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    猗窩煉ワンドロ「アイスクリーム」「焦らす」をお借りして。わかりにくいけどキ学です。

    #猗窩煉

    食いちぎる前に その棒状のアイスは桃味だとかで、薄いピンク色をしていた。杏寿郎は、それをゆっくり袋から開ける。そのとき長めの髪が邪魔だったので、右手で横の髪を耳にかけた。
     夏の暑さで少し、溶け出しているそれは、重力に従って、垂れた汁をアイスの下から舐め上げる。舌は、わざといつもより出して見せた。
     つつ、と先端で撫でるように舐めていく。桃の味は正直あんまりしなくて、いかにも人工甘味料の味がした。でもとりあえず、冷たいから美味しい。あとは大きく口をあけて、ぱくっ、と勢いよくかぶりついてみた。先っぽから舌を使って、食べやすいように溶かしていく。じゅる、と音がした。唾液が伝いそうになったから、一度口から離して、口元を拭った。その際に、目の前にいるだいぶ歳下の恋人の顔を見る。
     明らかに熱っぽい視線でこちらを見ていた。口をぽかん、と開けて、それこそ彼の持ってる棒アイスから、ぶどう味の紫色が溶け出して垂れている。あれも、大して果実の味はしないのだろう。安っぽい、昔ながらのアイスなんてそんなものだ。

    「なあ、君のも味見していいか?」
    「へ?」

     呆けた顔の恋人の返事を聞く前に、彼の手をとり、滴る紫色の汁をそっと舐めてみた。味はやはり、想像通りだが、こちらの方がよりぶどうらしくはある。

    「…うん。こっちにすれば良かったかな」

     言ってから、また桃味の自分のアイスをぱくついた。また溶けて滴ってきた汁は、アイスを横にしてきれいに舌を出して舐めとった。

    「杏寿郎……」
    「ん?」

     何か言いたそうな顔の恋人を見ながら、アイスの半分に齧り付く。
     目は明らかに、なんというか、欲求に素直なくせに、口にはまだ出せないようだ。可愛いらしいが、杏寿郎としては焦ったい。
     ダメ押しに、と杏寿郎はアイスをくわえたまま、上目遣いで熱っぽく年下の恋人を見つめた。彼が生唾飲み込んで、行動に移すまで、あと何分だろうか。

     焦ったいにもほどがある。

     早くしてくれないと、うっすら桃色したこの棒アイスを噛みちぎってしまいそうだった。
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    ほしいも

    DONE卒業文集と猗窩煉
    ■現代パロディ

    学校の先生の煉獄くんと恋人の猗窩座くんです。
    0.7mmの太めのゲルインキボールペンが、丁寧に、慎重に、真四角に切り取られた名刺大の画用紙の上を走る。少しだけ右上がりの癖はあるが、とめもはらいも大胆で強弱の付きにくいボールペンでも不思議と筆書のような趣が見える。教本に載っているようなバランスの良い筆致だ。
    「何書いてるんだ。」
    「そくてんきょし。」
     三文字目の三画目、横一文字を引っ張ってペン先を離した隙に返事が届く。「則天去私」書こうとしている熟語の読みは分かった。俺が聞きたかったのは、なぜ恋人が居住まいを正して、息を止める程真剣に、良く分からない四文字熟語を小さな紙に書いているのか?という事だ。
     煉獄杏寿郎の書く文字は美しい。母親が書道の師範をしている影響は勿論あるのだろうけれど、それ以上に彼の心根の素直さや、快活で迷いのない性格が滲んでいるような字だと思う。筆圧が高く、ノートの端が丸まってくるのが悩みだとぼやいていたが、その濃い筆圧すら愛おしい。今だってボールペンを握る手に緊張も合間って必要以上に力がこもっている、桜色の爪の先がほんのり白くなっていて、一筆にどれだけ集中しているかが伝わってくる。

    「集中したら腹が減った! 1683