Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    manju_maa

    @manju_maa

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 48

    manju_maa

    ☆quiet follow

    大学への進学を期に一人暮らしを始めることにした私、岸波白野はまず何よりも住処を探すために不動産屋をハシゴしていた。
    進学は決まっているものの、これから職探しもしなければならない。
    幸いにも入学式は当分先だし、ゆっくりとはいかないものの慌てて探す必要が無いのは助かる。
    …いや、早いところ探さなくてはならないのは事実だが。
    そんなこんなで街にある不動産屋を目指して歩いていると、

    『困ります…!退いて下さい!!』
    『おっ、日本語ペラペラなのー?やべえじゃん。だとしたら尚更だよなあ』
    『俺達と行こうよお姉さん!』

    小柄の外人のように見える女性を、軽薄そうな男達が取り囲んでいた。
    後ろからではあるが女性は戸惑っている様子。彼女達が知り合いというようには見えない。
    男達は軽薄ではあるが、体格がそれなりに大きい。
    関わったら何をされるものかといった様子で周りの人達は見て見ぬふりをして通り過ぎている。
    出身国は分からないものの外の国からやって来た彼女にとって、慣れない土地でこのような目に遭うのはさぞ怖いだろう。とても周りと同じように無視して通り過ぎることはできなかった。
    丁度女性の後ろから近寄れる方角に私は居る。最悪私も乱暴されるかもしれないという覚悟を決めて、早足で女性に近寄ると私はその手を取った。

    「遅れてごめん!ほら、早く行こ!」

    遅刻してきた知り合い、という体で話しかけ私は女性の手を取りながら男達を横切って駆け出した。

    「え、あっ、あの…!」
    「突然すみません!でも今は走ってあの人達を撒きましょう!」
    「っ! は、はい!」

    女性はすぐに理解して頷いた。…察しが良くて助かった。
    「待てよ!」という後ろからの怒号をとにかく無視して私達はしばらく街中を駆け抜けた。
    ある程度の距離を取れた頃に、近場にあった路地裏に曲がって身を隠す。男達はそのまま走り去って、どこかに行ってしまった。
    私も女性も、春先だというのに全身汗だくになったまま息を整える。こんなに走ったのは体育の授業のマラソン以来だ。
    そんな虫の息になっている私の一方で、女性は既に息を整え終わりつつあった。
    スニーカーを履いている私と違いハイヒールを履いているはずだというのに、こう見えて体力がかなりあるらしい。

    「あ、あの…ありがとうございました。どうしたものかと思っていたので、助かりました」

    女性はぺこりと頭を下げる。
    確かにここまで日本語が上手な外人女性も珍しい気はする。

    「こちらこそ、出過ぎた真似を…」
    「いいえ。あの様な屈強な男達にも臆せず、人を助けれる人はそうそう居りません。心がお強い方なのですね、貴女は」

    真っ直ぐとこちらを見ながら言われてしまった。
    そんな直球に言われるとなんだか恥ずかしい。

    「私、近場の不動産で経営しておりますシドゥリと申します。どうか、お礼をさせてください」
    「岸波白野です。お礼なんてそんな…って、え?不動産?」
    「ええ、そうですが…………あら、もしかして、住居をお探しで?」
    「はい。丁度不動産屋に行こうかと思っていたところで」
    「まあ…。…………」

    シドゥリさんはしばらく私を上から下まで観察するように凝視すると、

    「岸波さま、貴女様が良ければ案内できる物件が一つございます」
    「えっ、本当ですか!?」
    「ですが、これは不動産屋といより私個人の提案なので、…そうですね。近くのお店で詳しい話をさせて頂きたいのですが如何でしょう?」
    「私は大丈夫ですけど、あなたは…」
    「お構いなく。休憩時間で丁度昼食を食べに行こうと思っていた所なのですよ」

    シドゥリさんはニッコリと笑いながらそう言った。
    それから、近場にある喫茶店に場所を移して改めてシドゥリさんの話を聞く。

    「突然なのですが、住み込みで勤務というのは岸波さまとしては如何でしょう?駅からもそう遠い場所ではありませんし、送り迎えも可能です」
    「え?」
    「給料としては…月給が、…………そうですね。このくらいでもよろしいかと」

    そう言って鞄から取り出した電卓をカタカタ叩いて、私に差し出してくる。
    その画面に表示されている時給と言われた数字は、不動産をハシゴしながら見ていた求人広告に掲載されているものの倍以上の金額が────

    「ええーー!?ちょ、ちょっと待ってください。…え?私もしかして騙されそうになってます?」
    「い、いえいえ、そんなことは決して!!」

    なんでも彼女の言う住み込みの働き口というのは、彼女も住んでいるという屋敷での家政婦ということだった。
    その上でそのお屋敷の主である夫婦の一人息子の世話係も任せたいとのこと。
    その勤務内容であの時給とは、よほどの大金持ちなのだろう。
    正直なところ屋敷の住所は大学の通学も苦ではない場所だし、働き口まで見つかるというのはかなり理想的な話だった。

    …………なので。

    とりあえず屋敷に実際に来て見てから決める、ということで落ち着いてしまった。
    シドゥリさんも屋敷の人達に話す時間が欲しいとのことで、約束の日は次の日にという事になった。
    そして翌日。
    シドゥリさんから貰った屋敷の住所と思われる地区に向かった私は、シドゥリさんの提案があまりにも重いものであったと思い知らされる。
    目の前にそびえ立つ、自分の身長の何倍もの高さがある塀と檻のごとき門。
    その門の隙間から見える、アニメや映画でしか見たことのなかったような広い庭と先に見える大きな屋敷。
    大金持ちどころの話ではない。一流企業の社長でもこんな豪邸には住んでない。それ以上の何か、それこそ名家の人が暮らしているものだ。
    何かの間違いであって欲しかったが、悲しいことにここ以外に屋敷と思われる建物はこの区域には存在しない。

    「こ、こんなところに私なんかが来ていいの…?」

    もしかしたら昨日の出来事は夢だったのかもしれない。
    しかし、スマートフォンには間違いなく『シドゥリ』という名前が登録されている。
    夢ではない。現実だ。

    「…もしや今が夢なのでは…?」

    頬を抓ってみる。
    痛い。…夢ではない。

    「…どうしよう…」

    深く溜息をつく。
    その時だった。

    『──おい、人の家の前で何をしている』
    「え?」

    幼くも、それでいてハッキリした声が響く。
    振り向くと、その視線の先には小さな男の子が私を睨みつけていた。
    小学生三年生くらいに見える男の子。学校帰りなのかリュックタイプのカバンを背負い、制服と思われる正装を身に纏っている。
    その髪は綺麗な金色で、前髪から除く双眸は真っ赤なダイヤモンドのよう。しかしその視線にはハッキリと警戒の色が窺えた。

    「もしかして、この家の子…?」
    「ふん、不審者にかける言葉など無い。何が目的かは知らぬが、今ならば不問にしてやる。疾く失せるがいい、雑種」
    「ざ…!?ちょ、ちょっと!見ず知らずの年上の人間にその言い方はないんじゃないの!?」
    「雑種を雑種と呼んで何が悪い?そもそも人の家の前で立ち尽くし、ブツブツ独り言を言いながら時折門の隙間から中を伺い、果てはいきなり自分の頬を抓るような不審な女をどう年上扱いしろと言うのだ。通報されないだけ感謝するのだな」
    「ぐ…」

    痛いほど正論を突かれてしまった。
    しかし、綺麗な見た目に反してなんとも可愛げのない子供なのだろう。
    しかも言葉が達者なのも尚更可愛げがない。

    「…で?貴様のような貧乏臭い庶民が何用だ。事と場合によっては、すぐさま貴様は留置所行きになるが」

    不敵に笑みを浮かべ言いながら、ポケットから取り出したスマートフォンをヒラヒラと見せびらかす男の子。
    まずい。本当に通報されかねない。

    「ち、違う!私はシドゥリさんって人の誘いでここで働かせてもらえないかと思って…!」
    「…シドゥリの?……………。貴様、まさか岸波白野などという名前ではないだろうな」
    「そ、そうだけど…」
    「……………………………」

    少年は口をへの字にしたままこちらに歩み寄る。
    私の前まで来たところで、その綺麗な赤い瞳を細くして私を上から下までじっくり観察した。

    「…ふん、シドゥリ。だから休めと言ったのだ。こんな面白みもない凡人など連れて来おって」
    「え?」
    「帰れ雑種。お前なんか敷居を跨ぐ前から願い下げだ」
    「ちょっ、待って!私はシドゥリさんと話に来たのであって君とじゃ…!」
    「ええいうるさい奴め!さっさと帰れっ、この…!」

    少年に背中をグイグイと押されて少しずつ門から離れていく。
    シドゥリさんにお断りされるならともかくこんな子供に追い返されるなんてプの字程はある私のプライドが許さない。
    しかし少年は何がなんでも私を追い返そうとしている。
    一体どうすれば──

    『お止め下さい若さま!』
    「──」

    私の背中を押す小さな手がピクリと動いた。
    聞き覚えのある声に視線を向けると、そこにはテレビなどでよく見る家政婦さんが着ているようなロングスカートなエプロン姿のシドゥリさんがそこに居た。

    「し、シドゥリさ」
    「シドゥリ!貴様の目は節穴か!?こんなアホ面の女など連れて来おって!」
    「ちょっ、アホ面!?」
    「いいえ若さま、私の目は間違っておりません。それに年上の相手にそのような態度では失礼ですよ。何度も言っているではありませんか」
    「このような雑種を年上だからと敬えと?ハッ、冗談は休み休み言うのだ」
    「若さま!!」
    「……………………」

    シドゥリさんの一喝に、無言で口をへの字にする少年。
    凄い。あれだけ態度が大きかったあの子が、シドゥリさんには逆らえないでいる。
    シドゥリさんはふぅ、と溜息をついて私の方に身体を向けてペコリと頭を下げる。

    「大変失礼しました岸波さま。お待ちしておりました、来て頂いて嬉しき限りです。…客間にご案内致します、私の後に付いてきて下さいませ」
    「は、はい…」

    シドゥリさんの後ろについて、広い庭やロビーを抜けて屋敷内を歩く。
    屋敷の中もまた、これまたアニメや映画でしか見たことないような豪華な内装だった。
    一定間隔の位置に埋めつけられたガラス窓はしっかりと磨かれているのか綺麗に光っており、至る所に置かれた花瓶の中に入った花も、色とりどりでとても綺麗だ。
    フワフワの赤絨毯がずっと先まで敷かれた廊下をしばらく歩くと、大きな扉の前でシドゥリさんは立ち止まる。

    「こちらです」

    と、言いながらガチャンと重々しくドアノブが動く音と共に扉が開く。
    ワンルームマンションの一室の倍の広さはあるくらいの部屋の中心に置かれたテーブルとソファー。
    壁際には絵画が飾られて、暖炉まで埋め込まれている。私は知らないうちに海外の宮殿にでも迷い込んでしまったのではないだろうか。
    それくらい、屋敷の構造はとても日本国内にあるものとは思えないものばかりだった。

    「どうぞおかけになってお待ちください。すぐに紅茶をご用意致します」

    ニッコリと笑ったまま頭を下げて、シドゥリさんは部屋から出ていく。
    周りの景色に感嘆しながら、恐る恐るソファーに腰を下ろす。

    「…!」

    まるで雲にでも乗ったかのように、自分の体重で身体がクッションの中に吸い込まれていく。
    こんな、こんなフカフカなソファーがこの世に存在していたとは…。
    これではまるで猫バ〇のそれではないか…!

    「おい、間抜け百面相を晒すなたわけ。見ていてこちらが恥ずかしいではないか」

    正面から冷徹な声。
    ハッとして見れば、一緒に付いてきていた向かい側に置かれたソファーには先程の男の子がふんぞり返って座っていた。

    「だ、だって、こんなの初めて座ったから」
    「この程度が初めてだと?貴様ら庶民はどうやら石の上にでも座って生活しているらしいな。哀れなものだ」

    やれやれ、とわざとらしく首を左右に振る男の子。
    ぐぬぬ、どこまでも生意気な。
    …と、男の子は腕を組んで、ギロリとこちらを睨みつけた。

    「で、貴様。本当にシドゥリめに雇われるつもりか?」
    「…それは、まだ決めかねてるというか。正直ここまでの屋敷とは思わず…」
    「ハッ、怖気づいたか。貴様ら凡夫は所詮そこまでよな。悪いことは言わん、シドゥリに謝ってさっさと帰るがいい」
    「まだ決めてないってだけだよ。これから決めるんだから、それを君にとやかく言われたくない」
    「む………」

    睨み合う私と男の子。
    やがて、再びガチャンとドアノブが動く音が部屋に響く。
    ティーセットとクッキーが入ったお皿を乗せたワゴンと一緒に、シドゥリさんが戻ってきた。

    「お二人共、お待たせ致しました」

    ワゴンに乗っていたティーセットをテーブルの上に並べ、カップの中にポットに入っている紅茶を注ぐ。
    よほど良い茶葉を使っているのだろう、すぐに部屋は紅茶の香りに包まれた。
    一口飲むと、これまた美味しい。インスタントの紅茶なんか比ではない。

    「美味しい…」
    「フフ、それは良かった。今日岸波さまがいらっしゃるので急遽取り寄せたばかりのものなのですよ」
    「私のために?なんか申し訳ないです…」
    「そんな。これは昨日のお礼も兼ねてるのですから、謙遜なさらないで下さい」
    「おい雑種、シドゥリの淹れた茶くらいは飲む時間を授けてやる。飲み終わり次第さっさと帰るのだぞ」
    「か、帰らないよ!勝手に決めないで!」
    「若さま、それ以上岸波さまに無礼を働くようであれば席を外して頂きますよ?」
    「…………………。ふんっ」

    プイっとそっぽ向く男の子。
    シドゥリさんは『はぁ』と溜息をつきながら、その子の隣に腰かけた。

    「そうそう、ご紹介が遅れてしまいましたね。彼はギルガメッシュさま、昨日も申し上げた通り、旦那様方のご子息であられます。年齢は九歳でございます」
    「ふーん、ギルガメッシュ君、か。カッコイイ名前だね」
    「気安く呼ぶな、雑種めが」
    「若さま!!」

    動じずツーンとそっぽ向くギルガメッシュ君。
    シドゥリさんも大変そうだな、色々と…。

    「…ごほん。若さまは気にせず本題に入らせて頂きますね」
    「は、はい」
    「勤務内容は当屋敷の掃除や洗濯、買い出し等の雑務と、若さまの身の回りのお世話をお任せして、それにあたり岸波さまには当屋敷に住み込んで頂きたく思っております。もちろん家賃等は払って頂かなくて結構ですし、月末には指定の口座に一ヶ月分の給料を振り込ませて頂きます」


    やはりいつ聞いても都合のいい妄想なんじゃないかと思うくらい理想的な話である。
    ――しかし…。


    「……実は、これまでも住み込みで働いてくださると名乗り出た方は何人か居たのです。…ですが、見ての通りこの子は気難しい性格でいらっしゃるので…その」
    「…ああ。長続きしなかったんですね…」
    「ええ…お恥ずかしながら。ですが、さすがにこの広い屋敷を一人で管理するというのは無理がありまして…」

    そう言われてみると、ここまで広い屋敷の中だというのにギルガメッシュ君とシドゥリさんしか人が見当たらない。
    恐らく、シドゥリさん以外の使用人は全て彼の手で追い出されてしまったのだろう。

    「ですので、どうしたものかと困っていた時に…貴女様との邂逅を果たしたのです。女性の身でありながら、体格的に決して敵わない男性にも億さないで見ず知らずの人間を助けようという強く、真っ直ぐな精神…。それを見た瞬間に岸波さまにその、──ひ、一目惚れして、しまいまして…」
    「えっ」
    「…マジか、シドゥリ」

    一瞬空気が凍る。
    そっぽ向いていたギルガメッシュ君ですらシドゥリさんに目を丸くして向き直していた。
    その空気を察したシドゥリさんは顔を真っ赤にしながらブンブンも首と手を振った。

    「ああ!えっと、そういう意味ではなく!あの、えっと、人として!人として気に入りまして!」
    「あ、ああ……そういうことですか…」
    「それで、その。この方になら、若さまを任せられるかもと思いまして。なんの根拠もないのですけれど…なんとなくそう思ったのです!」
    「………」

    ここまで話を聞いても、やっぱり決心がつかない。
    ギルガメッシュ君はどうも私という人間を快く思っていないご様子だし。
    かと言ってこんなにも私という人間をここまで評価してくれるシドゥリさんの顔を曇らせるのもなんとなく罪悪感がする。

    すると、

    「───くだらん」

    ギルガメッシュ君は言いながら、組んだ両足を伸ばしてテーブルの上に乗せる。
    慌てて下ろそうとするシドゥリさんも意に介さず、ギルガメッシュ君は続ける。

    「シドゥリ、お前がこの女を見て何を思ったかは知らんが、所詮こいつも今までの奴らと同じ、金に釣られた欲深で低俗な雑種にすぎん」
    「なっ…」
    「どうせ三日もすれば耐えきれずに勝手に出ていくだろうさ」
    「─────」

    …今まで生きてきて初めて知ったことなのだが…、どうも、私は意外にも負けず嫌いらしい。
    この、生意気を通り越した何かと化した性格がひねくれすぎた子供を前にして、はいそうですかと立ち去る事を心が許さなかった。
    確かにシドゥリさんの言った待遇はかなり理想的だと思うし、お金のために働くことは事実だ。
    だけど、たった今初めて会っただけの関係でここまで言われるのは癪に障るし、決めつけてほしくない。
    だからこそ、彼に『岸波白野』という人間を見せつけて、その言葉を訂正させてやろうと、……見返してやろうと思ったのだ。

    「…分かりました。やります。やらせてください、シドゥリさん」
    「岸波さま…!」
    「ハッ、人の話もろくに聞けぬときたか。救いようがないな」

    やれやれ、とわざとらしく視線を逸らして溜息をつくギルガメッシュ。
    …それで、私の中の最後のスイッチが押された。

    「ああ、そうだ。君みたいな子供の話なんか聞いてなかった」
    「………なんだと?」

    横目で睨みつけられる。
    しかし私も負けじと、その大きな赤い瞳を睨みつける。

    「今まで君の元に来た人達がどんな人達かだなんて知らないけど、私はその人達とは違うってところ、見せてあげる。言っておくけど、こう見えても『諦めだけは悪い』って色んな人によく言われるんだ、私」
    「…………。言ったな、岸波白野」

    バン!とテーブルに両手を叩きつけて、こちらを睨みつけるギルガメッシュ。

    「今の言葉、言ったからには絶対に後悔するなよ。僅かでもそのような素振りを見せた瞬間に追い出す、分かったな雑種!!」

    それを返すように私もテーブルに両手を叩きつけ、

    「上等だ!こっちだって、絶対に見返してやるんだから!!」

    言い返してやった。
    あわわ、と戸惑うシドゥリさんの横で、私達はしばらく睨み合っていた。

    ――こうして、私はギルガメッシュ君のお世話係兼使用人として、彼の住む屋敷で正式に雇われたのだった。


    【続いたらいいねえ】




    ~軽い設定~

    【岸波白野(18)】

    大学生一年生。
    特別暗いとか重い過去はない。両親(※捏造です)も全然健在。
    ギルは生意気で腹立つ雇い主だけどちゃんと理解しようと歩み寄ろうという気はある。
    家事全般は得意な方。


    【ギルガメッシュ(9)】

    小学三年生。
    超大手有名企業の社長である父と母(※捏造です)がいるが、会う機会がかなり少ないという意味で不仲。
    両親は自分の会社をギルに継がせる気満々だけど、ギルはそれに従う気はなく、その意思を見せつけるようにシドゥリの名前を使ってそれなりに大きな不動産屋を経営してる。
    親が決めた許嫁(イシュタル)が居るがかなり仲が悪い。エルキドゥという親友がいる。
    シドゥリには頭が上がらない。学年主席の座は赤子の手をひねるレベルで簡単、大学の問題も簡単に解けるくらい超頭が良い。


    【シドゥリ(?)】

    ギルの屋敷に住まう使用人。週2で不動産屋の方にも代表取締役として出勤している。
    ギルが生まれた頃から屋敷に仕えてギルのお世話係をしていたほぼお母さんのようなポジション。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏👏😭❤❤💕💴👍💯💯❤👏🙏💴
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    manju_maa

    DONEタイトル通り。二番煎じに二番煎じを重ねてテンプレを煮詰めたような話。たぶん主明
    ※ペルソナとか異世界とかなんもない本編とは全く関係ない謎時空
    ※明智が架空の病気(※ここ大事)で心臓弱い子
    ※明智ママがガッツリ出てくる。
    ※なんでも許せる人向け
    小学生の病弱吾郎くんと蓮くんが出会う話①この街には小学校の登校路から外れた道を行くと、低めのフェンスに囲まれたかなり大きい家がある。アニメなんかでよく見るお屋敷のそれ。道路も公園も、なんなら住宅も少ないその区域に静かにひっそりとそれは佇んでいた。
    フェンスの内側は芝生が生えた庭があって大きな桜の木が一本生えている。花見し放題だななんて思いながらボーッと眺めていたある日、飛び交う桜の花びらに混じって木の陰に隠れていた屋敷の二階の窓から外を覗く奴が居ることに気づいた。
    チョコレートのような、牛乳をたっぷり入れたココアのような、そんな茶色の髪を風で揺らしながら。夕方近いとはいえまだ太陽が昇っている時間帯にパジャマの上からカーディガンを羽織るという格好で、そいつはずっと外を眺めていた。髪は長いし顔も女の子みたいで、下から見上げるだけじゃ性別は分からない。年齢は多分同い年くらいだと思う。
    35875

    manju_maa

    PROGRESSごろうくん視点。獅童編中盤の全カットした空白の二週間の話の一部とヤルオ討伐後の話。「」ない。
    本当は本編に入れたかったけど時間が足りなくて泣く泣く書くのを止めたけどやっぱり書きたかったから書いたシーン
    来栖暁に育てられたあけちごろうくんの話~番外編③~色んな人の世話になりながら、39度近くまで上がっていた熱は完全に引いた。今は蓮が診せたという医者に言われた通り、静養期間だ。身体が元気なのに学校にも仕事にもなんなら外にも出れないというのは、中学時代の謹慎中の三日間を思い出す。
    熱がある間は昼間は双葉に、夜から朝は蓮が泊まりがけで付きっきりでそばに居たが、熱が引いたことで蓮はひとまずルブランに返した。
    『こうなったのは俺のせいだから』『お前は放っておくとまた無理するから』と色んな理由を述べられて拒否されたが、ならモルガナを監視役として引き続き家に置くからという妥協案を出すと、渋々承諾した。とはいえ昼間は双葉が家に乗り込んできて持参したパソコンをカタカタといじっている。蓮と約束ノートなるものを作って、それのおかげで一人で外出もできるようになったんだと自慢げに話していた。『明智はわたしの恩人だからな!』と満面の笑みを向けられたときは眩暈を起こしかけたが何とか耐えた。
    9247

    recommended works