Fault 彼を思い出すとき、ラスティの脳裏に浮かぶのはルビコンの陽光を受けて空を行く、一機のACだった。
そこから降り、ヘルメットを脱いで汗とともに髪をかき上げる。
きりりとしたまなざしが自分をとらえ「ラスティ」と名を呼んでくれるのと同時に、戦士めいた彼の表情が柔らかくなる。
彼は五つほど年上の、ラスティの先輩で、兄貴分で、憧れだった。
同年代の誰よりも早くACに乗り始め、様々な訓練を行い、やがては解放戦線を――いや、そんな枠では収まらず、ルビコン全体を引っ張っていくであろう秀才、あるいは天才。
厳しい訓練を行い、周囲からの期待に重圧、星の未来まで背負わされながらも、彼はいつだって穏やかに笑い、誰に対しても物腰柔らかに接していた。
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