おり向かう途中で大人数に絡まれて劣勢だった🦁モブくんを助けた🌸くん。
お礼したいと言われラムネ2本買ってもらう🌸くん。
二人でぎこちないけどポツポツ話す🌸くんと🦁モブ(🐢かっこいい話聞かされる🌸)
オリの敷地内に入ると視線を感じる。風鈴と獅子頭連はもうすでに友好関係ではあるし、副頭取である十亀の友達でもある(有馬等の一部には恋人であると公言していた)桜はよくここへと遊びに来ていた。故に殺気や敵対心とかの負の感情ではなく、来たのかー。や、喧嘩してるとこみてぇな。などの好奇心による視線であったが、そんな視線ももはや慣れたものである。なんなら気軽に声をかけてくる名も知らぬ顔見知りもいる。
今日は遠目に見られるだけであったので、適当なやつに十亀の場所聞くか……と周囲を見渡そうとした瞬間、上から「あれぇ?桜と〇〇じゃん」と声が聞こえた。
よく聞く声とここに来るようになってから何度か体験したことのあるシチュエーションに、桜は屋上に視線を向ける。
そこには思った通り、探そうとしていた獅子頭連副頭取である十亀が柵から体を乗り出し、にこにこと桜に向けて手を振っていた。
それを見て適当に手を振り返す桜と、ペコリとお辞儀するもぶ。それに満足したのか、口元に手を添えると彼は普段ではしないような大きな声を出して遠くからでも聞こえるように、桜に話しかける。
「屋上にいるからおいでぇ!道順おぼえてるぅ?!」
「忘れたからコイツに案内してもらうわ!」
「わかったー!〇〇、桜のことよろしくねぇ!」
「は!はい!任せてください!」
三人して声を張り上げて会話をする。話が終わると、十亀は乗り出していたのをやめたのか、すっと姿を消して見えなくなった。
「ほら、案内してくれよ」と桜は横にいる〇〇に声を掛け、彼を連れて屋上へと歩いていくのだった。
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ぎぃ…と少し錆びついた、動きの悪い扉を開ける。
足音で気付いていたのか柵にもたれかかりながら待っていたであろう十亀が、嬉しそうな顔をして入口への顔を向けで待っていた。
「いらっしゃい桜ぁ。〇〇も案内ありがとうね。二人って仲良かったの?」
見慣れないコンビだねぇ。と、十亀の元まで歩いてくる桜と〇〇に彼は声を掛ける。
「や、途中で絡まれてるとこ助けただけ」
「本当に助かりました。あんなに大勢いたのに、軽々と倒していく桜さん、かっこよかったです……!」
「え?二人共怪我してない?大丈夫?どっかのチーム?」
絡まれていたという情報に〇〇の心配をする十亀。ざっと全身を眺めるが怪我という怪我はしていなかったので、殴り合いになる前に桜が助けたのだろう。チームに絡まれていたとなると、獅子頭連とまたぶつかる可能性が高い。矢継ぎ早にきく十亀に落ち着け。と桜は宥めながら話を続ける。
「いや、多分イキってたどっかのヤンキーだろ。なんも印付けてなかったし」
絡んでいた相手を思い出しながらそう桜が言うと、〇〇も「チーム名も何も言ってなかったですし、そもそもこのジャケットにもピンときてなかったので……」と付け足す。
「そうなんだ。ちょっとチーム内で注意促しとくね。桜、うちの子助けてくれてありがとうね」
「おう」
「あ、あの……オレ、もう戻りますね。桜さん本当にありがとうございました!十亀さんも失礼します」
「おう、気ぃつけろよ」
「あ、なら一応ちょーじとか鰐島に絡まれたこと伝えといてくれる?」
「はい!」
「あ、あと」
「?」
「桜、かっけーでしょ」
「はぁ!?」
「はい!めちゃくちゃかっこよかったです!」
「はぁ!?おい!」
「んふふ、良いお返事。じゃあまたあとでねぇ」
「はい!失礼しました!あと十亀さん」
「ん?」
「心配しなくても、道中ずっと十亀さんの話で盛り上がってましたよ!」
「え?」
「おい!!!!」
「今度こそ失礼しますね」
「うーん。バレてたしとんでもない返しされちゃったぁ。てか桜、どういうことぉ?」
「あ?」
「なんか、その……オレの話してたって」
「アイツとの共通点がお前しかなかったから話してただけで、べ、べべべつに特に意味はねぇからな!!」
「ふーん?まぁそういうことにしといてあげる」
「はぁ!?なんだよそれ!!」
「んふふふ、まぁまぁせっかく来たんだし何するぅ?」
「んだよくそ……そういや、ほらよ」
「ん?」
「ラムネ」
「買ってきてくれたのぉ?」
「さっきのやつに奢ってもらった」
「そうなの?あとでお礼言っておこう」
「もういいだろアイツのことは」
「ふふ、はいはい。そうだ、飲んだらどっか行く?ここでのんびりする?」
「あー……飲みながら決めようぜ」