛が先に目を覚まし、なにが面白いのか寝顔を見つめる赤い瞳と目が合うはずなのにそれがない。
    「どこいったんだ……?」
    おはよう小鳥、とたおやかな手で撫でられるような声で心穏やかに目覚めることもなければ、背中の引っ掻き傷を見て口元を大きな手で覆って赤面する山鳥毛を見られないのも味気ない。
    「迎えに行くか」
    寝起きのまま部屋を後にする。向かう先は恋刀の身内の部屋だ。
    「おはよう南泉。山鳥毛はいるな」
    「あ、主……」
    自身の部屋の前で障子を背に正座をしている南泉がいた。寝起きなのか寝癖がついたまま、困惑といった表情で審神者を見上げでいた。
    「今は部屋に通せない、にゃ」
    「主たる俺の命でもか」
    うぐっと言葉を詰まらせる南泉にはぁとため息をついて後頭部を掻く。
    「俺が勝手に入るなら問題ないな」
    「え、あっちょ、主!」
    横をすり抜けてすぱんと障子を開け放つと部屋には白銀の翼が蹲っていた。
    「山鳥毛、迎えにきたぞ」
    「……小鳥」
    のそりと翼から顔を覗かせた山鳥毛は髪型を整えて 2059

    Norskskogkatta

    MOURNINGさにちょも
    ちょもさんが女体化したけど動じない主と前例があると知ってちょっと勘ぐるちょもさん
    滅茶苦茶短い
    「おお、美人じゃん」
    「呑気だな、君は……」

     ある日、目覚めたら女の形になっていた。

    「まぁ、初めてじゃないしな。これまでも何振りか女になってるし、毎回ちゃんと戻ってるし」
    「ほう」

     気にすんな、といつものように書類に視線を落とした主に、地面を震わせるような声が出た。身体が変化して、それが戻ったことを実際に確認したのだろうかと考えが巡ってしまったのだ。

    「変な勘ぐりすんなよ」
    「変とは?」
    「いくら男所帯だからって女になった奴に手出したりなんかしてねーよ。だから殺気出して睨んでくんな」

     そこまで言われてしまえば渋々でも引き下がるしかない。以前初期刀からも山鳥毛が来るまでどの刀とも懇ろな関係になってはいないと聞いている。
     それにしても、やけにあっさりしていて面白くない。主が言ったように、人の美醜には詳しくはないがそこそこな見目だと思ったのだ。

    「あぁでも今回は別な」
    「何が別なんだ」
    「今晩はお前に手を出すってこと。隅々まで可愛がらせてくれよ」

     折角だからなと頬杖をつきながらにやりとこちらを見る主に、できたばかりの腹の奥が疼いた。たった一言で舞い上がってしまったこ 530

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    主刀でうさぎのぬいぐるみに嫉妬する刀
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    ちょっとしたいたずら心でうさぎにキスするフリをすると一気に腹を立てた大倶利伽羅にむしりとられてしまった。
    「あんたは!」
    激昂してなにかを言いかけた大倶利伽羅はしかしそれ以上続けることはなく、押し黙ってしまう。
    それからじわ、と金色が滲んできて、嗚呼やっぱりと笑ってしまう。
    「なにがおかしい……いや、おかしいんだろうな、刀があんたが愛でようとしている物に突っかかるのは」
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    手を引っ張って引き倒しても大倶利伽羅はまだうさぎを握りしめている。
    ゆらゆら揺れながら細く睨みつけてくる金色がたまらない。どれだけ俺のことが好きなんだと衝動のまま覆いかぶさって唇を押し付けても引きむすんだまま頑なだ。畳に押し付けた手でうさぎを掴んだままの大倶利伽羅の手首を引っ掻く。
    「ぅんっ! ん、んっ、ふ、ぅ…っ」
    小さく跳ねて力の抜けたところにうさぎと大倶利伽羅の手のひらの間に滑り込ませて指を絡めて握りしめる。
    それでもまだ唇は閉じたままだ 639

    Norskskogkatta

    PASTさに(→)←ちょも
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     さて、ではなぜ山鳥毛にかぎってやたらと気になるのかと首を傾げていると、ずいと身を乗り出し耳元でささやかれた。
    「小鳥は私のことが気になっているのかな?」
    「あー……?」
    ちょっと 1374