スラウォルを後押しする621・破 あれからウォルターとクソジジイ、どうなったと思う?
お互い頑固っぽいし、あーし的には一発ガチンコあっかなって思ってたんだよね。
二人ともいい歳だし殴り合いにはならなくてもケンカにはなんだろうなーって。
でもま、そうやって腹ンなかぶちまけないと、すっきりしないっしょ。
で、あいつら予想外にドッタンバッタンやってくれたわけ。
あーしは致命的な量?のコーラルを浴びてマジでだるぅってなってんのに、もうめっちゃうるさいからいい加減クレーム入れようと思ってウォルターの部屋に行ったの。
そしたら、マジウケる。いやもう笑うしかないっしょ、あれは。
だってめっちゃ濃厚なディープキスしてるし。
なんでやねんって、マジ光の速さでツッコミいれるとこだったけど、あーしは空気読めるし?
じゃあ後は年寄りお二人さんでどうぞごゆっくり~。つかヤってる最中ぽっくり死ぬなよ~とか思いながら部屋に戻ってさ、あ? コーラル? だるいのはなんかジジイ二人のキスシーン見たらどうでもよくなったっつうか、なんか逆に10000倍ぐらい疲れてもうさっさと寝たいってなったっていうか。
で、なんやかんやモトサヤに戻ったっぽいんだよね。
次の日ウォルターは珍しくお昼過ぎにめっちゃダルそうな感じで起きてきて、あーしに「体はどうだ?」とか聞いてくんの。
思わずいやそれウォルターの方だしって言ったら、なんかめっちゃ耳赤くなってマジ可愛かった。顔赤らめるイケオジとか超貴重じゃん。
で、そういえばクソジジイってどんなツラしてたんだっけ?
拝んでやんよって感じで格納庫行ったら、白髪のくせにめっちゃストレートの綺麗な長髪のヤツがいんの。
後ろ姿だけ見たら美女じゃん、ウケるとか思いながら声かけてさ、振り返ったらマジビビったよね。
激渋なマッツ・ミケルセンいんじゃん! みたいな!
いやマジそんなツラしてんならさっさと見せろし~!
あーしのパージパンチのせいで歪んでたらあーし自分の事一生許せねぇから!
とか思ったんだけど、やっぱ口開くとあのクソジジイなわけ。マジうざい。
うざいからしゃべんなっつったらよけいしゃべんだよね、そういうタイプなのもマジでうざいし、あーしは別にウォルターの事エロい目で見てねえからマウントとんじゃねえよ、次元が違うんだよって言ったらピリついてやんの。
つか元カレとかマジだったんじゃんと思いつつ、恋バナってめっちゃ久しぶりじゃね?ってテンション上がって、なんやかんやマッツに色々聞いたわけ。
マッツじゃないや、なんだっけ? もういいやマッツで。
そしたらさ、マッツとウォルターめっちゃ歳の差あんの! 親子じゃん! って言ったら笑ってたけどさ、マッツも元気だよね~。強化人間だからまあ多少はわかんだけど、元気すぎんじゃん。
まあそんなこんなで、あーしにはよくわかんないけど、ヨリ戻してモトサヤになったマッツはあーしと一緒にウォルターの猟犬やるっぽくて、あれ以来ずっと基地にいる。
最近じゃああーしがウォルターと仲良くしてるのを見ると、なんかニヤニヤしながら遠くで見てんだよね。
マジできしょいからって言ったら、母と子がどうのこうのとか言ってたからボケてんのかもしんない。
あ、お笑いの方じゃなくて認知症の方ね。
あーしとウォルターは確かに親子ぐらいの差があっから親子はわからなくもないけど、あんなイケオジつかまえて母とかボケてるか狂ってるかしかないでしょ、ウケる。
で、あーしがマッツと恋バナしてんのを知ってんのか、ウォルターもそういう話振ってくるようになったわけ。
ま、ウォルターは自分のことは全然話さないから、G5とかV.Ⅳとか、あーしが一緒に戦った奴らのことをどうだ?って聞いてくる感じだけど。
「621、少しいいか」
あ、この感じまた恋バナっぽい。
あれかな、あーしがG5よりはG4の方が好みかもとか言ったら「お前にも好き嫌いが出てきたか」ってなんか嬉しそうに笑ってたし、死にかけてたあーしのそういう人間らしいところを見るのが好きなのかも。
最近のウォルターはマッツに振り回されて余計忙しそうっつか、たまにかわいそうな時もあるし(主に夜とか。クソジジイは遅漏なのか知んないけど、めっちゃ長いんだよねアレが)ここはひとつ、あーしが癒しと喜びをあげちゃおっかな、みたいな?
「相談があるんだが、その……最近スッラが何か言っていなかったか?」
あ、そうそう。スッラだったわ。マッツの名前。まいっか。
マッツは口を開けばウォルターの話かACの話か過去の戦いの話かマウント取りぐらいだけど、今日は珍しくACの調整とアセンについてちょっと話したぐらいでなんにもない。
あ、でも、ハンドラァ・ウォルタァは何か言っていなかったか?って聞いてたっけな。
しかもめっちゃニヤつきながら。
それを伝えるとウォルターは軽く眉根を寄せながらちょっと顔を逸らして「そうか……」ってなんか切なそうなため息をついた。
え? あんたらまたケンカした感じ?
「いや、違う。そういうことはない。むしろ、その……」
はっきり言えし。
「逆だ。ないんだ、接触が」
は? 会話してないってコト?
「いや、会話はしている。だが仕事の話だけで、それ以降は……」
あー、プライベートになるといなくなっちゃう的な?
「そうなんだ。そのおかげで、ここのところ、もう三日も」
は?
「まさかこんなことになるとは、私も思っていなかったんだが、どうにも、疼いて……」
はぁ~……。
思わずクソデカため息が出た。
イケオジが恥ずかしそうに顔赤らめながらなんか言うのはめっちゃ可愛くていいけど、惚気聞かされんのは普通にムカつく。
「ポルジョのプライマー」
「? わ、わかった。何かはわからんが、お前が望むなら用意しよう」
おっけ、じゃ話続けてヨシ。
つかあーしわかっちゃったんだよね。
あのクソジジイ、わざとでしょ。
ウォルターから誘ってくんの待ってるだけでしょ。マジでウザ。エロジジイ。
「そういうわけだから、すまないが、スッラの様子を探ってみてくれないか。何か不調があるならすぐに調整を――」
「ウォルターが直接診てあげたらいいじゃん。今晩。あんたが全裸の上に白衣だけ着て診察の時間だ♡とか言ったらあいつ秒でヤル気になるに決まってるし」
「……そ、そうか! その手があったか! ありがとう621! ぽるじょのぷらいまーとやらの他に欲しいものはあるか?!」
「シャネルのファンデ」
あー、やっぱファンデはなしで、ネイル行きたい。でも行けないからネイリスト呼んで。
って言ったらさすがにそれはできないらしくて、でもどうにかできないか考えてみてはくれるっぽい。
ウォルターはマジでいい人っぽいけど、マッツは絶対ヤバいやつなんだよなあ。
これからあーし、どうなっちゃうの?
マッツ父、ウォルター母、子のあーしとか、もうわけわかんないんだけど!?