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    あきしま

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    あきしま

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    見回りたのむ🌸と任される十🐢。

    見回りなんとなく桜に会いたくなって。会えたらいいな、会えなかったらさぼてんのパンでも買って帰ろう。そう思いながら十亀はまこち街へと向かっていた。

     街に着いて、ふらふらと歩いていると顔見知りになったお店の人たちに話しかけらる。
     「今日は桜くんと一緒じゃないんだね」「桜くん今日見回りしてたよ!」と桜情報を何故か報告され、気が付いたらお店の人から渡されていたコロッケをもぐもぐと食べながら歩く。

     桜とよく一緒にいることを覚えていてくれるからだろう。
     よその人間だというのに、しかも獅子頭連のスカジャンを着ていてもビビられない。なんなら気軽に話しかけてくれる街の人達にぎこちなくも挨拶をしながら、十亀は会えるかどうかを運に任せて商店街を歩いていた。
     桜と会ってこの街で遊ぶうちに、自分達獅子頭連のシマである飲み屋街……平ヶ原街とはまた違う雰囲気を十亀は気に入った。      
     そして行き先を決めていない散歩の時にふらふらとこちら側にもくることがここ最近増えていた。約束していない時も桜に会えることがあるし、ご飯も美味しい。一石二鳥、いやそれ以上だったのもあるのだが。
     とにかく、風鈴と交流を持ちさらに桜と会うようになってから十亀はこちらの街も大好きになっていたのだった。


    ❀・・・・・・・❀


    「そんなうまいこと出会えないかぁ」

     歩いている途中で買った駄菓子を食べながら、さぼてんへの道を歩いていた。やっぱ連絡してからのが……いやあえてこういうサプライズみたいなのも驚く桜の顔が見れて楽しい……そう思いながらキョロキョロとするが見当たらない。
     しかし、今日はダメかぁと諦めようと思って曲がった道の先に、見知った白黒頭といつも一緒にいる二人の姿が見えた。桜は電話中のようで、二人は少し離れたところで待っていた。

     気になる、でも邪魔しちゃいけないと思いゆっくりと近付いていく十亀の気配に気付いたのか、蘇枋と目が合う。ペコリと会釈をされこちらも返すと蘇枋が手招きをしてくれたので、そのまま彼らに近寄っていく。


    「こんにちは十亀さん」
    「え?あ、こんにちは!十亀さんは散歩ですか?」
    「こんにちは。まぁそんなとこ。天気も良かったしね。……で、何かあったの?」

     電話している桜の迷惑にならないように小声で挨拶をしてくれた二人にこちらも小声で返す。そのままこっそり蘇枋と楡井にどういう状態なのか聞くと、どうやらトラブルがあったらしく桜が呼ばれているらしい。


    「あーもう今から行くから!待ってろ!」

     そう声を荒げながら通話を切った桜がゆるりとこちらを向いた。二人しかいないと思っていたのだろう。さっきまでいなかった十亀がいることに少し驚いたような顔をしたが、すぐに驚きを隠して頭をがしがしと掻きながら三人の元へ寄ってくる。

    「よぉ」
    「こんにちはぁ。桜、なんかあったの?」

     先程のことを思い出したのかぎゅっと眉にシワが寄る。すぐに表情にでる桜なので、どうにもめんどくさいことが起きていることだけはわかった。

    「あー……なんかトラブってどうしても来てほしいとかなんとか……。わりぃ十亀、オレの代わりにコイツと見回り頼んでもいいか?」


    「え?うん。いいよ。気をつけてねぇ?」

     急に桜に頼み事をされ十亀はびっくりしたものの、桜の頼みならと快く引き受ける。


    「助かる。なるべく早く戻ってくるから。蘇枋と楡井も頼むな」「気をつけてくださいね桜さん」
    「怪我はしないようにね」
    「おう」

     口では文句を言いながらも梅宮を待たせないようにか、結構なスピードで学校へと走り去っていくなんだかんだ優しい桜の背中を三人は見送った。
     そんな桜の姿も見えなくなってきたところで、十亀が二人のほうを向きながら「それじゃあ桜の代わりができるかわかんないけど、一緒に見回りいこうか。案内してくれる?」と道案内を頼む。
     成り行きとはいえ珍しい組み合わせでの見回りになった。
     蘇枋も楡井も、桜と十亀が一緒にいる時だったり、風鈴と獅子頭連の交流で喋っている。桜を介してが多いとはいえ彼との付き合いは皆無ではなく、知らない仲ではない。     
     二人も「ハイ」と返事をして彼を連れて三人で歩いていく。

     たわいない話をしながら、見回りルートを10分ほど歩いたとき。ふと十亀が「んん?」と首を傾げるのを見て、楡井はなにかわからないことでもあったのかと「どうしたんですか?」と訪ねた。蘇枋はにこにこと、事の成り行きを見守っている。

    「ん、いや……なんでオレ見回り頼まれたんだろ……?」
    「いまですか」

     わかっていて引き受けたんだと思っていた楡井は、おもわずツッコミをいれてしまう。けれど、ふと今までの短い付き合いの中でも十亀さんて結構ぽやぽやというか……マイペースだもんなと楡井は勝手に納得する。そんな彼らを見てふふっと蘇枋が笑い、面白いという感情が滲み出ている口調で続けて話す。

    「でも桜くんも、すごい自然に頼んでたよね」
    「蘇枋さん気付いててそのままにしてたんですか」
    「えー?そんなことないよ」
    「いや、まぁオレは別にいいんだけどぉ。桜、あとでめちゃくちゃ照れるんじゃない?」

     蘇枋もすぐにそのことには気付いたのだが、真剣な二人となんか面白そうという気持ちで笑いを堪えていた。そしてにこにこといつもの笑みで特に何も口を出すことなく、頼み事をする桜と引き受ける十亀を見守っていたのだ。真面目で面白い二人だな……と。
     たまに愉快犯をする蘇枋ならまぁやりかねないかと思う楡井は一応聞いたもののまぁ蘇枋さんだしなで終わる。クラスメイト、友達、副級長同士、そして師弟。ここの付き合いも長く慣れたものであった。

    「桜くん、戻ってきたらどんな反応してるかな」
    「そもそも桜さん、気付きますかね?」
    「おもしろそうだよねぇ。桜が戻ってくるまで一緒にいてもいい?」
    「勿論。頼まれたんですから、桜くんと交代までが見回りですよ十亀さん」
    「なんですかそれ……あ!折角なので色々質問してもいいですか」
    「うーん楡井はいつも元気だねぇ。オレで答えられる事ならいいよぉ」
    「ありがとうございます!!!えっと、では……」



     その後、戻ってきた桜の第一声は「なんでオレ十亀にたのんだんだ?お前も気付けよ!」と顔を真っ赤にしての吠えだった。
    そんな桜に三人は顔を見合わせて笑い、さらに彼を怒らせる。
    戻ってくるなりずっとぷんすこと怒っている桜にだったが、十亀の「まぁまぁ。桜も頑張ってきたことだしポトスでも行く?桜何食べる?」の一声でちょうどお腹が減っていた彼の怒りは食への意識にすり替わる。
     そんな、わかりやすく切り替えた桜がどうにもかわいらしくてバレないように三人はまた楽しそうに笑い、みんなでポトスへと向かったのだった。
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