「おしゃれなデート?あ、それならナイトプールの割引券あるから使う?」
折角だし、たまにおしゃれなデートをしてみようかと思ったのが始まり。普通に二人で近所を散歩したり、ウインドウショッピングという名の散歩をしたりでも全然満ち足りている。
そもそも十亀は、桜と一緒に入れるだけで楽しいのだから。
それでも、たまには今どき?らしくおしゃれなデートというものを桜も心の底では望んでいるのかもしれないと思って、獅子頭連でおしゃれといえば鹿沼だと思った十亀は彼に相談したのだった。
「ナイトプール?」
「そう、そのままの意味で夜にやってるプールだよ。主に映え写真撮るために行く人が多い……かな。昼間とは違ってライトアップとかしてておしゃれ全振りなんだよ」
こんなかんじとスマホで見せてもらった画像は、たしかにキラキラした人がいっぱいでまぶしくて、相談しておきながらも少し逃げたくなってしまった。
「おしゃれではあるでしょ?映えとか気にしなそうな二人だけど、たまにはこういう環境でのデートも一味違って楽しいんじゃない?」
「う、うーん。それはそう……だけどぉ……オレら浮かない?」
「結構みんな自分たちのことしか気にしてないから大丈夫だと思うよ。一つ懸念点があるとすれば……」
「すれば……?」
「ナンパされそうだよね、二人共。うまいことスルースキル身に付けないとめんどくさいことになりそう」
「ナイトプールって怖いんだねぇ……?」
「怖くないって」