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    manju_maa

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    manju_maa

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    クロードが突然血を吐いて倒れたあのティータイムの日から何日が経っただろうか。
    クロードが記憶をなくして、私を拒絶して、私はしばらくクロードには会わなかった。…まあたまに遠目で見たりはしてたけど。

    だから、クロードとようやく、正式に会うことが出来たあの日。正直嬉しかったんだ。
    久しぶりに目の前にいるクロードの身体はやつれて、見てて可哀想な程だった。
    でも、一時しのぎとはいえルーカスが治してくれてからは顔色も良くて、私にも少しずつ歩み寄ってくれようとしていて。
    だからクロードのために、魔術をたくさん勉強して、記憶を戻して、助けたいと思ったのに──

    「せっかく、元に戻れるかもって思ったのにな」

    ルーカスは誰かが介入したと言っていた。
    その誰かは、こうすることでクロードがこうなると絶対に知っていたはずだ。
    どんな気持ちでクロードの命を握り潰したか分からない顔も知らない誰か。

    (絶対に許さない…)

    静かな部屋の中を満たすのは、すう… すう…とクロードの小さな呼吸の声。
    クロードが眠り続けるベッドの隣に置いた椅子から立ち上がって、クロードの身体を見下ろす。
    そしてベッドに乗り上げて、その胸元に耳を当てた。

    「─────」

    耳に響くクロードの心音は、穏やかと言うには少し遅い鼓動だった。
    休んでいるから動いているのではなく、辛うじて動いている。
    そんな、弱々しくて、ふとした時に止まってしまいそうな、そういう音。
    でも、クロードは温かいし、心臓は動いてる。これはクロードが生きてくれている何よりの証だ

    顔を上げて、クロードの頬に手を当てる。
    胸に耳を当てても、頬に手を当てても、クロードは眉ひとつ動かさず起きる気配はない。

    「それでもいいよ。貴方が生きてくれているなら」

    最初こそ、こんな男に殺されるくらいなら私が──なんて思った日もあったかもしれない。
    小説通りに、私がクロードに殺さることは逃れられない運命かもしれない。
    だから、クロードが起きない方が私が殺されることはなくなる。かつての私ならそう思って喜んでいただろう。
    でも、今の私には、もうそう考えることはできない。

    クロードが起きてくれることが、今の私の何よりの喜びだから。

    「私も頑張るから、だからパパも…頑張って…」

    クロード──パパはまだ、起きない。
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    manju_maa

    DOODLEhttps://poipiku.com/1184617/11813037.htmlの続きの進捗
    校長と鴨志田問題決着編。
    「」はない。明智が丸すぎる。誰だコイツは。
    新任教師明智先生と前歴持ちの雨宮くんの話⑪雨宮の裁判に弁護士として出廷して無罪判決に撤回させただと!?一体何を考えているんだね君は!!

    バン!と大きな図体が僕の倍はありそうな自身の体重をかけて机を叩く。図体も声も大きい校長は随分とご立腹の様子だ。おかげで血圧が上がっているのか眉間にシワが寄った顔が真っ赤になっていて本当に肉だるまになってしまった。

    何を考えてるも何も当然のことをしただけでしょう?僕が受け持つクラスの生徒が言われのない罪に問われていたんです。そんなの弁護士としても担任としても放っておけるわけないじゃないですか

    次期総理大臣候補だった獅童正義が部下の女性にセクハラをしていた所を助けようと駆けつけた高校生の少年を偽証罪で訴えた話は事実としてネットやニュース、新聞で大きく取り上げられている。その中で、その少年の担任教師でありながら若手弁護士の明智吾郎が生徒のために無罪判決を勝ち取ったという、恐らく大宅さんがノリノリで書いたのであろう記事を校長は見たのだろう。呼びつけられるなり記事に書かれたことを聞かれたので、素直にそうだと返事をしてやればこの通り、耳に響く大きな声で怒鳴られているのが今の状況だ。
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